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櫻井 英一 先生の独自取材記事

中野診療所

(中野区/新中野駅)

最終更新日:2022/08/29

櫻井英一先生 中野診療所 main

1959年に近くで開院し、1967年に現在の場所に移転した歴史のある「中野診療所」。1階から5階までの建物では、今も建築当時のエアシューターが活躍し、カルテを上下でやり取りしている。人の手の温かさを感じさせる古き良き昭和の風情が漂う建物だ。櫻井英一先生は、杉並の分院で診察を続けた先代の後を受け継ぐようにして勤務医から転身。「広く浅く、町の保健室のような医院」と話し、病診連携・診診連携の窓口としての医療機関であることをめざしている。穏やかな話しぶりで聞き上手。クチコミで「癒やされる」と評判を集める櫻井先生に、長年貢献している地域医療のこと、保健室のような医院とはどのようなものなのかなどを話してもらった。

(取材日2014年11月25日/更新日2018年11月28日)

「何でも相談に乗る」標榜科目多数のクリニック

内科、小児科、皮膚科と幅広く対応していますね。

櫻井英一先生 中野診療所1

この診療所は父が昭和30年代に始めたもので、当時いろいろな診療科目を標榜していて、それを引き継ぐ形で近年まで掲げていました。現在は基本的には内科が中心で、近隣に住む50代以降の患者さんがほとんどです。主訴は高血圧や糖尿病などの生活習慣病が多いですね。小児科では、風邪のような季節性の疾患が多いです。また、皮膚科も軽い症例を診るにとどまりますが、一般的な湿疹、帯状発疹などの相談が目立ちます。こうして多くの科を掲げているのは、患者さんからいろいろな相談を受けるからなんですね。私自身は受け皿としてさまざまな相談を受け、自分で対応できるときは対応し、必要な場合には、専門の医師や病院などを紹介するようにしています。中野は近くに大きな病院もありますし、近隣の開業医でも専門性の高い先生がいらっしゃるので、いろいろなところにご紹介できます。

診療スタイルはお父さまの影響が強いのですね。

1962年に、自宅のある場所で「中野診療所」の分院として開業した医院で近年まで診療していました。足が悪く、車いすでの移動を強いられながらも定期的に医学書を取り寄せて研究するなど、私以上に勉強熱心でした(笑)。父が診察していた患者さんで、現在もこちらの医院に通ってくださることもあります。また、姉は当院で私のフォローをしてくれています。

先生ご自身は内科ですが、内科を選んだのはどうしてですか。

櫻井英一先生 中野診療所2

父が内科医で、それを見て育ったということと、内科はいろいろなところを診ることができるという2つの理由がありました。大学を卒業すると、大学病院の第2内科に入局し、呼吸器科、循環器科を診ていました。勤務医の時代は、担当するその科だけを診ていればいいという面がありましたが、開業医として診療所に入ったときには、広く何でも診なければいけない。その点、診察の仕方や患者さんとのお付き合いの仕方も変わりました。例えば、糖尿病の患者さんですと、通院や服薬の状況が悪い方が多く、久しぶりに来たと思ったら1年ぶりだった、なんてことがよくあります。勤務医時代には、そんな患者さんに困ることもありましたが、開業医になってみて、患者さんが来てくれることがいかにすごいことかを実感しています。

豊かな医療資源を生かす病診・診診連携

確かに病院・医院は気軽に行けるところではないですね。

櫻井英一先生 中野診療所3

患者さんにとって病院はちょっと行きにくいところなんです。先ほどの例でいえば、面倒だったり、怒られるかもしれないと思うと行く気もなくなります。普段心がけているのは、患者さんがおっしゃることは何でも聞くという姿勢です。最近は、インターネットで、患者さんご自身がいろいろ調べてからいらっしゃることも多く、ドクターによってはそれを嫌がる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、私はそういうことでも、きちんとお聞きしたいんです。話してみると、なるほど、と思ったり勉強になることがたくさんあるんです。そうしてお話をしっかりと伺い、できるだけご希望に沿うようにお応えする。日頃心がけているのはそういうことです。気軽に来院していただくために、もっとこちらから何かきっかけとして働きかけていきたいと考えています。

