滝澤 誠 院長の独自取材記事
滝澤医院
(杉並区/永福町駅)
最終更新日:2025/03/26

京王井の頭線永福町駅から南へ歩いて9分ほどの住宅の中にある「滝澤医院」。1978年に父である初代院長が開院した医院を、滝澤誠院長が2010年に継承した。内科、小児科に加えて、糖尿病内科と代謝内科の診療が受けられる地域に根差したクリニックだ。滝澤院長は杏林大学医学部付属病院の糖尿病・内分泌・代謝内科で約20年にわたって研鑽を積んできた経験を生かして、患者の生活習慣を考慮しながら、寄り添う医療を提供している。先代の頃から近隣の人たちに頼りにされ、2世代、3世代で来院する家族も多いという。「風邪や胃腸炎などの日々の不調から、生活習慣病の管理まで、幅広い年代の人が気軽に相談できるかかりつけ医でありたい」という滝澤院長に、これまでの道のりや診療する上で大切にしていることを聞いた。
(取材日2022年10月21日)
45年以上続く医院の2代目として院長に就任
お父さまから医院を引き継がれたそうですね。それまではどちらで診療されていましたか?

うちは父だけでなく、母方の祖父も医師でした。医師の道へ進んだのは、どちらかというと祖父の影響のほうが強いかもしれません。杏林大学医学部を卒業後、米国アルバート・アインシュタイン・メディカルセンターの代謝・内分泌部門で学び、主に代謝や内分泌と骨の関わりを研究していました。代謝や内分泌を専門にしようと決めたのは、研修を経て、考えてから動くような分野のほうが私の性格に合っているのではないかと感じたからです。帰国後は、心臓血管研究所付属病院で循環器の診療に携わることに。その後、杏林大学医学部付属病院の糖尿病・内分泌・代謝内科で約20年にわたり、経験を積みました。2016年からは共済会櫻井病院に副院長として勤務。それと両立して、父が1978年に開院した当院で週に何日か診療するようになりました。父が亡くなったのを機に、2010年にこちらを引き継ぎ、10年以上がたちました。
診療内容は先代の頃と同じですか?
父は消化器内科が専門でしたが、私は、内科・小児科に専門分野の糖尿病内科・代謝内科を加えた診療科で、幅広い患者さんに対応しています。内科では、風邪や胃腸炎、インフルエンザなどの疾患のほか、高血圧症、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病の治療と管理に対応。小児科も風邪や胃腸炎などの初期治療の対応が多いですね。予防接種も可能です。糖尿病内科・代謝内科では私の専門分野として、これまで診療、研究を続けてきたことを生かしながら、インスリン療法なども行い、専門的に診療にあたっています。精査やこちらでは対応できない治療が必要な場合は、連携病院に紹介しています。杏林大学医学部付属病院以外にも、東京医科大学病院、東京女子医科大学病院など、患者さんの通いやすさも考慮しながら、ご希望に応じて紹介しています。
長い歴史の中で守られている、こちらの医院ならではの特徴はありますか?

当院は先代の頃から院内処方を行っており、それは私の代になってからも引き継いでいます。当院は住宅街の真ん中にあり、調剤薬局は永福町の駅前まで行かないとないため、歩いて10分近くかかってしまいます。体調が悪い時にはその距離を歩くだけでも大変ですよね。ですから、対応できる範囲で基本的には院内処方を続けています。吐き気などの急性の症状を訴える患者さんの場合には、帰る前にここで薬を飲んでから帰ってもらうこともあります。
糖尿病は早期の受診と治療の継続が何よりも大切
糖尿病の診療に長く関わってきて、治療の難しさを感じることはありますか?

