岩本 耕太郎 院長、岩本 達也 副院長の独自取材記事
帝国クリニック
(千代田区/日比谷駅)
最終更新日:2024/05/09

日比谷駅から徒歩3分。帝国ホテルの4階にある「帝国クリニック」は、1975年に開院した歴史ある内科クリニック。ホテルの宿泊客や従業員だけでなく、近隣住民や周辺の企業に勤めるビジネスパーソンの受診も多く、地域のかかりつけ医院として広く親しまれている。1993年から院長を務める岩本耕太郎先生は、同院の2代目。2024年4月からは、岩本院長の息子で糖尿病・内分泌疾患が専門の岩本達也先生が副院長として診療に加わり、新たなスタートを切った。親子二人三脚での診療が始まったばかりの岩本院長と達也副院長に、診療方針や治療の内容などについて話を聞いた。
(取材日2024年4月16日)
誰でも気軽に受診を。心と身体に向き合うクリニック
半世紀近く診療されてきた歴史あるクリニックだと伺っています。

【岩本院長】当院は、私の父が1975年に開院したクリニックです。帝国ホテル内という場所柄、近寄りがたいと思われるかもしれませんが、保険診療を中心に一般的な内科診療を行っています。患者さんはホテルに宿泊している方や従業員の方だけでなく、近隣にお住まいの方や周辺の企業にお勤めの方も多いです。また、英語対応も可能ですので、日本在住の外国籍の方が遠方から来院されることもあります。風邪や腹痛、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病の治療・管理といった一般内科の他に、ちょっとしたケガやメンタル面の不調など、地域のかかりつけ医として幅広く診療していますので、ぜひ気軽に足を運んでいただければと思います。
達也副院長は2024年4月から診療に加わられたそうですね。
【達也副院長】これまで父の背中を見て「医師になりたい」とこの道を志したので、いつかは父と一緒に診療したいと思っていました。現在は順天堂大学の代謝内分泌学講座に在籍し、順天堂大学医学部附属静岡病院の糖尿病・内分泌内科で勤務しています。当面、私は隔週の火曜日に診療いたしますが、少しずつ診療時間を増やしていく予定です。まだ診療し始めたばかりですが、大学病院とは異なり、患者さん一人ひとりに対して時間をしっかり取ることができるのがクリニック診療の利点だと感じています。私の専門である糖尿病の診療では食事指導が重要ですので、患者さんの生活状況を丁寧に聞き取って、その方のライフスタイルに合った治療やアドバイスをしていきたいと思っています。
達也副院長が入職されたことで診療の幅が広がるのでは?

【岩本院長】日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医の資格を持つ副院長の存在はとても心強いです。例えば、大きな病院に通院中の糖尿病患者さんの中には、長い待ち時間を負担に感じていたり、定期通院の間隔が空いて不安になる方もいらっしゃると思います。そのような場合に月1回は当院を受診し、病院には3~6ヵ月ごとに通うといった病診連携を取ることで、患者さんの負担や不安を軽減できるのではないかと考えています。
【達也副院長】大病院に患者さんが集中しすぎると、本来大病院での治療が必要な重症患者さんを受け入れられなくなることも考えられます。病診連携を強化することで、患者さんを必要な医療へと導きやすくするだけでなく、病院の混雑緩和にもつなげることで地域医療に貢献できればと思っています。
患者の思いに寄り添い一緒につくり上げる医療をめざす
診療の際に、重視していることはありますか?

