玉野 幸子 院長の独自取材記事
駿河台歯科
(千代田区/新御茶ノ水駅)
最終更新日:2026/03/09
2001年、東京メトロ千代田線・新御茶ノ水駅から徒歩1分のオフィス街に開業した「駿河台歯科」。院長を務めるのは、ユニットは2台とコンパクトなクリニックで、予防ケアから治療までのすべてをほぼ一人で担当してきた玉野幸子先生。「患者さんの気持ちはよくわかります」と語るその表情はとても穏やか。しかし、実は自身も幼少期から歯の問題で苦労し、入れ歯やブリッジ、インプラント治療、歯周外科治療まで一通り経験。その実体験が、患者の不安に寄り添う診療の原点になっているという。アットホームな雰囲気も魅力的な院内で、同院の特徴や、診療へかける思いなどを語ってもらった。
(取材日2026年2月7日)
患者の気持ちがわかるからこそ個々に向き合いたい
まず、歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

実は私、歯の神経の治療はもちろん、入れ歯もブリッジもインプラントも、歯周外科治療まで経験しているんです。子どもの頃から本当に歯が悪く小学1年生の時には12本もむし歯があると言われましたし、高校生の頃には歯茎が頻繁に腫れるようになりましたが、なぜそうなるのか当時はまったくわかりませんでした。転機となったのは予備校時代。顔が腫れるほどひどくなって駆け込んだ歯医者さんで「このままだと、君は25歳で歯がなくなるよ」と言われたんです。本当にびっくりしましたが、そこで初めて歯周病の怖さを知り、歯磨きや歯間ブラシの大切さに目覚めました。だからこそ患者さんの気持ちはよくわかりますし、どこが足りないのか、なぜこうなっているのかをしっかり教えられる歯科医師になりたいと思い、歯学部を志しました。
こちらで開業された経緯をお聞かせください。
勤務医時代の経験から「一人ひとりに目が届くような診療をしたい」という思いがありました。御茶の水周辺で物件を探していたところ、縁あってこの場所に出会ったんです。ユニットが2台しか入らない広さでしたが、私にとってはむしろちょうど良かった。できることなら予防から治療まで全部自分で診たいと思っていましたから。実際に診療はすべて私一人で行っていて、型を採るのも歯石を取るのも私の仕事です。以前、歯科衛生士さんにお任せしたこともあったのですが、やはり自分で診た方が良いと判断し、今のかたちに落ち着きました。小規模だからこそ、一人ひとりに向き合えるクリニックをめざしています。
こちらには、どのような方が通っていますか?

周辺にオフィスビルが多いこともあり、会社員の方を中心に通っていただいています。開業から25年がたち、当時は近くの勤務先から通ってくださっていた方が、転勤や転職、定年退職などを経て、今では遠方からわざわざ通ってくださるというケースも少なくありません。ありがたいことにご家族を紹介してくださる方も多く、信頼関係を築けていると思います。長くお付き合いしている患者さんが多いので、10年ぶりにいらした方とも、まるで昨日会ったかのようにポンポンと会話が弾むんですよ。スタッフと患者さんが和やかに話す場面もよく目にしますし、本当にアットホームな雰囲気です。患者さん一人ひとりの状態をずっと把握できているのも、私が一人で診療しているからこその強みだと思います。
予防を「当たり前」に、情報を持ち帰ってほしい
診療で特に力を入れていることを教えてください。

