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山田 正興 院長の独自取材記事

山田医院

(中野区/中野駅)

最終更新日:2020/03/26

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中野駅南口から3分ほど歩くと「山田医院」がある。院長の山田正興先生は、父が開設した産婦人科クリニックを1987年に引き継ぎ、以来30年にわたって地域の産婦人科、小児科診療に尽力してきた。再開発の影響を院長も感じており「この頃は若いお父さんがお子さんを連れてくるケースが多くなりました。子育ては2人の共同作業。もっとそんな男性が増えるといいですね」と話す院長。子どもたち自身が判断して次の正しい行動ができるようにと、性教育の普及・啓発にも尽力している。山田院長に話を聞いた。(取材日2018年12月11日/情報更新日2020年2月12日)

新米ママたちの不安や悩みを少しでも払拭したい

こちらは長い歴史のある医院と伺いました。

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私の父が1959年に産婦人科として開業したのが始まりです。1983年に父が亡くなってから8年ほど閉院していたのですが、1987年12月から私が引き継ぎました。最初は産婦人科のみの診療でしたが、地域の皆さんの要望で小児科も診療するようになりました。最近ここ中野区は再開発が進み、若い世帯も増えてきています。出生数も増加傾向で、3年続けて2600人を超えているんですよ。ここでは分娩は扱っておりませんので、妊娠中診ていた患者さんがほかの医療機関で出産を終え、その後、赤ちゃんを連れてこられています。そのような赤ちゃんには生後2ヵ月のワクチン接種を行っています。ワクチンの接種は、赤ちゃんを病気から守るためにとても重要です。お母さん方によく説明しますと、多くの皆さんは納得して受けてくださいます。ワクチン接種のスケジュールについてもわかりやすくアドバイスしています。

診療の際、最も大切にしていることはどんなことですか?

患者さんの訴えをよく聞くことです。患者さんが何を必要としているのかをくみ取り、そのご要望に応えています。お母さん方は何か困ったことがあっても、相談できる人が少ないようですね。昔は「産後の床上げ1ヵ月」といって、出産後ひと月は、体をゆっくり休ませるようにいわれていたものですが、今は病院で出産したらすぐ退院し、家に帰れば旦那さんと2人だけ。日中は1人で赤ちゃんの世話をしなくてはならない状況です。核家族化によって相談できる人や、「大丈夫よ」と声をかけてくれる人もいないですから、不安は増すばかり。そんな不安を少しでも払拭して差し上げたいですね。お母さんがベビーカーで出かければ、電車の中で白い目で見られたり、階段で誰も手助けしてくれなかったり。最近は子育てに冷たい社会になってしまいました。もっと社会全体で子育てを応援するようになればいいと願っているのですが。

不安を抱えるお母さんにはどんなお声がけをなさっているのですか?

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なるべく余計な心配をしないようにアドバイスをしています。例えば、子どもが腹痛を起こしたとき、腹痛は食べ物を消化して排泄する過程で生まれる自然な現象なので排泄するまで待ってみましょう、とお話ししています。若いお母さん方は育児の若葉マーク。ご自身で判断できないことも多いようで、電話をかけてくることもあります。先日も、3ヵ月の赤ちゃんが前日の午後9時くらいから眠っていて翌日も全然目が覚めなかったそうで、「うちの子、生きていますか?」と電話をかけてきました。そのように聞かれて私も困ったのですが、とりあえず体をゆすってみてくださいとお話ししたのです。それで赤ちゃんの体をゆすったら、元気な声で泣き出して生きていたと(笑)。あまりにも静かに寝ているので、揺り起こしていいのかすらわからなくなってしまったのでしょうね、きっと。

正しい性の知識は、子どもたちの次の行動への道しるべ

頑張っているお母さん方へのアドバイスはありますか?

