河野 英雄 院長の独自取材記事
麹町内科
(千代田区/半蔵門駅)
最終更新日:2024/06/17
半蔵門駅から徒歩30秒ほどのビルの2階にある「麹町内科」。院長の河野英雄先生は東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学病院で痛風や高尿酸血症の診療にあたってきた。さらに麻酔科でも研鑽を積み、総合病院では救命救急にも携わった。2008年に開業してからは、それまでの診療経験を生かして内科、皮膚科、麻酔科などの幅広い診療を行っている。近年では花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギー性疾患の治療にも力を入れ、特に花粉症では、患者のニーズに応じて飲み薬だけでなく注射による治療も行う。出身校である東京慈恵会医科大学の「病気を診ずして病人を診よ」という教えを大切にし、患者一人ひとりにしっかり向き合う河野先生に、花粉症やアトピー性皮膚炎の治療、他院とのネットワークについて聞いた。
(取材日2024年2月14日)
医師である父の勧めで、医療の道へ
先生はなぜ医師をめざしたのですか?
父からの勧めもあり、子どもの頃から医療の道を視野に入れていました。私の父は整形外科の医師だったのです。私と同じ東京慈恵会医科大学の出身ですから、先輩でもありますね。実は私、勉強嫌いなんですよ。「六法全書を覚えるのは大変だ」という理由で弁護士を諦めたくらいですから。ですが、医師になるための勉強はスムーズに頭に入っていきました。もともと理数系が好きでしたから向いていたのかもしれません。私は人と接することが好きな性格で、患者さんの悩みを聞きながら、「この患者さんのために何ができるか」を考えて診療にあたっています。この性格も医師に向いていたのでしょう。今は医師として患者さんが元気になるための手助けができることに、喜びを感じる毎日です。
開業までのご経歴についてお聞かせください。
東京慈恵会医科大学を卒業後は、同大学病院で主に痛風と高尿酸血症の診療にあたってきました。その昔は痛風といえば整形外科の領域だったのですが、私が大学病院に勤務し始めた当時は、痛風が整形外科から内科の領域に変わり始めた頃でした。痛風の治療は投薬がメインですが、痛風結節といって尿酸の塊ができてしまう病気もあります。今ではあまり見ない症例ですが、当時は痛風結節の患者さんも多く、手術が必要なこともあったんですよ。大学病院では麻酔科でも研鑽を積みまして、後に勤務した総合病院ではその経験を生かし、内科全般に従事しながら救命救急にも携わってきました。内科の診療を幅広く経験した後、2008年に当院を開業しました。
どのような方が多く通院されているのでしょうか?
会社勤めの方が多いですね。お昼休みを利用して来院される患者さんもいます。会社帰りに立ち寄る方も多いので、当院では18時まで受付を開けています。ちょっとした体調不良から季節のアレルギーまで、症状は幅広いです。最近では花粉症やアトピー性皮膚炎、じんましんなどのご相談も多いですね。アトピー性皮膚炎は先天性のものが大半で、子どもの頃に発症するケースがほとんどです。一方、じんましんは大人になってから何かのきっかけで急に発症することが多く、慢性的な症状に悩んで受診される方もいますが、いずれもきちんと治療を続ければ症状の改善が見込めます。
患者の職業やライフスタイルに応じた治療法を提案
なぜ、花粉症の治療に力を入れるようになったのですか?
