河野 志穂美 院長の独自取材記事
飯田橋皮膚科スキンクリニック
(千代田区/飯田橋駅)
最終更新日:2021/11/24

オフィスビルが建ち並ぶ中にも昔ながらの下町情緒が残る街の一角に「飯田橋皮膚科スキンクリニック」がある。2007年の開業以来、近隣の住民や会社に勤める人など、幅広い層の患者を対象とする診療を続けている。東京大学医学部出身の河野志穂美(かわの・しおみ)院長は、東京大学医学部附属病院、社会保険中央総合病院、東京逓信病院、東京警察病院といった総合病院の皮膚科に勤務した経験を持つ医師だ。大学時代に専門にしていたアトピー性皮膚炎をはじめとして、皮膚科全般の診療を手がけている。「患者に寄り添う診療」を基本スタンスにしているという河野院長に、いろいろと話を聞いた。
(取材日2021年3月16日)
患者に寄り添って話を聞くことが大事
まず医師を志したきっかけから開業までの経緯を教えてください。

子どもの頃、医師になりたいと思っていました。たぶん「病気やけがを治してあげる」ということがしたかったんだろうと思います。大学では初め、好きな数学を勉強していましたが限界を感じ、では子どもの頃からやりたかったことをやってみようと医学部に入り直しました。皮膚科を選んだのは、お世話になった先生の奥さまが皮膚科の医師で、その方にすごく勧められたことと、実習の先生に皮膚科学のおもしろさを具体的にお話ししていただいたことが理由です。開業したのは、それまで勤めていた東京警察病院が中野区に移転することになったのがきっかけでした。飯田橋に土地勘があったのと、近隣に皮膚科がなかったのでそれまで通って来てくれていた患者さんを引き続き診ることができると考え、この場所での開業に踏み切りました。
どんな患者さんが多いですか?
地元の方々や近所の会社に勤めている方、紹介で来られる方もいらっしゃいます。症状で多いのは、やはりかゆみでお困りの方でしょうか。最近はマスクをしているせいでニキビが増えちゃったという相談も増えました。かゆみの原因は違っても、基本的な処方や注意点は変わらないことが多いので、できる限りその方の仕事や生活に合わせて「こういうふうにやってみたらいかがですか?」とアドバイスしています。例えば、飲食業の方の手湿疹では、悪化要因の水仕事を避けたほうがよくても、しないわけにはいきませんから「いつもMy手袋を持つようにして、忙しい中でも極力使いやすいようにしてみてください」というように、一人ひとりにできるだけ無理なく実践できるような方法を考え提案しています。
先生が診療の際に心がけていることを教えてください。

患者さんに寄り添って話を聞くことです。皮膚の症状には、見ればわかるものもありますが、生活習慣や既往の中に原因が隠れていて、症状が続くことがあります。患者さんにとっては初めて症状が出たということでも、よく話を聞くと「昔喘息だった」「以前に○○にかぶれたことがある」など治療のヒントが出てくることがありますので、寄り添う姿勢をとても大事にしています。一方で治療をスムーズに進めていただくため、説明も丁寧にするようにしています。例えば患者さんは「毎日塗っています」と言うのにあまり薬が減ってないことがしばしばあります。最近は皮膚科共通の考え方として1フィンガーチップユニット(人差し指の先から第一関節までに絞り出した量が軟膏約0.5グラム)という単位を用いて、薬の量を具体的に説明するようにしています。「触ったときちょっとペタッとするくらい」とか患者さんの症状の改善の度合いなども見ながら説明しています。
意外に多い、ストレスが原因の皮膚トラブル
皮膚トラブルが起こる原因としては、生活環境の影響が大きいのでしょうか?