歯が悪くならないようにすることを常に考えています。削るということは歯によろしくないです。そもそもむし歯にならなければ削る必要もないわけですからね。一般的にはそれを「予防歯科」といいますが、私の中では当たり前のことなので、特別なこととは思っていないんです。むし歯も歯周病も、ある程度進行するまで症状が出ないのが厄介なところ。だからこそ定期的なチェックが必要です。定期検診では、ただ確認するだけでなく、クリーニングをしたり、日常生活に潜むリスクを一緒に見直したりして、その後の行動変容につなげていきます。「継続は力なり」です。
セルフケアについて、どのようなアドバイスをされていますか?
「磨いているのと磨けているのには大きな差がある」ということを、いつもお伝えしています。皆さん朝晩しっかり磨いていらっしゃるかと思いますが、磨き癖というものがあって、今日磨ききれなかったところは明日も磨けていないものです。人によって歯の形も生えかたも違うので、同じ磨き方では磨けないことも多いです。当院の定期検診では、プラークチャートをつけます。その数値や磨き残しの量に、皆さん一喜一憂なさっています。その後、デンタルフロスや歯間ブラシなどで実際に磨ける方法を一緒に探します。道具を替えると磨ける所も変わりますから、デンタルフロス、歯間ブラシ、ワンタフトブラシと、手を替え品を替え磨くこともお勧めです。毎日完璧にできなくても、やった分だけ返ってくると思って続けてほしいです。
患者さんへの対応で心がけていることはありますか?

まずは困っていることがないかを必ず伺います。過去の治療歴も含めてどんなことでも教えていただければ、それに対応したいです。診療中は患者さんの症状に対して「何故」を大事に診療しています。むし歯になった歯はもちろん、ならなかった歯の原因を探ることで今後の予防につなげていけます。また歯医者さんが苦手という方には、ペースをゆっくりにしたり、お口の開け方に配慮したりしています。私自身も痛い治療を経験してきましたから、その気持ちはよくわかるんです。そして何より大切にしているのは、情報をお伝えすること。口の中は見えるようで見えませんし、他の人と比較することもないので、何が正常かわからなくて当たり前。歯科医院を「自分のための情報を知る場所」として活用していただき、些細なことでも納得してから治療を受けてほしいと思っています。
今からでも遅くない、自分の健康を大切に
今後、力を入れていきたいことはありますか?

もっと患者さんに情報発信をしていきたいと思っています。例えば歯磨きの方法一つとっても、私が歯を磨いていて「なぜ汚れが落ちないんだろう」と疑問に思うことが過去にあったんです。そこで従来の方法では歯茎に当たっても歯のほうはあまり磨けていないことに気づいたりと、そういう発見を伝えていきたいですね。例えば、歯を磨く際に歯ブラシを当てる角度をいつもと変えて、根元から先に当てることを勧めたりしています。また、患者さんの中には、血圧のお薬を飲んでいる方、糖尿病の方、骨粗しょう症の方もいらっしゃいます。患者さんの年齢や全身の状態に合わせた対応を、これからも大切にしていきたいです。
スタッフさんについてお聞かせください。
受付や事務周りをお任せしているスタッフは、もう20年以上この場所で、私と一緒に患者さんをお迎えしています。一度見た方の顔はほぼ覚えているようで、会話もとても上手ですし、患者さんと良好なコミュニケーションを取ってくれています。お電話などもスタッフがしっかり対応してくれるおかげで、私は診療に専念できています。本当にありがたいですね。詰め物が取れたときなど、お電話をいただければ、治療歴を確認しながら対応していますので、患者さんに安心していただけていると思います。この温かい雰囲気は、スタッフと一緒につくり上げてきたものです。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

自分の健康を後回しにしないでほしい、これが一番お伝えしたいことです。仕事が忙しいからと病院に行けない方のお話も聞きますが、歯に限らず気になったらすぐに行ったほうが良いです。人生100年時代、むし歯にも歯周病にもならずに歯を使い続けることは難しいですし、長年使っていれば割れたり欠けたりすることもあります。でも、今からでも遅くありません。80歳になる母も昔はかなり歯が悪かったのですが、今はしっかりと治療を終え、メインテナンスに通っています。やろうと思えば、いくつになっても何でもできるんだなと思います。体をつくっているのは食べ物ですが、その食べ物を取り入れているのは口です。口がしっかりしていないと、全身の健康にも影響します。患者さんには、自分の口の中に安心感を持ってほしい。「今は大丈夫」と自分で思えるように、一緒に歯を守っていきましょう。

