辻󠄀 恒夫 院長の独自取材記事
銀座マロニエ歯科
(中央区/銀座駅)
最終更新日:2026/05/12
ドアを開けると落ち着いた雰囲気の待合室。ふわっと香る優しいアロマの香りに包まれる。「五感でリラックスしてほしい」と語るのは、「銀座マロニエ歯科」の辻󠄀恒夫院長。同院の優しい雰囲気と、先生の柔和な笑みが印象的だ。辻󠄀院長はアメリカへの留学経験を持ち、そこで培った丹念にコミュニケーションを取るスタイルを生かしながら、「信頼」を意識したインフォームドコンセントを徹底。英語圏の外国人患者も多く訪れている。同院では、審美歯科に注力するだけでなく、その先の予防とメンテナンスにも力を入れているのが特徴だ。非常に温和な一方で「歯科治療には、とことんこだわる」と治療への熱意をのぞかせる辻󠄀院長に、治療のこと、同院のこと、留学での体験などについて話を聞いた。
(取材日2026年4月3日)
リラックスに徹底的にこだわった歯科クリニック
クリニックの環境づくりでこだわった点はありますか。

大事にしていることはリラクゼーションです。よくある「白」は、清潔感があって良いのですが、逆に緊張してしまう方もいるかもしれないと思い、ブラウンのウッド調の内装にしています。また、私は消毒のにおいが嫌いなので、アロマディフューザーを各診察室に入れています。香りはどのようなものが良いのか、私一人で決めるのではなく、患者さんのご意見を伺ったり、スタッフの声も聞いたりしながら、いろいろ試しています。かんきつ系の香りが多いでしょうか。患者さんに五感で感じてリラックスしていただければいいなと思っています。
診察ユニットのヘッド部分にはスピーカーがついているそうですね。
はい。ユニットにスピーカーをつけるアイデアは、実は患者さんからいただいたものです。もともと歯を削る音を消したいと思ってはいたのですが、ある患者さんが診察中、「削る音を聞きたくない」と携帯音楽プレーヤーをつけていたのです。これは使えると思いまして、スピーカーをつけるようになりました。元大手メーカーの方がアレンジしてくれているので、音質も良いですね。音については、当院は完全個室なので、隣のユニットで行っている治療の音も聞かずに済むようになっています。
個室に強いこだわりをお持ちなのでしょうか。

そうですね。一人の患者さんにきちんと長く時間を取り、きちんと話したいので、隣からの雑音は減らしたいと思っています。私自身が急かされるのが性に合わないというか、集中したいというところもありますね。個室は3つあり、1つは歯科衛生士のクリーニング用、1つは通常診察用、もう1つを外科用に使っています。そのために、裏動線をしっかりと確保する造りになるように設計してもらいました。このビルのオーナーさんがとても良い方で、入居時にリフォームする際にはいろいろとご配慮いただいて、造りたいと思っていた歯科クリニックのイメージにとても近いものができたと思っています。
外国籍の患者が多く訪れる理由
歯科医師をめざされた理由と、経歴についてお教えください。

歯科医師をめざしたのは、父が歯科技工士をしていた影響が大きいですね。子どもの頃から、配達の手伝いをしていたのですが、ある歯科クリニックでひどい扱いを受けたことがありまして、それで「自分も歯科医師になって追い越そう」と思ったことがきっかけです(笑)。留学をしたのは父の勧めがあったからです。父に「留学したいか」と聞かれて、自分としては語学留学くらいならいいかなと思っていたのですが、国家試験が終わって2週間ほどして家に帰ってみると、アメリカまでの片道航空券がポンと置いてありました(笑)。だから私は、国家試験の結果が出ないうちからアメリカに送り出されたわけです。英語の勉強をして1、2年で帰ろうと思っていたのですが、結局7年半も過ごすこととなりました。
留学中はどのようなご経験をされましたか?
当初は、昼間は語学を学び、夜は大学の先生のところへ住み込みで手伝いをしながら勉強するという毎日でした。最初は、言葉が通じないというのが本当につらかったです。でも、いろいろな国から来た学生たちと親しくなってからはすごく楽しくなりました。最初についた先生は、ストマトロジー(全身口腔医学)に携わる先生の中でもとても珍しく、排泄物まで見て歯のことを考える方で、印象深かったですね。アメリカの歯科教育は、カリキュラム終了後にすぐ一線で活躍できるような実学主義で、そこは勉強になりました。徹底したコミュニケーションというスタイルもそこで身につけたものです。
患者層について教えてください。