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皆さん、育児や仕事に忙しいですが、お母さんご自身の健康も大切ですので、自身の体にも気を使ってほしいですね。この頃は、お父さんがお子さんを連れて来ることがとても増えています。偉いなあと思って見ていますよ。妊婦健診にご夫婦で来られるケースもあります。子育ては2人の共同作業です。もっと育児に参加する男性が増えてくれればいいですね。そうすれば、お母さん方の負担も軽減すると思います。実は、東京23区の妊産婦の自殺者は2005年から10年間で60人を超えていて、産後の自殺の最も大きな原因が産後うつによるものなのです。産後うつは児童虐待にもつながりますので、周産期のメンタルケアについても注意していきたいですね。今後東京都では、双子をもつお母さんのケアを特に注力する方針です。何かあればすぐ相談に来ていただきたいと思います。

院長は、子どもたちへの性教育にも力を入れていると伺いました。

生殖活動はとても重要で崇高なことです。しかし、生殖や性行為というといやらしいと捉える人が多いようです。中学校の学習指導要領では、「性交、妊娠の過程、避妊などは取り扱わない」とされていて、性行為や性交といった言葉も使えず「性的接触」と表現しなくてはなりません。2018年3月に足立区の中学校で、避妊や妊娠などといった言葉を使って性教育の授業をしたということで、指導要領を超えた内容ではないかと大きな話題となりました。中学生ともなれば、生物学的に男女ともに妊娠に関与できる体に成長しています。性交の目的は本来、次の世代に遺伝子を残すための重要な行為です。子どもたちにそのような正しい知識を持ってもらうことで、子どもたち自身が判断し、次の行動に移せるようになってほしいと考えています。

性の知識は自然科学的な知識でもあり、自分自身を守る知識でもあるのでしょうか。

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男女の性の生物学的な違いを正しく知っておく必要があると思います。例えば精子と卵子の違い。男性の場合、精子は精巣で常に新しく作られていますが、女性の卵子は胎児の頃に卵巣で作られたものだけで、新しく作られることはありません。年齢とともに卵子が老化していくことは自然科学的に事実です。ですので、卵子が老化する前に産み終えるような人生設計を考えてもらいたいと思っています。正しい知識があれば、次にどのような行動をとればよいかが自然と理解できるのではないでしょうか。

一人ひとりが他者を思いやれる社会に

心に残った出来事、エピソードがあればお聞かせください。

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先日、臨月になるまでどこの病院にも診てもらっていない妊婦さんを、区からの依頼で診察しました。金銭的な問題などで病院に行けなかったのでしょう。紹介した病院で出産後、入院3日目くらいに電話をかけてきて「無事赤ちゃんが生まれました」と泣いて喜んでいました。このような出産前から支援が必要と認められる妊婦さんは「特定妊婦」と呼ばれます。先ほどの性教育の話にもつながりますが、正しい知識があればそういった「特定妊婦」にならなくても済む場合もあるでしょう。金銭的に不安な若い妊婦さんたちには、大きな金銭負担を背負わずに赤ちゃんを産める妊婦健診の補助制度や出産育児一時金制度などの国の支援策があることをもっと知っていただきたいですね。当クリニックでも、そういった妊婦さんたちをサポートしていきたいと考えています。

ところでプライベートはどのようにお過ごしですか? 健康の秘訣も教えてください。

土日は学会や会合に出席したり、休診当番もしていますので、ほとんど休みなく仕事をしています。絵画が好きですので、時間があるときは美術館巡りをしています。健康維持は、週に3回くらい、すぐ目の前にあるスポーツジムに通っています。診察前、5時半から7時半までウォーキングと筋力トレーニングをし、運動後はサウナに入って近所の人たちといろいろ話しています。ほとんどが体の話、無料健康相談です(笑)。

最後に今後の展望をお願いいたします。

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今までどおり、命の誕生を見守り、子どもたちが健やかに成長していく、そのお手伝いをしていきたいと思います。そして地域で必要とされる医療を提供していきたいですね。子どもたちがどんな社会で生きていかなくてはならないか、非常に危惧しているのですが、ここの地域で生まれた子どもたちが健康に元気に育っていけること。他者のことを思いやれる、そんな社会になっていくことを願っています。また、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)は、小学校6年生から高校1年生までの女子が受けることができる定期接種です。今年度から接種の説明を行っていきますので、気になる方はご相談いただければと思います。

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