大きいと思います。特に、生活環境からくるストレスの影響は大きいです。本人もまったくストレスに心当たりがないとおっしゃる方でも、通院していただいているうちにストレスが原因だったとわかることはしばしばありました。例えば、ポピュラーな皮膚疾患の1つであるウイルス性のイボですと、大きいものは難治で、地道に通院治療するしかないのですが、ストレスがなくなったときに短期間で自然治癒したのを何度も経験しています。「職場の部署が変わったら、次第になくなりました!」という人もいらっしゃいました。イボに限らず、開業医として患者さんの細かい症状の変化を診ていくうちに、多くの病気の発症や症状の悪化にストレスが関係していると実感するようになりました。
診療の内容や方針、使用している医療機器などで最近変化はありましたか?
最近変わったこととしては、新型コロナウイルス感染症の流行に伴ってオンライン診療を採り入れたことですね。さらにインターネットで問診票が記入できるウェブ問診も始めようと思っています。アトピー性皮膚炎についても、新しい治療法やお薬が出てきていますので、積極的に取り入れるようにしています。治療機器についても、予算の範囲内で効果的な機器があれば、それを積極的に導入するようにしています。それらは、治療時間の短縮や効果がアップすることが見込まれます。患者さんにも自分にもメリットがあると考えています。
病院との連携体制はどのようにされていますか?

こちらは新宿区、千代田区、文京区のちょうど境目にあたります。患者さんは、それぞれの区内の病院で受診歴がある方が多いですから、より高次な治療が必要なときは、症状に合った大学病院や専門性が高い病院の中から、患者さんの希望に合わせて紹介しています。以前「足が変なので診てほしい」と家族の方がお連れになった方がいらっしゃいました。足がすごくむくんでいて、心臓が悪いのではと思えたので、東京逓信病院を紹介することにしました。電話してその日に必ず診てもらえるように患者さんにお願いしたところ、やはり心不全で入院治療になったことがありました。皮膚疾患のほとんどは皮膚そのもののトラブルで、他の重大な疾患が影響しているというケースは多くはないんですが、もしあったときは見逃さないように、日頃から勉強しておかなくてはいけないとその時改めて感じました。
ハードルを高くせず、気軽に来てほしい
先生も含めてスタッフ全員が女性であることのメリットはありますか?

女性の患者さんの場合、疾患の部位や女性特有の体調のことなど、男性に見せたくないとか話しにくいということはありますね。その点では女性同士のほうが相談しやすいと思います。内科の疾患は血液検査などをしないとわからないことが多いと思いますが、皮膚科は見た目でかなりの部分がわかります。それだけに見せていただきやすい、話していただきやすいということは大事です。でも実際のところ特に女性の患者さんが多いわけではなく、男女半々ずつくらいです。男性の患者さんにとっては、女性スタッフによる応対のやわらかさも、安心できる要素なのかもしれませんね。
看護師さんとの息もぴったり合っているご様子ですが、何か工夫されていることはありますか?
特にこれといって私から伝えていることは少ないですね。中心になるスタッフは警察病院時代からの同僚なので、お互いに今までやってきたことも患者さんへの接し方もわかっているからか、診療がうまく運べていますし、非常に頼りにしています。新人の教育も任せられ、自分は診療に専念できます。診療時間を午後5時までにしているのも、子どもがいる若いスタッフの働きやすさを考えてのことです。その分患者さんにとっては不便かもしれませんが、納得のいく診療を続けるためにも、スタッフが働きやすい環境を整えることは重要だと考えています。ただ最近は在宅勤務が多くなったせいか、以前よりも時間の制約なしに来られる方は増えたように感じます。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

皮膚科に行くべきかどうかずっと悩んでいる人もいるかと思いますが、そんなに敷居は高くないので、とにかく一度来てくださいということですね。皮膚がんかもしれないと心配して来られた方がただの血豆で、すごく恥ずかしがって帰られたことがありましたが、そんなことで恥ずかしがらなくていいんです。「この歳ならしみがあって普通だから、今さら行くのは恥ずかしい」ということもありません。人それぞれ、どんな悩みにも、ちゃんと向き合っていきたいと思っています。ここ数年で医療はすごく進歩しました。当院も診療の向上をめざしつつ「患者に寄り添う診療」という基本スタンスは持ち続けたいと思っています。皮膚のことでわからない、心配だ、困っている、という方は、あまりハードルを高くせずに、気軽にお越しいただけるとうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみのレーザー治療/5500円~(別途自費の初診料1100円、再診料550円)