歯科医院における
感染症対策・衛生管理のポイント

標準予防策の徹底は当然のこと。設計段階からこだわった衛生管理体制で徹底的な感染症対策を実行

Q歯科医院における衛生管理について、お考えをお聞かせください。

A

▲病院レベルの衛生管理システムを導入しているという

歯科は、抜歯や歯周病などの小手術を頻繁に行う診療科であり、患者さんと術者の双方が安心して治療に臨めるよう最大限の感染対策が欠かせません。日本歯科医師会のガイドラインでは、歯科医師、歯科衛生士、患者さんが触れたものに加え、すべての患者さんの血液、体液、分泌物、 嘔吐物、排泄物、創傷皮膚、粘膜などを感染性があるものとして取り扱うことを標準予防策としています。当院では、設計段階より東京衛生アドベンチスト病院からアドバイスをもらい、汚染された器具を扱う洗浄室と、清潔領域である滅菌室を完全に分けました。器具はできるだけディスポーザブル製品を使用し、滅菌できる器具は個別包装して滅菌しています。

Q一般的には、どのような感染対策が行われているのでしょう。

A

▲診察室は個室と半個室のみ。感染対策とともにプライバシーも守る

新型コロナウイルスの感染拡大によって、歯科を含めた医療機関での院内感染に不安を感じる方が増えています。治療で使用する切削器具や複雑な構造の器具は、表面を消毒するだけでなく内部まで洗浄・滅菌できる機材を使用することや、その滅菌品質を保持するための包装管理まで重視されるようになりました。最低限行うべきなのは、医療機器の滅菌処理、手指消毒の徹底、定期的な換気による空気の入れ替え、入り口での検温や問診による発熱者の早期発見といったことでしょう。人と人の接触をできるだけ防ぐため、待合室で間隔を置いて座っていただくことも対策の一つです。

Qこちらでの感染症対策について、詳しく教えてください。

A

▲高性能な空気清浄機を導入。クリーンな環境を維持している

前述した基本的な対策を前提に、診療では患者さんごとに交換する使い捨てガウンとグローブ、フェイスシールド、オペ用キャップを着用。感染が疑われる方はオペ室のクリーンエリアでN95マスクを着用して治療にあたります。システム面では、除菌効果のある水を院内に供給するシステムをはじめ、性能の高さにこだわった空気清浄機、口腔外バキュームなどを導入し、患者さん同士の接触を防ぐため診療室は半個室設計としました。ただ、どれだけ優れたシステムや機材をそろえても、それを動かすのは人です。日常的な滅菌工程を疎かにせず、機器の品質も維持するため、チェックシートやインジケーターを使ってミスを防ぐ運用を行っています。

Q衛生面における歯科医院選びのポイントを教えてください。

A

▲洗浄・消毒と、滅菌との空間を分け、徹底した衛生管理を行う

クリニックの外観や内部の美しさから、衛生管理の状態を推し量ることはできません。「感染対策をしているか不安」という場合は、まずはクリニックのホームページを確認してみると良いでしょう。感染対策をしっかり行っていて、かつその対策に自信がある場合は、ホームページなどでアピールしていることが多いからです。また、衛生面はもちろん大切ですが、だからといってその一点のみに注目してクリニックを選ぶのはお勧めできません。大切なのは、患者さんの希望に沿った治療を行う歯科医院であることです。その日の治療内容や治療の結果について、納得できるまで丁寧に説明してくれるかどうかも、ぜひ重視していただきたいですね。