鈴木 敦 理事長、鈴木 太 院長、伊藤 緑 先生の独自取材記事
阿佐谷すずき診療所
(杉並区/南阿佐ケ谷駅)
最終更新日:2026/03/30
南阿佐ケ谷駅から徒歩4分、青梅街道沿いのビル2階と3階にある「阿佐谷すずき診療所」。鈴木敦理事長、鈴木太院長、伊藤緑先生の兄妹が両親から継承した、50床の透析ベッドや手術室を備えるクリニックだ。地域のかかりつけ医として風邪などの一般的な疾患で通う患者も多いが、必要があればただちに専門的な医療を提供できるのが同院の強みである。さまざまな専門性を持つ医師たちが集い、生活習慣病や心疾患の予防と管理にも注力している。また、週に何度も透析に通う患者の心が少しでも和むよう、院内には四季折々の生け花も欠かさない。敦理事長、太院長、伊藤先生の3人に、新たに加わった宮川昌悟先生、竹森愛先生の紹介も含め、チームでどのように地域医療に貢献しているのか詳しく聞いた。
(取材日2025年12月22日)
幅広い専門の外来も兼ね備えた透析クリニック
クリニックの歴史、特色からお聞かせください。

【敦理事長】当院は1992年に腎臓病治療専門のクリニックとして開業しました。初代院長の父は日本の透析治療システムの確立に尽力し、東京女子医科大学病院で透析室長を務めていたこともあります。副院長だった母は同大学の放射線科に勤務していました。その後、2つの分院ができ、阿佐ケ谷の本院は弟、高円寺の分院は私、南池袋の分院は妹が院長という体制になっていますが、すべての患者さんを全員で連携して診ています。現在は透析治療と外来が2本柱で、透析とは関係なく一般的な風邪症状や生活習慣病で来院する患者さんも多いですね。腎臓内科、循環器内科、泌尿器科とさまざまな診療科の医師が集っているのも、透析クリニックとしては珍しいかもしれません。
太院長は循環器内科がご専門なのですね。
【太院長】実は透析患者さんが命を落とす最大の原因は腎臓ではなく、糖尿病に伴う心臓疾患がほとんどです。そのため、当院では3つの段階に分けて患者さんへのアプローチを図ります。まず1つ目は透析治療中の合併症のリスクを減らすこと。循環器内科を含め複数の診療科で多角的なケアを行いながら透析治療を進めるようにしています。2つ目は将来的に透析の可能性がある患者さんの進行を遅らせること。伊藤先生を中心とした腎臓内科では前段階のケアに注力しています。いずれは透析を免れないとしても、早めに血管の管理や脂質のコントロールを行うことで先延ばしにすることも可能だからです。3つ目は、できるだけ早い段階で異変を発見して透析に至らないようにすること。透析が専門だった父にも「予防ができる医師になれ」と教えられてきました。誰もが通いやすい外来を大切にしているのも早期発見のためでもあります。
そのほか、どのような先生がいらっしゃいますか?

【敦理事長】私と同じ杏林大学医学部付属病院泌尿器科出身の宮川昌悟先生は、豊富な手術経験を持つスペシャリスト。非常勤で高円寺分院を長く手伝ってくれたドクターで、当院では泌尿器科外来を担当し、患者さんの話にしっかりと耳を傾ける診療スタイルです。杉並区では数少ない男性更年期に特化した外来にも意欲的に取り組んでいます。
【伊藤先生】新たに腎臓内科に加わった竹森先生は、杏林大学医学部付属病院腎臓内科で約10年間診療経験を積んだ先生です。腎臓病が悪化した方を数多く診てきて「こうなる前に食い止めたい」という気持ちを人一倍強くお持ちです。患者さんがなんでも話しやすいような関係を築くのが上手で、小さな治療のヒントも見逃しません。「腎臓を守る」という同じ目標を掲げる心強いパートナーです。
チーム医療で患者をきめ細かに見守る
理事長はシャント作製を院内で行っているとか。

