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安藤智道 院長の独自取材記事

秋葉原メンタルクリニック

(千代田区/秋葉原駅)

最終更新日:2020/04/01

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認知行動療法と薬物療法を組み合わせた治療に取り組む「秋葉原メンタルクリニック」。秋葉原駅から徒歩1分という好立地で、会社員でも昼休みに受診しやすい。中学生の頃から精神科医を志望していたという安藤智道院長は、明快なお話と人懐こい笑顔が印象的な方。短期間で効果を実感できるよう配慮された治療計画と、具体例を用いた詳しい説明が特徴的だ。緊張感を与えないよう普段は着ないという、スーツ姿で取材に応じてくださった気さくな安藤院長に、クリニックのこだわりや今後の展望についてたっぷりお話を聞いた。
(取材日2013年3月29日)

薬物療法と心理療法を併用して、スピーディーな治療をめざす

和室を思わせる内装ですが、しっかりプライバシーに配慮されていますね。

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患者さん同士が顔を合わせる機会を最小限にするために、待合室から診療室、そして会計へと一方通行になるような構造にしました。診察室も防音装置をほどこし、音漏れしないようにしています。患者さんは近隣の会社員や自営業の方が多く、万が一にも取引先の人と会ってしまうようなことがないように心がけました。また、リラックスして診療を受けていただけるよう、障子や和風の照明を使い、誰もが自分の家にいると感じられるような内装にこだわりました。患者さんからも割と評判がいいですね。患者さんは、仕事上のストレスなどで調子を崩して通院を始めるうつ病や不安障害の方がほとんどです。実は、軽症の方が多くて、一か月くらいで治ってしまう方もいらっしゃいます。

薬物療法と心理療法で治療されているようですね。

抗うつ薬や睡眠薬、精神安定剤を使った薬物療法をベースに、補充的に心理療法(認知行動療法)を用いています。薬の使用を心配される方もいらっしゃいますが、治療期間を短縮するためにも、使ったほうがいい場合が多いのです。認知行動療法は有効な治療法ですが、患者さんに認知行動療法を理解して実践してもらうためには、1ヵ月ほどかかってしまいます。その間、薬で症状を改善しつつ治療を進めていったほうがスピーディーです。ただ、気を付けているのは、薬を飲むと、頭の中でどういうことが起きて、それがどのように症状を消すのかということを十分に説明することです。信じられないかもしれませんが、治療の仕組みを理解してもらったほうが、薬が早く効くのです。通常、抗うつ薬が効くまでに、2週間くらいかかると言われていますが、当クリニックの患者さんには1週間しないうちによくなっていく方もいます。働きながら通院される方も多いので、決まりきった期間服薬するのではなく、症状の軽重によって治療期間を明確に区切っています。

診療の上で大切にされていることはなんでしょうか?

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困ったときは気軽に相談できる、「心のかかりつけ医」をめざしています。そのためには、患者さんに「受診してよかった」と思ってもらう必要があるので、病気や治療法、薬についてのわかりやすい説明を心がけています。そして、ある程度治療が進んだ段階で、「治療・リハビリ・予防」を一体的に行うためのプランをお話します。「治療が終わったら終わり」ではなく、以前の生活に早く戻り、再発させないためのアドバイスを行うんです。具体的には、まずリハビリとして、自分の気持ちをコントロールしながら単純作業を続けてもらいます。そうすると、脳の中の意思を司る部分が強化されて、意欲が湧き、気持ちをコントロールする力がアップします。次に予防のために、調子が悪い時にどういう状態になるのかを分析して、ご自分でストレス管理に努めてもらうのです。医療はあくまで手段であり、治療の主役は患者さんです。医師の仕事の本質は「受診してよかった」と満足していただくこと、それに尽きるかもしれません。

気持ちを切り替える思考法を習得することで、ストレスを減らす

認知行動療法について説明していただけますか。

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一言でいうと、ストレスの感じ方を自分でコントロールする治療法のことです。「認知」とは、人間が外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断する過程のことで、気分や体調、環境によって変化するものです。例えば、職場で上司から何かネガティブなことを言われたとしても、それを批判と受け取るか、指導と受け取るかによって、ストレスのかかり方が違うということが理解できます。そして、自分は疲れている時に、人の意見を批判ととらえやすいということが認識できていれば、「あ、今は批判ととらえてしまったけれど、疲れているからそう感じてしまったのかもしれない」と考えられる。そうやって気持ちを切り替えられれば、ストレスを減らせるのです。それが認知行動療法のベースとなる考え方です。