糖尿病は高齢者に限らず、若い方でも発症することがある病気です。でも、若い世代の方は仕事が忙しく、健康診断で高血糖を指摘されても、自覚症状もなく、生活に支障がないからと、受診せずに放置している人もいます。その結果、50代以降に悪化して、治療をせざるを得なくなってしまうのです。でも、初期であれば、お酒を少しセーブするとか、食事に気をつけるということで改善が見込めるケースも多いので、早めに受診することが何よりも大切です。また、一度始めた治療を中断してしまう人が多いのも糖尿病の患者さんの傾向。経済的な問題、仕事の忙しさによる時間的な問題など理由はさまざまですが、中断したことで悪化して合併症が進んでしまった人をたくさん見てきました。糖尿病の怖さは重篤な病気を引き起こすリスクがあるということです。ですから、通院を続けることが大切だという意識を持てるようなサポートもしていければと思っています。
糖尿病の患者に治療を継続してもらうために心がけているのはどのようなことでしょう。
糖尿病に関して、非常に悪化した場合を除いては「先を急ぎすぎない治療」が必要だと思っています。これまでの経験で、薬を増やそうとすると「じゃあ、治療をやめる」となる方もいました。治療を継続することが一番大切なので、患者さんのタイプや状況を見極めながら、薬を増やすことはなるべく急がず、丁寧に治療を進めていきます。それと同時に、毎日の生活の中で改善できそうな点を探して、できるだけ改善していけるようアドバイスしています。食事はもちろん大事ですが、運動習慣を以前は持っていたけれど今はないという方には、モチベーションを上げて取り組んでもらえるよう勧めることも。当院で診ているのは大学病院に比べると軽症の患者さんが多いので、生活習慣の改善で安定が図れるケースもよくありますよ。
糖尿病に限らず、生活習慣病全般の患者さんも多いそうですね。

そうですね。糖尿病に限らず、高血圧症など生活習慣病全般にいえることですが、初回から治療方針が決まるまでは特に時間をかけて、患者さんの生活環境なども含めて、じっくりと話を聞くことを大切にしています。時には話が脱線してしまうこともあって、スタッフから一人にかける診療時間が長すぎると言われることも(笑)。高齢の患者さんの場合は、ご家族のお話を聞くことも必要になりますね。その上で、患者さんのライフスタイルに合った丁寧な診療をご提供したいと考えています。
家族みんなの悩みを相談できる「かかりつけ医」として
日々の診療で、地域の「かかりつけ医」としての役割を担っていると実感されていますか?

「うちの親がずっとお世話になっていました」という方が新しく来てくださったり、先代の頃から、2世代、3世代にわたって診ているご家族もいらっしゃいます。最近では、父が診ていた患者さんを私が看取ることもあります。父とは男同士だからか、あまり仕事のことについて語り合うようなことはなかったのですが、患者さんを通して父の人柄や患者さんへの接し方を聞くことも多く、医師としての姿勢を知り、改めて身が引き締まる日々です。新型コロナウイルス感染症の流行以降、オンラインでの遠隔診療なども可能になってきましたが、何か心配なことがあった時に相談できる「かかりつけ医」が歩いて行ける距離にあるというのは、やはり皆さんの安心感につながっているのではないかなと思っています。
大学病院での経験が長い滝澤院長が考える、地域密着のクリニックならではの患者との関わり方はありますか。
「大きな病院で検査を受けたけれど、データの意味がわからない」とか、「こう指示を受けたけれど、なぜそうしないといけないのか」と疑問を持ちながらも質問できなかったという声もよく聞きます。大学病院などには大勢の患者さんが訪れるため、どうしても診療時間が限られてしまいます。当院ではなるべくわかりやすく説明をして、なぜそれが必要なのか納得してから治療を受けていただくように心がけています。その結果として「ここで治療を受けて良かった!」と患者さんに喜んでもらえたら、それが医師としてのやりがいだと考えています。「これは聞いてもいいのかな?」というようなことでも、どうぞ気軽に質問してください。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

私にとって、永福町は小学生の頃から住んでいる慣れ親しんだ街です。その地の「かかりつけ医」として、家庭内で困ったことがあった時に相談してみようと思ってもらえるクリニックでありたいと思っています。最近では、「大きな病院で血圧などの生活習慣病を診てもらっていたけれど、高齢になって遠くの病院まで行くのが負担になってきた」という患者さんも増えています。日々の管理は当院でもできますので、お困りの方はぜひ来ていただきたいと思います。私の得意とする糖尿病に関しての相談も気軽にお受けしています。治療を中断してしまった方の再開のサポートについてもご相談ください。