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天神尚子 院長の独自取材記事

医療法人社団テンジン 三鷹レディースクリニック

(三鷹市/三鷹駅)

最終更新日:2021/10/12

天神尚子院長 医療法人社団テンジン 三鷹レディースクリニック main

JR三鷹駅から徒歩6分。昔ながらの建物も多く、少し懐かしい街並みの中にある「三鷹レディースクリニック」。院長の天神尚子先生は、多くの女性たちから厚い信頼を寄せられており、患者から感謝の手紙をもらうこともしばしばだという。その理由の一つには、女性の心の問題を重視する診療姿勢が挙げられるだろう。気さくで話しやすい雰囲気を持つ天神先生に、今まで誰にも話せなかったことを打ち明けることができ、思わず涙する患者も少なくないのだとか。自身も出産、子宮筋腫、更年期障害を経験してきた天神先生の“体験者”としてのアドバイスから、女性として生きていく姿を学ぶ患者は多いそう。大切にしている心理的ケアのことから、頑張り過ぎて倒れることもあったという勤務医時代の話、公私にわたり支え合っている家族のことまでたっぷりパワフルに語ってくれた先生。「患者さんに喜んでもらうと疲れも飛んじゃいます!」と笑うその明るさに、勇気をもらう患者は数知れないだろう。

(取材日2013年9月25日)

産婦人科で何より必要なのは「話をよく聞く」こと

なぜ三鷹を開院の地に選ばれたのですか?

天神尚子院長 医療法人社団テンジン 三鷹レディースクリニック1

三鷹はもともと住んでいた場所なんです。市が実施する検診を受けようと私自身が婦人科を探してみたことがあるのですが、駅周辺に産婦人科がほとんどありませんでした。女性の医師に至っては皆無でしたよ。これはすごく不便だな、と思いました。やがて、駅周辺にあった産婦人科医の方もご高齢のため引退され、いよいよ駅前には産婦人科のクリニックがゼロに。そこで、ここに開院すれば地域の方の役に立てるんじゃないか、と思い三鷹に開院したんです。当院では看板に「婦人科 産科」の順で掲げていますが、これは婦人科をメインに置きたかったためです。この地域に住む幅広い年齢層の方が来やすいように、院内もマスカットグリーンの落ち着いた雰囲気の内装にしています。実際、当院には20代から60代までさまざまな症状を持った方が来院しています。最近の患者さんはインターネットを使って、ご自分でよく調べてから来られますね。しかし、この情報が間違っていることも少なくないんです。今は情報が簡単に手に入る分、その情報の中からどれが正しいものなのか見極める必要があります。また私たち医師側も、学会に参加したり、大学にいる後輩に最先端の治療について聞いたりしながら情報収集を行い、患者さんにいつでも最新の情報を提供できるよう努めています。

診察の流れはどのようになるのでしょうか?

初回は少し長めにじっくりお話しいただき、その情報をもとにして診察をします。これは婦人科の病が心の問題と切り離せないことが多いからです。PMS(月経前症候群)や更年期障害は自律神経の機能不全によって起こる疾患です。そして、自律神経の働きを左右するのは、普段の生活なのです。治療の方針は患者さんのライフスタイルに合わせて2〜3個提示するようにしていますが、そのうちのどれを選ぶかは患者さんと相談して決めます。また婦人科では、生活習慣や、ストレスなどの心理的な側面を改善しなければ治癒できないケースが往々にしてあり、どうやっても症状に改善が見られない場合には、心療内科の先生をご紹介する場合もあります。更年期障害で診察にいらっしゃった患者さんが実はうつ病だった、といったことはよくありますし、その逆のパターンも存在します。他の病院を紹介する場合も、患者さんの希望を優先させ、心身両方の面から最適な治療を探し出していくことが必要だと考えています。

心の問題が解決したことで症状が改善した例を詳しく教えてください。

天神尚子院長 医療法人社団テンジン 三鷹レディースクリニック2

あるとき、「どの病院でどの薬を飲んでも治らない」と全身の痛みを訴えていた更年期障害の患者さんがいらっしゃったんです。その方に「この薬はよく効きますよ」と気持ちが落ち着くようお声がけをして、漢方薬を飲んでもらいました。すると、たった2週間ですっかり治ってしまったんです。結局、心に不安や悩みを抱えていたことが一番の問題だったんですね。病気の背景となる部分をじっくりお聞きしていると、中には泣きだしてしまう患者さんもいらっしゃるんです。今まで誰にも話せないまま溜まっていた想いがあふれてしまうんですね。そういった方は、診察後にはすっきりしたお顔で帰られます。1年に1回、お話しするためだけに来られる患者さんもいらっしゃいますよ。婦人科では、薬だけが治療のすべてではありません。今は核家族化が進んで、親御さんに相談したくても相談できないことが増えたでしょう? それに、婦人科に関わる話題は友人同士でもなかなか話しづらいものです。話すだけで楽になれることがあっても、それができない。だからこそ婦人科で「話を聞く」ということが重要なのです。

患者の喜ぶ顔が見たくて、頑張り過ぎてしまうこともあった勤務医時代

診療を続けてこられた中で、印象に残っている患者さんはいらっしゃいますか?

