佐藤 修 理事長、佐藤 潔 院長、佐藤 諒 先生の独自取材記事
佐藤歯科クリニック
(杉並区/阿佐ケ谷駅)
最終更新日:2025/03/28

JR中央線・阿佐ケ谷駅と西武新宿線・鷺ノ宮駅の中間に位置する「佐藤歯科クリニック」は、35年以上にわたり地域住民の歯の健康を守ってきた。同院は口腔外科を専門に口腔がんの研究に携わってきた佐藤修理事長、同じく口腔外科、特に粘膜疾患を専門とする佐藤潔院長、そして先進の歯周病医療で同院を支える佐藤諒先生の親子3人で、それぞれの強みを生かした総合的な診療にあたっている。質の高い診療を提供しながら、人と人とのつながりを大切にするアットホームさも同院の魅力。働き世代や子どもの歯科治療にも力を入れていきたいという。同院の治療方針や患者への思い、今後の展望を聞いた。
(取材日2024年12月2日)
口腔外科と歯周病管理。異なる目線でトータルな治療を
皆さんの専門分野についてお聞かせください。

【修理事長】大学時代は、がん細胞にどのリンパ球がアタックするのかという口腔がんの研究を行っていました。その後は唇顎口蓋裂の研究に携わり、ドイツへ留学。腰骨の骨髄を顎に移植し、そこに歯を萌出させるための手術を学びました。今では一般的になりましたが、当時は先進の分野でしたね。
【潔院長】私も大学院時代は、父と同じ口腔外科教室で口腔がんの研究を行っていました。臨床では前がん状態である口腔白板症や扁平苔癬の患者さんを特に多く診ていました。
【諒先生】歯周病の管理は歯科治療における基本だと考え、大学院では歯周病の分野に進みました。大学の授業の中で患者さんを診る特徴的なカリキュラムがあったのですが、治療計画を考える上で口腔外科、一般歯科など、どの科の先生も歯周病の管理について気にされていたのが印象的で、その経験がきっかけでしたね。
それぞれの専門分野をかけ合わせた「トータルな治療」を大切にしていると伺いました。
【潔院長】歯科的な疾患に対しておのおのの専門分野を生かしてトータルに診るという意味もありますが、口腔以外の疾患も視野に入れた全身管理としての「トータルな治療」を大切にしています。当院では口腔を含めた周辺部位を撮影するためにパノラマエックス線撮影を必要に応じて行うようにしています。主訴の疾患だけでなく顎や副鼻腔、骨粗しょう症など患者さん本人も自覚していない疾患を発見することもあります。問診では、口腔内の不調が本当に歯だけの問題なのか、全身疾患との関わりがないか、患者さんの背景を意識しながら診療しています。私自身は口腔外科で全身管理や病気の管理に長く携わってきましたし、諒先生は歯周病と生活習慣病などの全身疾患との関係にも精通しています。
専門分野は異なっても全身の健康につながるという点では同じなのですね。

【修理事長】歯周病の管理は歯を残すことと真正面から向き合う分野ですが、例えば潔先生が得意とする粘膜疾患、口腔白板症や口内炎、私が携わってきた唇顎口蓋裂の骨移植の分野、顎関節症など歯の周りの組織を診るのが口腔外科です。お互い専門分野が違って全体を診られることはすごく良いと思います。
【諒院長】糖尿病などの生活習慣病と歯周病は互いに悪化させることがわかっています。また、唾液の中に歯周病菌が入り込みそれが肺に入れば誤嚥性肺炎になることも。全身にも関与するということですね。
【潔院長】口腔外科分野における全身疾患との関連は多岐にわたりますが、特に粘膜疾患はアレルギーや膠原病、特定の感染症などが原因となることがあります。骨粗しょう症薬の服用と抜歯の関係も歯科と全身に関わりますね。諒先生が当院で診療を行うことで、ベクトルが違うところから全身と口腔の関係を見据えた診療ができるようになったと思います。
幅広い世代の口の健康を守る治療を
診療方針を教えてください。