【敦理事長】はい。透析クリニックとしては少数派かもしれませんが、透析に必要な動脈と静脈をつなぎ合わせたシャントの作製も日帰り手術で行っています。シャント作製後も定期的に超音波やサーモグラフィーの検査を行い、問題点をいち早く発見するよう努めています。狭窄部が見つかれば、バルーンがついたカテーテルを挿入して血管拡張を図る「経皮的シャント拡張術(PTA)」もただちに対応可能です。多くの場合、患者さんはシャント作製手術と透析を別々の医療機関を受診しなければいけません。一方、当院では透析前のシャント作製、透析治療、シャント不具合時の緊急手術まで一括で行えるので、その点は大きな強みといえるでしょう。
透析治療だけではないのですね。
【敦理事長】透析は「やりっ放し」では意味がないというのが当院の考えです。そのため、きちんと透析ができているかどうか、血液検査やエックス線検査などで毎月チェックするようにしています。50床のベッドがあるので一度に多くの患者さんに対応しなければいけない時もありますが、約20人のスタッフがいるので問題ありません。スタッフは皆個性豊かでコミュニケーション能力に優れ、患者さんがご自身に合う相談相手を見つけやすいのも当院の特色で、実際、患者さんが症状だけではなく、ちょっとした日々の出来事を話しやすい関係をつくってくれています。小さなお悩みも見過ごさない手厚いサポートは、スタッフたちのおかげで実現できているといってもよいでしょう。
質の高い医療を届けるための取り組みを教えてください。

【伊藤先生】さまざまな専門性を持つスタッフたちの協力があるからこそ、一人ひとりの患者さんに適切な医療を届けることができています。例えば、管理栄養士による栄養指導も行っていますが、慢性腎臓病の方が透析に至らないようにするために欠かせません。患者さんのお食事を作るご家族の方ともコミュニケーションを取り、一人ひとりの状態や生活に合った食事法をサポートしています。
【敦理事長】超音波検査を専門的に学んだ臨床検査技師も在籍していて、乳腺の検査にも対応しています。超音波検査はシャント作製やカテーテル導入の際にも非常に重要で、手術の成否を決めると言ってもいいでしょう。宮川先生や竹森先生をはじめ、チームの力があるからこそ医療の質を保てていると思います。
かかりつけのホームドクターとして地域の健康を守る
患者さんと接する上で大切にしていることは?

【敦理事長】患者さんを中心にすることです。外来は医師と患者さんの関係が対等だとしたら、透析では患者さんが上といっても過言ではありません。困り事はないか、全員で随時尋ねるようにしています。症状のお悩みはもちろん、家族構成などのライフスタイルも把握していなければ、適切なアドバイスは難しいですからね。
【伊藤先生】ご家族の不安や負担を軽減できるよう、連絡ノートを使って患者さんの経過を一緒に見守ることも大切にしています。また、午前中は中野や富士見ヶ丘から通う70代や80代の方も多いので、1日3便の送迎バスを運行。一方、働き世代のために22時までの透析にも対応するなど、すべての患者さんが通いやすい環境づくりに努めています。
今後の展望についてお聞きします。
【太院長】最近まで大学病院にいた宮川先生や竹森先生を迎えたのを機に、まだ導入していなかった新しい治療も提供できたらと考えています。例えば、過活動膀胱に対する服薬治療で改善が見られなかった方に向けて、膀胱内視鏡を用いた薬剤投与なども導入したいと考えています。同時に、透析を行う上で、感染症や合併症のリスクを生まないための取り組みも、引き続き注力していきます。高度に清浄化した水を大量に使用する血液透析ろ過という透析法は、今後も力を入れていく考えです。
【敦理事長】足腰が弱くなりがちな透析患者さんに対して、透析中にエアロバイクで筋力トレーニングを行う腎臓リハビリテーションも始めました。今後は理学療法士も招いてより専門的なアドバイスができるようにしたいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【太院長】透析リスクは糖尿病だけではなく、腎臓がん、高血圧症、動脈硬化にも注意が必要です。透析の可能性は至るところに眠っているからこそ、いかに早い段階で見つけ出せるかが問われます。だからこそ、透析をしっかりと行いながら、外来も充実させてあらゆる人が受診しやすいように門戸を広げることが当院の使命です。腎臓の病気は初期段階では自覚症状に乏しく、遺伝も関与しているといわれています。健康診断で指摘されたときはもちろん、家族歴がある方は一度検査を受けてほしいです。すでに重症度が高い場合は、東京女子医科大学などへ迅速に紹介しています。今後も幅広く、かつ専門性の高い診療を行うかかりつけ医として地域の皆さまの健康をサポートさせていただければ幸いです。