具体的な治療の流れについて教えてください。

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具体的に言うと、自分の中で「うつっぽい気持ち」が出たときに、それをどうしたら切り替えられるかを練習してもらうのです。例えば、会社の同僚と話していて視線が合わないと感じた時に、それをどう受け止めるかによって、ストレスのかかり方が違いますよね。3つの考え方の例を挙げてみます。1つ目は、「相手の体調が悪いからではないか」と考えるパターンです。そうしたら、体調を気遣う優しい気持ちになって、ストレスは少ないですね。2つ目は、「自分が一生懸命話しているのに、相手に聞く気がないのではないか」と考える。相手を嫌なやつだなと感じるので、1つ目より少しストレスが増えます。3つ目は、「自分が過去または現在、相手に何か失礼なことをしてしまった結果、相手が怒っているのではないか」と考えるパターン。この場合、自分を責める気持ちが出てきます。3つの中で一番ストレスが強くかかります。うつ病を患うと判断力が落ちるため、とにかく全部自分が悪いと考えてしまい、ほとんどの場合、3つ目の考え方になります。つまり、自分でうつをつくってしまうのです。このような思考の仕組みが理解できていれば、いったんは「自分が悪い」と思っても、「いや、待てよ。ほかの可能性があるのかもしれない」と思い直すようになります。その思考法を身に付けるために、最初のうちは生活記録をつけてもらい、診療時に悲しい気持ちになった出来事を振り返りながら、受け止め方の他の可能性を医師がお話していきます。似た刺激には似た反応が出るものなので、パターン化して覚えておくと、次に何かあった場合、同じ対処法を用いて、考え方を切り替えられるようになるのです。これが身につけば、自分でうつをつくらなくなる。一日のうちの半分でも実践できると全然違いますよね。このようなトレーニングを利用して治療するのが認知行動療法です。

患者の社会復帰をサポートし、メンタルの病気への偏見を払しょくしたい

患者アンケートの結果が院内に貼り出されていますね。

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メンタルクリニックは、医療とホスピタリティ、その双方を提供するべきだと私は考えています。そこで、昨年、患者さんたちへのアンケートを実施しました。病気や治療に関することは直接聞くことができますが、クリニックの雰囲気、私やスタッフの対応に関することなどは訴える場所がありませんよね。ただでさえストレスを抱えている方にとっては、ちょっとした不満であっても心にためたまま来院されると、さらなるストレスにつながってしまいます。例えばアンケートに寄せられた「診療時間が短い」という声には、混雑予想をグラフで示し、なるべく空いている時間に予約をしてもらうようお願いしました。

なぜ精神科医をめざされたのですか。

中学時代、北杜夫さんの小説をたくさん読んでいました。躁うつ病だった彼は、躁の時とうつの時で書く内容がまったく違っていて、「これは面白い。こんな人がいるんだったら、ぜひ会ってみたい」と思ったことがきっかけです。はじめは精神科の医師をめざすか心理学者をめざすかで迷っていたのですが、「心理学者になっても、患者さんの精神状態は研究できないらしい」と聞き、結局は精神科医になろうと決めました。実は、研修医をしていた時に、外科に進もうかと少し迷ったこともあったのですが、初志貫徹が大切ですね(笑)。

休日はどのようにリフレッシュされていますか?

大学の先輩からトライアスロンのレースに参加しようと誘われていて、トレーニングのために走ったり泳いだりしています。一昨年から始めたのですが、実は昨年、トレーニングで無茶をしすぎて、肉離れを起こして、レースに出られなくなってしまったのです。ようやく最近、20キロくらいまで走れるように回復してきたので、そのうちにレースに出たいと思っています。

今後の展望について聞かせてください。

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以前は、「メンタルの病気になってしまったら、自分の人生はおしまいだ」というイメージがありました。最近は、治療すれば治ると意識してくれている人も増え、クリニックへの敷居が低くなってきました。ですが、まだまだ意識改革が必要だと感じています。例えば、がんは「怖い病気」「すぐに死んでしまう」という固定観念があって、健診を受けることすらためらう人が大半でした。しかし、がん治療に携わる医師や看護師らが「治療すれば治る」「治らない場合でも対処法がある」というメッセージを強く打ち出し、早期発見・早期治療が大事だというキャンペーンを張ったことが成功し、現在の状況があるのです。メンタルの病気も、早めに気づき早めに治療していけばきちんと治るということをわれわれが情報発信していかなければなりません。そのためには、患者さんが一日も早く社会復帰できるよう努め、精神科の病気は怖い病気ではないということを多くの人に理解してもらうことが必要です。われわれ精神科の医師にはそういう使命があると思っています。

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