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村杉 寛子 院長の独自取材記事

天正堂クリニック

(中野区/野方駅)

最終更新日:2024/12/10

村杉寛子院長 天正堂クリニック main

野方駅から徒歩10分。昭和の面影を残す住宅街にある「天正堂クリニック」は、子どもから高齢者まで、近隣住民から長く愛されてきたクリニックだ。小児科および小児アレルギーを専門とする村杉寛子院長をはじめ、呼吸器科・アレルギー科・小児科・小児外科など専門性を持つ複数の医師が在籍する同院は、どんなことでも気軽に相談できる地域の「よろず相談所」。「身近なクリニックでありながらより良い医療を提供したい」という高い志で各医師が日々の診療にあたっている。訪れる人の気持ちが少しでも明るくなるようにと、遊び心あふれるインテリアと村杉院長の気さくな人柄もあり、親子で長年通い続ける患者が多いという同院。長年、子どもたちの健康と成長を見守ってきた村杉院長に、同院の診療についてじっくり聞いた。

(取材日2022年6月15日/情報更新日2022年12月12日)

少しでも気持ちが楽になるよう、遊び心あふれる院内に

地域に根差した歴史あるクリニックだそうですね。

村杉寛子院長 天正堂クリニック1

主人の父が1959年に開院したクリニックなので、この地で60年以上続けてきたことになります。今は小児科が中心ですが、もともとは内科だったこともあり、小さなお子さんから年配の患者さんまで、幅広い年代の患者さんがいらっしゃいます。義父の頃から通い続けてくださる患者さんも多く、火・水・木曜は内科の診察も行っています。スタッフも気心の知れたベテランばかり。ぐずるお子さんに柔軟に対応してくれたり、患者さんと世間話をしながら小さな変化も見逃さずに私に報告してくれたり、ちょっとした質問に答えたり、私も患者さんもとても助けられています。患者さんの中には、「スタッフの○○さんに会うのが楽しみです」と言ってくださる方もいるんですよ。

絵心あふれるカラフルな内装は、見ているだけで楽しくなってきますね。

私が当院を引き継ぐにあたり、2000年に院内をリニューアルしました。私の専門が小児科で、患者さんも圧倒的に小さなお子さんが多いことから、子どもたちが喜んでくれるように明るい色を使っています。今年5月に換気扇や壁紙を取り換える改装をしたばかりなのですが、クジラやフラミンゴなど壁のイラストはすべて手描き。私や子どもたちの好みを熟知した業者の方が、院内の所々にみんなが喜びそうな意匠を凝らしてくれました。待合室の水槽も大人気です。時々小さな魚が死んでいて、それをほかの魚がつつくこともあるのですが、それも自然の一つの姿とスタッフと話しています。基本的にクリニックを訪れる人は体の不調でつらい思いをしていらっしゃるので、気持ちが和らぐように、スタッフのユニフォームを含めカラフルな色使いにしています。目に楽しい環境とスタッフのアットホームな対応で、少しでも元気になっていただけたらうれしいですね。

院内の感染拡大防止対策にも配慮していらっしゃいますね。

村杉寛子院長 天正堂クリニック2

出入り口が2つあるので、発熱症状のある患者さんは奥のドアから入っていただき、一般の患者さんと接することなく検査や診療を受けてお帰りいただけるようにしています。また、今回の改装で、院内の手洗いをすべて自動式にしました。せっけんも水も手をかざすだけで出てきます。スタッフは新型コロナウイルスが猛威を振るった去年と一昨年は、患者さんのためにと嫌な顔一つせず、夜遅くまで対応にあたってくれて、本当に感謝しかありません。

専門的な医療を通い慣れた地元のクリニックで

先生は小児アレルギーを専門としているそうですね。

村杉寛子院長 天正堂クリニック3

食物アレルギーのご相談は多いですね。ここ数年、子どものアレルギー治療ではスキンケアが重視されるようになってきました。湿疹を長引かせないよう必要な治療をするとともに、皮膚を良い状態に保つため生まれた直後から保湿をするのが大切です。当院ではスキンケアの勉強をした看護師が体の洗い方や軟こうの塗り方を詳しくご説明しています。また食物アレルギーの治療は、以前は原因となる食べ物を食べないという方法が一般的だったのですが、今はお子さんの状態によっては、少量ずつ食べていくことで摂取許容量を把握する食物負荷検査という方法もとられています。量の見極めはやはり専門家の判断が必要で、当院では入念な準備のもと検査を行い、どこまで食べて大丈夫かを確認します。重症のお子さんの場合は、大きな病院をご紹介するようにしています。