【潔院長】初診の方には、歯周病検査、顎全体のエックス線検査などを行い、疾患の早期発見に努めるとともに、磨き残した歯垢から採った生きた細菌の状態を患者さん本人に見てもらいます。実際に目にすることで日々のケアの大切さを理解しやすくなると考えています。
【修理事長】舌がひりひりする、水を飲むだけでも痛みを感じる舌痛症はストレスとも関係があり心身症に分類されることもあります。そのため、まずはかかりつけ医として信頼してもらうところから始めています。
【諒先生】歯周病は自覚のないまま進行している人も多いので、治療のモチベーションを維持することはなかなか難しいのですが、一人ひとりの患者さんと丁寧にコミュニケーションを取りながら責任を持って診させていただいています。
こちらでは訪問診療をはじめ、高齢者の歯の治療が多いと伺いました。
【潔院長】訪問先でも使えるエックス線や吸引器、超音波のスケーラーなどを導入したことで、フレキシブルに状況に合わせた訪問診療ができるようになりました。また当院には、大学病院で摂食嚥下障害の治療に長く携わっていた歯科医師も在籍しています。その知見を生かし、嚥下機能改善のための指導やトレーニングを通じて、少しでも長い間、口から食べられるよう工夫してくれています。
【修理事長】当院は2024年に保険適用の舌圧測定器を導入しました。この機械は、どのくらい咀嚼できているか、飲み込めているかという口腔機能を数値で測るのに役立ちます。目に見える形で口腔機能の衰えを把握しやすく、結果に応じた訓練や治療が組み立てやすくなるのは画期的です。他にも、湿潤度などの各種測定器も備えています。高齢でなくても「飲み込みにくい、噛みにくい」と感じたら検査に来ていただきたいですね。
今後は高齢者だけでなく、働き世代の歯科治療にも力を入れたいそうですね。

【諒先生】歯周病は35歳頃から進行しやすくなるといわれています。ですので、特に不調を感じていなかったとしても35歳を越えたら年に2、3回はクリーニングや歯磨きチェックなどで受診していただきたいですね。若いうちから定期的に歯科医院に通う習慣づけをすることで、10年後の口腔状態がまったく変わってきます。当院では歯周ポケットの状態も数値で計測していますので、検査を通して歯周病がどういうものか認知してもらえたらと思います。
【潔院長】働き世代の方が歯ぎしりや噛みしめによる顎の不調で来院されるケースもあります。歯ぎしりは肩凝りの一因にもなります。顎の関節は耳の前にあるので何科に行くべきか迷うかもしれませんが、朝起きて顎がだるいと感じたら、なるべく早めに来ていただきたいですね。
正しい診断と適切な歯科医療の提供をめざして
患者さんと接する時に大事にしていることは何でしょう?

【潔院長】やはり、患者さんが困っていることを解決したいというのは当然ですが、それ以外にも違う病気が隠れていないか見逃さないよう注意しています。
【諒先生】患者さんの話の表面だけでなく、その裏にある思いも読み取るよう心がけています。患者さんによって心地良く感じる距離感は違いますので、その点を意識しながら一人ひとりにとって話しやすい存在になれたらと思います。
【修理事長】歯の治療に恐怖心を持つ方は多いです。なぜ怖いのか、不安を取り除くにはどうしたらいいのか、常に患者さんの視点に立ち、探りながら治療を進めていくという基本姿勢は開業以来変わりませんね。
今後の展望を教えてください。
【潔院長】先ほどの話と重複してしまいますが、今後は虫歯や歯周病などの歯の問題だけでなく、それらが咀嚼、嚥下などうまく機能しているかの検査や訓練も広げていきたいですね。高齢の方だけでなく働き世代や若年層、小児も、例えば成長とともに顎がずれたり、口を開け閉めしにくくなる顎関節症は、発症頻度が意外と高いんですよ。
読者へのメッセージをお願いします。

【修理事長】当院では、全身のことを考慮しつつ歯科治療を行うことが重要だと考えています。正しい診断を心がけ、必要に応じて適切な病院を紹介するシステムも整えています。かかりつけ医としては、何でもない時でも歯科医院に行ってくださいと伝えたいですね。それが健康長寿につながります。
【潔院長】一般歯科はもちろん、口腔外科を専門としているという視点から粘膜やいろいろな病気を含めて、お口の中をきちんと診ていきます。症状によってはどこを受診すれば良いのかわからなくなることもあると思いますが、口腔周辺のことで困ったらいつでもご相談ください。
【諒先生】歯周病も虫歯も症状がないことがあります。まずは検診を気軽に受けに来ていただいて、何かあれば治療し、良い状態が維持できるよう一緒に頑張っていきましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/35万円~