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米澤 傑 院長の独自取材記事

歯科米沢医院

(中野区/中野坂上駅)

最終更新日:2021/10/12

米澤傑院長 歯科米沢医院 main

開業から25年あまり、中野坂上で診療してきた「歯科米沢医院」。米澤傑(よねざわ・すぐる)院長のモットーは、患者の話をきちんと聞いて、わかるまでしっかり説明すること。「歯科医師は、患者さんの歯の一生に関わる仕事。当たり前のことこそ大切にしたいんです」と笑顔で話す米澤院長。待合室の壁やカウンター上には、長年通院している患者が作ったというキルトや折り紙が飾られ、地域の人々に愛されてきた米澤先生の人柄が伝わってくるようだ。開業から25年、四半世紀という節目の年に、クリニックでの診療や施設・自宅への訪問診療、そして日々の患者とのふれあいについて話を聞いた。

(取材日2018年1月19日)

「町の歯医者さん」として、老若男女問わず幅広く診療

まず、歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

米澤傑院長 歯科米沢医院1

祖父の代から歯科医院を開業していて、私は3代目なんです。幼い頃は自宅と診療所が同じ場所にあって、医療は身近な存在でした。あまり覚えていないのですが、祖父がよく「3代目として後を継いでほしい」と話していたそうで、いつの間にか歯科医師になるよう刷り込まれていたのかもしれません(笑)。大学卒業後は、先輩のクリニックで修行しました。そこは団地の中という場所柄、1日に60~70人も患者さんがいらっしゃる状況でした。歯科医師になったばかりの頃は、いきなり治療をすることは少ないのですが、「おまえは資格を持った歯科医師なんだから」と言われ早い段階から経験を積むことができました。その先輩は、開業するなら早いほどいいという方針だった点も恵まれていたと感じます。そこで2年間修業した後、父のクリニックとは別に開業することになりました。現在は父が当院に合流し、70歳を過ぎた今も現役で訪問診療を担当しています。

開業のきっかけを教えてください。

当時、親戚の運営する内科医院がこのビルに入っていて、「別のフロアが空いたよ」と勧められたのが開業のきっかけでした。先輩に相談したところ、「一通りの診療はできるんだから、開業してもいいのでは」と後押しされ、開業に踏み切りました。町の歯医者さんになるならオールマイティーに広い知識を身に付けることが必要なので、早い時期から開業を視野に入れ、大学時代も勤務医時代も、専門分野を極めるより総合的に診療することを心がけてきました。ですから、開業はスムーズだったと思います。この辺りには若い人やファミリー層が多いと思われがちですが、高齢の患者さんも多く住んでいます。便利で活気のある町でありながら、一本路地を入ると下町っぽい雰囲気もあって居心地の良い町ですよ。

近くにある、内科の米沢医院の院長とご親戚だと伺いました。連携することもあるのですか?

米澤傑院長 歯科米沢医院2

親戚だけあって、よく連絡を取り合っていますよ。高血圧や糖尿病の患者さんのカルテを持って行って、「この患者さんすごく歯が痛いようだけど、麻酔して大丈夫かな」と念のために確認することもあります。とりあえず様子を見ることにして他院に連絡して……というタイムロスがないのはありがたい点ですね。降圧薬の副作用で歯茎が腫れる方には、薬の名前を聞いて、薬を変更してもらうといった対応も取れます。薬を変えると症状が治まることもあるので、人の体は本当にすべてつながっているんだと実感しますね。

患者の言葉だけでなく、背景までくみ取るよう努める

待合室の貼り紙は手作りなのですね。温かみがあって、つい熟読してしまいました。

米澤傑院長 歯科米沢医院3

口の中の病気について患者さんに深く知ってもらうために、歯科衛生士が手書きで作ってくれています。ある時、「先生、患者さんに読んでもらう紙を作ったので、掲示していいですか」と提案されたのが始まりでした。貼ってあれば患者さんも読んでくださって、治療の説明をするときに「貼ってあった内容ですよね」と言われたりと、結果的に説明時間の短縮にもつながるように思います。当院の歯科衛生士は勉強熱心な人ばかり。講習会に行ったり、ケアマネジャーの資格を取ったりもする人もいます。みんな長く勤めてくれていて、人に恵まれていることをしみじみ感じますね。