花粉症で困って受診される患者さんが増えていることが一番の理由です。昔と比べて花粉症は増えていると実感しています。その原因は、花粉の飛散量が増えていることもありますが、発症時期が若年化していることもあると考えています。昔は花粉症を発症する年齢は23歳ぐらいが一般的とされていましたが、今は小学生で花粉症になるお子さんも多くいます。花粉症がひどくて日常生活や仕事に支障を来している方は、特に働き盛りで忙しい世代に多いので、困っている患者さんをとにかく一刻でも早く楽にしたいという思いで治療にあたっています。
花粉症の治療方法について教えてください。
当院では飲み薬の他、注射による治療も行っていて、患者さんの症状や職業、ご希望などに応じて治療法を考えていきます。今では、注射による治療をしている医療機関は少ないでしょう。その理由は、飲み薬で改善が望める薬がたくさん登場しているためです。でも、その一方で、症状が重くて飲み薬では改善が見込めない方や忙しくて頻繁に受診できない方、毎日薬を飲むのが煩わしいという方もいらっしゃいます。また、例えば、すしを握って提供するすし職人や運転手など、職業柄お客さんが目の前にいて「どうしても鼻水を止めたい」「すぐにどうにかしたい」と、悩みを抱える患者さんもいます。そのような方には注射をお勧めしています。個人差はありますが、1回の注射でだいたい1ヵ月ほど効果が望めるので、その便利さを求めて遠方から新幹線で来院される方もいらっしゃいます。
アトピー性皮膚炎やじんましんの治療にも注力されているとお聞きしました。
アトピー性皮膚炎は、症状に応じて塗り薬だけでなく飲み薬や注射も併用しながら治療を進めます。重症の方は治療が長期にわたりやすく、つらいかゆみの症状を塗り薬だけで抑えようとするとステロイド剤の使用量が増えてしまうためです。ステロイドを多用すれば皮膚が薄くなるなどのデメリットも生じてしまうので、飲み薬や注射で体の中からもアプローチすることで、ステロイドの使用量を減らしたいと考えています。ただし、かゆみが治まったように感じたからといってそこで治療をやめてしまうと、症状が元に戻ってしまう恐れがあるため、根気強く治療を続けることが大切。じんましんは、ストレスなどのきっかけで発症することが多く、一度発症すると、その後はちょっとした刺激でも、何かあればじんましんが出やすくなってしまいます。良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性じんましんに悩む患者さんもおり、こちらも根気強く治療を続けることが必要です。
街のホームドクターとして、医療機関と幅広く連携
診療における先生のモットーを教えてください。
患者さんの希望に沿った治療を心がけています。患者さんが希望しなければ、無理な治療は勧めません。そして患者さんとしっかり向き合うこと。これは私の出身校である東京慈恵会医科大学の「病気を診ずして病人を診よ」という教えにも通じます。病気ばかりに集中せず患者さん一人ひとりの話をきちんと聞いて、オーダーメイドの治療を提案できること。医師が「病気」から一歩引いて患者さんその人と向き合うことが、とても大切だと思っています。その上で、ホームドクターとして幅広い症状に対応できること、必要に応じて専門の医療機関や医師を紹介できるクリニックであることをモットーとしています。
さまざまな医療機関と幅広く連携しているのですか?
はい。「開業医は専門分野を持っている必要はない」というのが私の考えで、それは紹介できる先生とのネットワークがあるからこそ成り立つもの。当院でもすべての症例に私一人で対応することは不可能です。まずは私が診察し、必要があれば適切な病院、適切な先生を紹介します。例えば、整形外科でも、腰が痛いなら腰を専門とする医師のいる整形外科へ、膝が痛いなら膝専門の整形外科に行くことが望ましいですが、患者さんがそこまで調べることは難しいでしょう。そこを見極めて適切に紹介するのがホームドクターである私の役割だと思っています。提携先は大学病院やクリニックなど幅広く、それぞれに強みがあります。クリニックのスピード感が必要な症状もあれば、大学病院など専門性の高い施設でないと対応できない症例もあるはず。総合的に判断し、患者さんの症状と希望に合った医療機関をご紹介します。
今後力を入れていきたいことと、読者へのメッセージをお願いします。
私が専門とする痛風の診療や花粉症などアレルギー性疾患の診療に、さらに力を入れていくと同時に、当院ではまだ取り組んでいない新たな治療にも挑戦していきたいと考えています。医療の常識は時代により変化しており、新しい医療技術も次々生み出され、治療の選択肢が幅広くなっています。これからも医師として常に情報へのアンテナを張り、患者さんに還元していきたいですね。また、当院では健康や美容の相談にも乗っています。どんなことでも、お困り事があれば気軽にご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは花粉症の注射/1万1000円~