天神尚子院長 医療法人社団テンジン 三鷹レディースクリニック3

開業前の勤務医だった頃のことですが、不妊症の治療と子宮筋腫の手術を一つ一つ乗り越えた末、高齢出産された患者さんがいらっしゃいました。その方から、「子どもの名前に、先生の名前から一文字ください」と言われたときは、本当にうれしかったですね。医師冥利につきました。また、超未熟児でお子さんを出産されたお母さんもいらっしゃいましたね。体があまり強くない患者さんでしたが、とても頑張ってくれたんですよ。その頑張りには、私のほうが頭が下がるくらい。そのとき生まれたお子さんは今、中学生です。今でも時々お子さんの様子をお知らせしてくださるんですよ。その子は、小児科医をめざしているそうです。

先生ご自身はなぜ産婦人科医になろうと思われたのですか?

私が幼い頃、母は体が弱く胃けいれんをよく起こしていたのですが、当時は医師が往診してくれることも珍しくなく、母が胃けいれんを起こす度に医師が自宅まで来てくれました。先生の処置でみるみる元気になる母の姿を見て、まだ幼かった私はそれを魔法のように思っていました。それで、医師という職業に憧れの気持ちが生まれ、医学を志すようになったんです。それに私はもともと社会貢献をしたいという気持ちも強かったので、この仕事は向いていたと思いますね。医学部に進んでからは、女性の力になりたかったことと、赤ちゃんが好きだったことから産婦人科を選びました。

大学卒業から開院まではどのような道のりだったのでしょうか?

天神尚子院長 医療法人社団テンジン 三鷹レディースクリニック4

大学卒業後に入った産婦人科の医局は、当初女性がほとんど居ませんでした。私はそこでお産の方法を教わり、毎日泊まり込みで赤ちゃんを取り上げました。100人ぐらいまでは覚えていたのですが、もうその後は数が多すぎて覚えていられないほど。期間は約半年でしたが、その間に貴重な経験を積むことができました。とても充実した日々で、自分では疲れていないつもりだったんですが、体がついていかなかったんですね。熱で倒れてしまい、自分が担当する患者さんの隣に入院したこともありました。その後、結婚し、一児の母となったんです。そして、同じく医師である夫の海外留学に同行する形で、1988年に米国ローレンスリバモア国立研究所に留学しました。そこでは、当時最先端だったヒトゲノムの解析の研究に携わりました。現在、赤ちゃんの染色体異常のスクリーニング検査がありますが、その先駆けとなる研究です。この研究により、それまで何日もかかった遺伝子解析が数日でできるようになったのです。留学中は毎日研究だけに没頭していましたね。日本に戻ってからは、研究事業に携わることはなく、真っすぐ臨床の道へ。私は臨床のほうが好きだったし、何より女性の味方として身近な存在でありたかったんです。その後、大学病院で再び経験を積み、「どんな患者さんが来ても大丈夫!」という自信が自分についてきたところで、開業を決意しました。

自身の女性としての経験も生かし、生涯付き合える医師をめざす

先生ご自身の出産の経験が治療に生かされていることもあるのでしょうか?

天神尚子院長 医療法人社団テンジン 三鷹レディースクリニック5

そうですね。出産経験のある産婦人科医は皆さんそうだと思うのですが、自分の経験を交えてのアドバイスができるんですよ。女性医師の妊娠・出産は仕事をしながらという方が多いでしょう。そうすると、つわりがあっても出勤しなくてはならなかったり、体調不良で仕事を休んで申し訳なく思ったりするワーキングマザーの気持ちがよくわかるんです。特に私の場合、大学病院で外来をしていた頃には既に出産を経験していましたから、「こういう場合はこうしたほうが楽になる」といったノウハウや気持ちの面のことなど、自分の身近な体験として伝えることができましたね。実は、私は子宮筋腫も経験したので、どれくらいの出血量だと体がどうなっているということが自分の実感としてわかります。更年期も既に通過したので、こちらも同じ女性としてアドバイスができますね。

医師であるご主人とは普段どんなお話をされるのですか?

お互いに、自分の患者さんで意見を求めたい症例について話し合ったりしています。大学勤務医時代からこういった情報交換はずっと行っていました。また主人は現在、乳腺科で働いていますが、もともと消化器外科の医師だったので、外科的な治療が必要な場合は処置を手伝ってもらったこともあります。また家庭の中においても、主人の協力がなければ、今の仕事はとてもやっていけません。例えば私の帰りが遅くなると主人が夕飯を作ってくれたりと、彼にはいつも助けてもらっていますね。お互いに尊敬するところがあるから、お互いに助け合って、時には我慢もしながらやっていくことができるんじゃないかと思っています。

2014年で開院11年目を迎えられますが、今後どういったクリニックにしていきたいですか?

天神尚子院長 医療法人社団テンジン 三鷹レディースクリニック6

いつも身近で女性の味方になれるクリニックでありたいです。11年目といえば、開院した当時ここを訪れていた中学生の患者さんが、先日検診のために来院してくれたのですが、大人になって見違えるほどでしたね。こういったように、ある人の生涯を通じて力になれる医院になれたらと思っています。お子さんからクリニックの様子を聞いて、ご家族の方が来院されることも多くありますので、今後も一家の頼れるホームドクターとして認識していただけたらうれしいですね。

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