こちらでは訪問診療も行っているのですね。

開業して間もない頃の話ですが、通院していた患者さんが近くの病院に入院したとき、内科の医師から「歩けない人なので、行って診てくれないか」と頼まれたことがありました。病院に行くと、ほかの入院患者の家族から「うちもお願いできないか」とお話があり、それから徐々に広がっていきました。現在は訪問診療をメインに担っている歯科衛生士がいるので、衛生士2人と歯科医師の3人体制で行っています。私の父が訪問専任で、昔から診てきた患者さんのところを主に訪問しています。近隣であれば私も診療の合間に伺っています。訪問診療は大変だと思うかもしれませんが、意外と苦にならないですね。ずっと診てきた患者さんが通院できなくなったとき、今度は自分が行ってあげる番かなと思うんです。もともとおばあちゃん子だったせいでしょうか、高齢の患者さんとも良い人間関係をつくれていると感じています。

患者さんとのコミュニケーションについて、何か心がけていることはありますか?

米澤傑院長 歯科米沢医院4

まずは言葉遣いです。付き合いの長い患者さんに多少フランクになることはあっても、友達口調にならないようにしています。あとは、ユニットに横たわったままではなく、きちんと向き合ってお話しすること。例えば、高齢の方が初めて来院された場合、不満を抱いたまま何軒も歯科医院を回ってきた可能性があります。でも、他院について悪く言わない人が多いので、「実はね」という真意はこちらがくみ取らなければなりません。そのためには顔を合わせてお話しすることが大切です。また、高齢の方には先手の配慮も求められます。「最近足が痛くて」と言っていた方には、「今日は雨だから別の日に受診しますか」と電話することもあります。でも皆さんお元気で、それでも「行きます」という人も。「話したいことがあるの」と言われて聞いてみたら、歯と関係ない話だったりしますが(笑)。1人暮らしが多い時代なので、時間があればできるだけ聞き役になりたいですね。

全身の病気も視野に入れて患者の健康を守る

クリニックでの診療に訪問にとお忙しい先生ですが、健康の秘訣は何ですか?

米澤傑院長 歯科米沢医院5

昔から体を動かすのは好きですね。地元の野球チームに入っていて、夜19時半頃から近くのグランドで野球をしています。ポジションは、ピッチャーかサード、ショートあたり。食べても太らない体質なのか、運動のお陰なのか、ここ10年以上ベスト体重をキープしています。休みの日に1日ゴロゴロすると逆に腰が痛くなってしまうから、スポーツジムにもよく行っています。

今後、何か力を入れたいと思っていることがあればお聞かせください。

今、勉強しているのは、糖尿病と歯周病の関係です。糖尿病は内科分野なので親戚の内科に相談したり、患者さんを紹介しあったりしています。歯周病は、慢性的な炎症が常に口の中にあるようなもので、炎症があると糖尿病の数値は悪化してしまいます。だから慢性的な炎症を減らすことが大切なんです。皆さん最初は半信半疑ですが、歯周病の患者さんの口の中をきれいにすると、血液検査の数字に変化が表れます。内科の医師も「こんなに下がるの?」と驚くくらい、ビフォーとアフターが数字に出ることがあるのです。いくら歯石を取っても、歯科医師が糖尿病そのものを治すことはできません。でも、治療の助けにはなると思っています。変化が数字で見えると、患者さんのモチベーションも上がりますし、こちらもやりがいを感じますね。

地域の方々へ、メッセージを一言お願いします。

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歯科医院は怖い、嫌だ、というイメージを持ってほしくないと思っています。患者さんの都合や治療内容にもよりますが、きちんと時間を取ってお話しするので、なんでも聞いてほしいですね。お子さんの場合は怖がってしまうので、まずは慣れることが先決です。治療に入る前に何度か来てもらい、「シャワーだよ」と言ってタービンを見せてあげたりして、慣れたら「1回だけ我慢してみようか」と進めていきます。1回うまくいけば本人も「できるんだ」と一歩成長してくれて、怖くないと思えるようになります。私はお子さんや高齢者とうまくやっていけるタイプのようで、それも団地のクリニックで鍛えられたお陰かもしれません(笑)。「この程度のことで受診してもいいのかな」と思わないで、何かあれば気軽に相談してもらえるとうれしいですね。

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