年齢のボリュームゾーンは20代から50代くらいです。この近辺にお住まいやお勤めというより、多くの方は電車に乗っていらっしゃいます。審美歯科を求めていらっしゃる女性が6~7割、あとは外国人の患者さんも多いですね。主に英語圏の方々です。外国の方が多いのには理由がありまして、開業時の相棒だった歯科医師が、家庭の都合で実家に戻ってしまったことがきっかけです。私は生まれも育ちも名古屋で、アメリカ留学から帰国後、たまたまご縁があって、その先生と銀座で開業したわけですが、1人になって東京の土地勘はないし、患者さんのコネクションもなく、困り果ててしまって。そこで英語ができることを生かして、大使館に飛び込みの営業のようにお声をかけさせていただいて、外国人の方が多く来院されるようになりました。その後は、来院された外国人の方が会社の同僚に勧めてくださったりして、外国籍の患者さんが増えていったという経緯です。
審美歯科でもメンテナンスを重視して、長い付き合いを
審美歯科を求めて訪れる患者さんが多いのはなぜでしょうか。

外国籍の患者さんのご縁で、ある美容整形の先生の通訳を引き受けたのを機に、審美歯科を求める患者さんのご紹介をいただくようになったのです。女性の患者さんは、補綴などに関するご相談が多いのですが、同様に多いのが他の歯科クリニックでの治療に関するご相談です。セカンドオピニオンのように意見を求められることがありますね。これは誰が良いとか悪いということではなく、歯科医師もそれぞれ得意分野がありますから、お互いにフォローし合えば良いと私は考えています。ご相談を受けた後は、私では本当にベストな治療は難しいと判断したら、信頼できる他の歯科クリニック・歯科医師をご紹介するようにしています。また、最近気になるのは、ネット上で見た情報をうのみにして、矯正や審美歯科に関する間違った知識を持っている方。一つの情報として参考にする程度に調べるのはいいのですが、そこに振り回されるのは危険だと感じています。
診療する上でのポリシーはどのようなことですか。
基本的に、まず話して、説明して、納得していただいて、両者で施術の内容に合意して、それからようやくゴールに向けて走り始めることができます。だからコミュニケーションは一方通行じゃ駄目で、本当に言いたいことを言っていただけないと意味がありません。それは、コミュニケーションの前に、きちんと信頼関係を築くということなのです。「インフォームドコンセント」とよく言われますが、その前提の「信頼関係」が得られているかどうか、本当はそこが一番大切なことのように思っています。自分も医療機関を受診した時に感じますが、患者さんと医師・歯科医師は相性が合うか合わないかということも重要です。ですから、最初の問診でじっくりお話をお聞きし、長く通いたいと思ってくださった方には責任を持ってアプローチしていきます。
最後に、今後の展望についてお聞かせください。

銀座に開院して30年近くがたちました。私が年を取ったということもありますが、あまりガツガツと患者さんをもっと増やそうとか、そういうことは考えてないのですよね。当院の経理を見てくれる会計士からはため息をつかれるのですが(笑)、開院当初も今も変わらず来てくださる患者さん一人ひとりと、じっくりと長いお付き合いができればと考えています。当院では、予防とメンテナンスに力を入れています。審美面に配慮した治療といっても、後々のメンテナンスが重要であることは変わりありません。10年、20年と継続してメンテナンスに通ってくださる患者さんもたくさんいらっしゃいます。また、歯科業界もデジタル化が進んでいます。口腔内スキャナーにより型採りが必要なくなるなど、より精密で患者さんの負担を軽減できるというメリットもありますので、時代の変化に対応し、良いものは積極的に取り入れていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックを用いた補綴治療/16万5000円~