中野区医師会の活動も含め、地域医療にも貢献していらっしゃいますね。

中野区の医師会は非常にまとまりが良いです。区の規模感も丁度良く、私が最初に中野区の医師会に入ったときは、まだ30代でしたが、年上の先生方が皆さん少しも偉ぶるところがなく、度量の広い先生方が多いのも、医師会のまとまりが良い理由ではないかと思います。中野区における地域医療の課題としては、今後増加するであろう在宅医療の必要性に対応していくことかと思います。すでに取り組んでいる診療所も多いのですが、需要が潜在的でどのような対応をしていくべきか見えていないところもあるように感じています。当院でも対応はしているものの、まだ件数は少ないです。今後どのような需要があるのか、注意深く見ていきたいと思います。もうひとつ、中野区の特徴としては、病診連携、診診連携が非常にスムーズであることが挙げられます。区内には、東京警察病院、中野総合病院、東京医科大学病院が近くにあり、とても気持ち良く受け入れてくださいます。

中野区で診診連携が盛んだとは知りませんでした。

櫻井英一先生 中野診療所4

医師の皆さん、お互いに顔がよく見えているからでしょうね。医師会ではよく勉強会を開催していますし、区が子どもたちの集団予防接種に力を入れているので、医師が顔を合わせる機会がとても多いです。予防接種は、集団でやることで接種率が上がるので、非常に意義のあることだと思います。医師会で医療連携マニュアルも出しているので、それも助かります。当院の場合ですと、例えば近くに循環器にとても強い「吉田内科クリニック」さんや、小児を専門で診ている「田沼内科・小児科医院」さんもいらっしゃいます。そういったお近くの先生方と提携し、必要に応じて相互に患者を紹介し合うというやり方です。気軽にご紹介できるのでこちらも楽ですし、患者さんへの負担も少なくて済みます。時には機材や薬剤を融通し合うこともあって、助かっています。

めざすは「町の保健室」

診診連携を行うことは、患者さんにとってどんなメリットがありますか?

櫻井英一先生 中野診療所5

患者さんにとって、ご自身の病気はものすごく不安なことです。それを、複数のドクターに診てもらえることで、直接的な安心につながります。また、セカンドオピニオンとしての機能も持ちます。さらに言えば、お住まいの地域で、お互いによく連携のとれた複数の診療所にかかるということは、地域全体で診てもらっているようではないでしょうか。医療におけるセーフティーネットにもつながると思います。医療はますます高度化し、以前は治せなかったものが治せるようになりましたが、だからこそ、地域のかかりつけ医の重要性が増しています。例えばがんは死病ではなくなりつつありますが、それは早期発見があればこそなのです。悪くなる前に行く。それが現在の医療のあり方であり、それを担うのがかかりつけ医なのだと思います。

予防医学のような発想ですね。

そうです。これからの時代は、悪くなる前に気軽に相談することで大きな病気を防ぐようにしていかなければなりません。だからこそ、お越しいただいて、どんな小さなことでもお話ししてほしい。その最たるものが定期健診です。人間ドックのような大げさなものでなくていいですし、がんや糖尿病、高血圧などの病気は、定期的に診ることで早期発見が可能です。実は中野区の健診率は低いといわれています。体調が悪くなければ受けなくていい、とお考えになる方が多いのでしょう。一度怖い思いをしなければ、なかなか健診を受けようとはしないようです。この点、今後の課題ではないかと考えています。

今後の展望をお願いします。

櫻井英一先生 中野診療所6

地域医療については、在宅医療の対応を進めたいと考えています。当院としても、区としてもやるべきことはこれからも増えていくでしょう。また、診診連携は、これまでと同じように、スムーズで質の高い医療の提供に努めたいと思います。私自身のスタンスとしては、幅広く患者さんの悩みにお応えできる存在であり続けたいと思います。来院していただくことで、健康づくりのとっかかりになればと願っています。そのためには、気軽に来ていただける「保健室」のように感じていただければ。というのも、誰もが子どもの頃は、ちょっとしたことですぐ保健室に行きましたよね。そんな気軽な医院でありたいと思います。

自由診療費用の目安

自由診療とは

中野区の健康診断 自己負担額500円

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