【岩本院長】患者さんの訴えはさまざまですが、私が診療でお話ししているのは、睡眠と食事の大切さです。睡眠不足が続くと、多くの方がメンタルの不調が出やすくなると考えています。当院では必要に応じて質の良い睡眠を取るための方法をアドバイスしています。また食事に関しては、さまざまなメディアの情報を耳にして偏った食事を取ったり、無理なダイエットをしたりしている方も多く、体調を整えるための栄養の取り方・食事の仕方などについて説明することもあります。私は、専門の知識を学ぶことが「医学」だとしたら、患者さんと一緒につくり上げていくものが「医療」だと思っています。患者さん一人ひとりの希望や事情に耳を傾け、医学の知識を用いてその人に合わせてカスタマイズした診療を心がけていきたいですね。
達也副院長はお父さまである岩本院長に憧れて医師を志したそうですが、院長はなぜ医師になられたのですか?
【岩本院長】父方も母方も親戚一同医師ばかりで、私も自然と医師になるものだと思っていました。子どもの頃に父に往診に連れて行ってもらったこともあり、医療の世界は常に身近な存在だったのです。大学卒業後は、都内の総合病院で初期研修を受けました。当時は今と異なり、選択した診療科以外を回ることはなかったのですが、「将来内科の医師になるのだから、今のうちに幅広く経験を積んでおきたい」と思い、外科・放射線科・麻酔科も経験させていただきました。その後は千葉県の亀田総合病院で循環器内科や糖尿病の治療に携わり、また、アメリカに留学して遺伝子工学も学びました。直接内科に関係がない勉強も多かったのですが、無駄な経験は一つもないと考え、専門以外の勉強も大切にしてきました。効率の良い生き方とはいえないかもしれませんが、どんな経験も少しずつ今の診療のプラスになっていると感じます。
達也副院長から見て、院長はどんな存在ですか?

【達也副院長】クリニックも自宅とは別の場所にありますから、これまで父が医師として働いている姿はあまり見たことがありませんでした。しかし、医師としての父は自分の人生を常に楽しんでいるなと、子どもながらに感じており、父の生き方に憧れて同じ職業に就きたいと考えるようになりました。実際に医師になってみて思うのですが、医師としての経験ももちろんですが、医師の忙しい仕事と両立しながらプライベートも大切にする、そんな生き方を実践できている父により凄さを感じますし、尊敬をしています。これから一緒に診療していく中で、医師としての父の姿を見られると思うとワクワクします。父は私が理想とする医師ですので、父の診療スタイルを勉強したいと思っています。
医師ではなく親戚だと思って気軽に相談してほしい
お忙しいと思いますが、お二人のリフレッシュ法は?

【岩本院長】約40年間サーフィンをやっていて、今でも毎週のように海に行っています。スポーツは大体勝ち負けがありますが、サーフィンの場合は自然が相手なので、絶対に勝つことができません。勝ち負けではなく、どれだけ自分が普段の肩書きや社会的に背負っているものを取り去って自然に合わせられるか、そこがサーフィンの楽しさであり、やめられないところですね。私にとってのサーフィンはストレス解消というより、エネルギーのチャージです。週末に自然からエネルギーをもらって、月曜日からの診療に向けてパワーを蓄えています。
【達也副院長】私はアウトドアが趣味で、週末には家族とキャンプに出かけています。今は都心を離れて暮らしていて、豊かな自然に恵まれた環境なんです。川や山、海など行ってみたい場所がたくさんあって、就学前の遊び盛りの子どもたちと一緒に楽しんでいます。
達也副院長、読者にメッセージをお願いします。
【達也副院長】今は月2~3回の診療ですが、将来的には当院を継承するつもりでいます。父が実践してきた「患者さんと一緒につくり上げていく医療」をモットーに、地域に必要とされる存在になれるよう診療に取り組んでいきたいと思っています。特に糖尿病・内分泌疾患に関しては、専門性に基づいた診療を身近なクリニックで受けていただけると自負しています。老舗ホテル内という特殊な場所にありますが、日比谷や銀座、有楽町にも近くアクセスしやすい立地ですので、不調や健康に関する心配事があればいつでもいらしてください。
岩本院長も、読者へのメッセージをお願いします。

【岩本院長】達也副院長にある程度診療を任せられるようになったら、新しい仕事をやってみたいと思います。今考えているのは、外国籍の患者さんを対象にした往診です。来日中に具合が悪くなった外国人旅行者に、宿泊先のホテルまで往診する医療サービスを、若い先生方と一緒に立ち上げてみたいですね。もちろんこれまでと変わらず、何でも相談できるかかりつけ医でありたいとも思っています。医師の前では緊張してしまって、なかなか質問できないという話を耳にすることがありますが、私のことを「親戚のおじさん」だと思って、気軽に相談してください。今後も地域の皆さまから頼りにされるクリニックをめざして、丁寧な医療を提供してまいります。