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安藤 智道 院長の独自取材記事

秋葉原メンタルクリニック

(千代田区/秋葉原駅)

最終更新日:2024/03/01

安藤智道院長 秋葉原メンタルクリニック main

秋葉原駅から徒歩1分のビルの一室にある「秋葉原メンタルクリニック」。入り口を入るとすぐに、バイオリンが奏でるBGMと、和室をモチーフにした落ち着いた雰囲気の待合室がある。にこやかな表情と明るい話し方が印象的な安藤智道院長は、認知行動療法の理論を用いた心理的アプローチにも力を入れているそうだ。このエリアはオフィス街のため、サラリーマンの患者が多いという同院で行っている治療や患者への思いについて安藤院長に話を聞いた。

(取材日2023年4月3日)

患者の動線に配慮し、内装を工夫

どのような患者さんが多く来院されているのですか。

安藤智道院長 秋葉原メンタルクリニック1

オフィス街ですから、20~50代のサラリーマンの方がたいへん多いです。企業の健康管理室などから紹介を受けて、当院に来られる方もいらっしゃいますね。また、サラリーマンでも管理職や、さらには経営者の方、職業や業務内容的に特にストレスにさらされやすい環境にある方もいらっしゃいます。もともとタフであったりトレーニングを受けたりしていても、心身に不調をきたすことがあるのです。最近はメンタルヘルスに力を入れている企業も多いので、そういった流れがもっと広がればいいなと思っています。

クリニックの内装に凝っていますね。

それには理由がありまして、患者さんの動線に配慮しているからです。当クリニックは完全予約制なのですが、待合室と会計を挟んで中央に診察室があり、ドアを2つ設けて、待っている人と会計をする人が会わないようにしています。近隣の企業の方が来院するので、たまたまとはいえ、同じ企業の人が出会ってしまう可能性もありますよね。ですからプライバシーに配慮してこのような構造にしました。ちなみに私は和室が好きなので、建築士さんと相談して、そういった雰囲気を感じさせるデザインにしました。

患者さんにはどのような症状の方が多いですか。

安藤智道院長 秋葉原メンタルクリニック2

さまざまですが、ストレスが原因によるうつ病、不安障害がやはり多いですね。ですが、最近は成人の発達障害の方も多くいらっしゃるようになってきました。近年の研究が進んだということもあるでしょう。発達障害には大きく分けて、知的、言語、学習、コミュニケーション、注意、に関する5つの障害があります。知的、言語、学習は、学校などで小児のうちに気づき、対応されることがありますが、コミュニケーションや注意は大人になるまで目立たず、仕事をしてからいろいろな問題が生じて来院される方もいます。ただ、発達障害だとわかって、お薬や仕事などのやり方を変えるだけでも症状の改善が見込めることもあります。最近では発達障害の認知が広がったためか、自分でいらっしゃる方だけでなく、一般内科の先生がお気づきになってそこから紹介を受けて来院される方もいますね。

認知行動療法の理論を利用した心理的なアプローチ

行っている治療について教えてください。

安藤智道院長 秋葉原メンタルクリニック3

まずは薬物療法です。精神科の医師として勤務医から開業医を続けて長いですが、うつ病をはじめとする病気のお薬が豊富になり、症状を軽くする効果が期待でき、副作用も少ないものが増えました。当院での治療が難しい方には、連携している大学病院で経頭蓋磁気刺激療法(TMS)ができるところなどを紹介します。加えて行っているのは、認知行動療法の理論を利用した心理的なアプローチです。また、当院では漢方薬やサプリメントも扱っています。

心理的なアプローチについて詳しく教えていただけますか。

何らかの原因でストレスがかかった時の考え方や感じ方には、人それぞれ癖のようなものがあります。それは大体いくつかのパターンに分けられますので、「あなたはこう考えていないですか?」などとお話をしていき、「それならこう気持ちを切り替えてみたら楽になるのではないですか?」と提案していくような形です。あくまで患者さんご自身に気づいていただいて、気持ちをどう切り替えていくかを探っていくような感じですね。先ほどお話しした考え方や感じ方の癖は、自分で認識できていないとなかなかコントロールできないのです。また、その人の過去に何があったか、例えば家庭環境や人間関係などが考え方や感じ方の癖の原因になっていることもありますので、それを詳しくお聞きしていくことも重要です。

治療には患者さん側の要因も大きいのですね。

安藤智道院長 秋葉原メンタルクリニック4

はい。実は重い症状の患者さんでも、本来は自分で症状を改善していく力というものがあるのです。それが例えば、自分の思い込みであったり、置かれている環境であったりで、自分自身でその力を発揮することができないこともあります。それを先ほどお話ししたように、考え方や感じ方の癖を修正するお手伝いをしていくのが私たちの役目です。現在、メンタルクリニックに来院される方の気持ち的なハードルはだいぶ下がりましたが、やはり心理的なアプローチに対して「何をされるのだろうか。自分が自分でなくなるのでは」などと怖い気持ちを持たれている方もおられるようです。そのような不安を払拭できるよう、「病気を治す力はあなた自身にもあります。私たちはそのお手伝いをするだけですよ」と、私は患者さんにメッセージとしてお伝えしています。

コロナ禍による影響は何かありましたか。

そうですね、コロナ禍をきっかけに心身が不調になられた方も多く、リモート診療も検討したのですが、やはりメンタルクリニックでは難しいという面も感じましたね。やはり患者さんと直接お会いして、お話を聞くだけでなく、表情の細かい変化や目線の動き、すべてを診ながらいろいろと判断していくわけです。リモート通信の品質は確かによくはなりましたが、なかなか実用化までには難しいというのが私だけでなく、他の医療機関の先生ともお話ししたところです。

「メンタルケアにおけるかかりつけ医」でありたい

先生のリフレッシュの方法はなんでしょうか。

安藤智道院長 秋葉原メンタルクリニック5

昔はトライアスロンをやっていたのですが、今は週2回テニスをしています。自分自身が健康でなければ患者さんを応援して、元気になっていただくこともできませんので。ちなみにですが、それは企業にお勤めのサラリーマンの方も同じですよね。管理職が元気でなければ部下の応援もできなくなる。そういう意味で、リフレッシュの時間が取れるような働き方を、経営者を含めた皆さんにも心がけていただきたいと思います。

患者さんを「応援する」というのはいい言葉ですね。

そうですね。私のモットーは「頑張って働いている人たちを応援したい」ということです。ですから「メンタルケアにおけるかかりつけ医」でありたいと思っています。先ほどもお話ししましたように、タフな方でも心身の調子を崩すことがあり、ストレス処理のアンバランスが起きたら誰でも平等にというか、同じように症状が出るものです。そこでその人がどうリカバリーするか、またそのタイミングが早いかどうかでその後の人生に大きく影響していくと思います。私はかかりつけ医として、本当にちょっとした不調、軽症でもいいから気軽に受診していただきたいと思っています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

安藤智道院長 秋葉原メンタルクリニック6

患者さんそれぞれで治療のゴールもさまざまです。もうお薬が必要なくなった、などの具体的指標もありますが、まずは今のつらい状態がなくなることが大切。それから、日常生活を普通に送れるようになった、さらには趣味などで自己実現できるようになった、などをめざしていくのです。来院された当初は本当につらそうだった患者さんが次第に回復していって、「今日で診療は終わりです」と伝えることができたら、やはりそれが私にとって一番うれしい瞬間になります。来院された患者さんと、そういった喜びをこれからもたくさん共有していくために、診療にあたりたいと考えています。

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