大学病院での夜尿症の診療も長く続けていらっしゃるとお聞きしました。

今も金曜の午後は母校の東京女子医科大学病院で夜尿症とアレルギーの診療を担当しています。もう30年ぐらいになるでしょうか。もちろん当院でもご相談を受けています。夜尿症はいわゆる「おねしょ」のことで、放っておいても大人になれば治ると思われがちですが、6歳を過ぎても治らない場合は相談されることをお勧めします。原因には夜間の尿量の多さや心理的ストレスなどが考えられ、投薬などいろいろな対処法があります。アラームによる方法を取り入れ始めた頃はまだ一般的とはいえなかったのですが、ここ数年選択肢の一つとして確立されてきました。夜尿症は長く続くとお子さんの自信喪失やストレスにつながることもありますから、お母さん一人で悩みを抱え込まず、早めにご相談くださいね。

ほかにも専門的に診ている疾患・症状はありますか?

村杉寛子院長 天正堂クリニック4

大学病院の呼吸器外科で勤務していた夫の村杉雅秀先生が呼吸器科担当として長引く咳や喘息のコントロールに対応しています。一方、池永晴美先生と堀口真由美先生の専門は、アレルギーや気管支喘息なので、喘息のお子さんや大人の患者さん、舌下免疫療法に対応可能です。世川修先生は小児外科が専門で、鼠径ヘルニアや男の子の停留精巣などを診ていただいています。以前は大きな病院を紹介していたのですが、世川先生に来ていただけるようになったので、お子さんの泌尿器疾患について疑問やお悩みのある方は気軽にご相談くださいね。世川先生は手術を必要とする子どもの病気にも詳しく、腹部エコー検査による診断も得意です。原因不明の腹痛の中には、急を要する腸重積や急性虫垂炎、腸閉塞などもあるため、腹部エコーによる診断は有用です。このほか当院では、検査技師による頸動脈エコー、その他エコー検査にも対応しています。

病でなく人を診る。心の通う診療で思いをつなぐ

子どものアレルギーに悩んでいるお母さんたちへのアドバイスはありますか?

村杉寛子院長 天正堂クリニック5

アレルギーの治療は長期に及ぶことがほとんどです。そして治療にはお母さんの協力が欠かせません。お母さんたちは皆子どものアレルギーにとても心を痛めていて、早く治してあげたい気持ちでいっぱいなのですが、今は情報が多すぎて逆に何を信じたらいいか悩んでいる方も少なくありません。できればきちんとした医学的根拠に基づき、信頼できる医師のもとで治療に取り組んでほしいです。当院ではさまざまなアレルギー症状に対応しています。親身にサポートしますので、いつか手を取り合って喜べる日が来るように、一緒に治療に取り組んでいきましょう。

先生の娘さんも小児科の医師だそうですね。

はい。現在は週に1度ですが、当院でも小児科を担当してくれています。実は待合室にある魚をモチーフにしたブックスタンドは、娘が小さい頃に描いた絵なんです。小さかった娘が医師となり、今同じクリニックに立っていると思うと感慨深いものがありますね。娘にも子どもがいるので、働きながら子育てをするお母さんの大変さや、子どもの具合が悪い時の親の気持ちが痛いほどよくわかっていると思います。医師として常に向上心を持ち、スキルアップしていくのは当然ですが、決してそれだけではなく、これからも目の前の患者さんの気持ちに真摯に向き合う姿勢を大切にしていってほしいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

村杉寛子院長 天正堂クリニック6

私は子どもたちによく「嫌なことがあったら、お母さんでも先生でもいいからとにかく話しなさい。言葉にして話すことですごく気持ちが楽になるから」って話すんです。もちろんお母さんがつらい思いをしていたり、悩みを抱えていたりすることもあるでしょう。的確な診断をし、適切な治療をすることも大切ですが、患者さんの背景にも目を配り、心のケアも大切にしていきたいと思っています。日々の診察の中でお話しできる時間には限りがありますが、気になる時はできるだけお声がけするなど、私もスタッフも日頃から患者さんの背景まで目を配るよう心がけています。体のことでも心のことでも、どうか一人で悩まず、気軽にご相談くださいね。

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