村杉 寛子 院長、村杉 雅秀 副院長の独自取材記事
天正堂クリニック
(中野区/野方駅)
最終更新日:2025/06/09

西武新宿線野方駅から徒歩10分の閑静な住宅地に位置する「天正堂クリニック」。この町で60年以上の歴史を持つ同院には、小児科と小児のアレルギーを専門とする村杉寛子院長、呼吸器外科が専門で内科全般の診療を担当する村杉雅秀副院長以下複数の医師が在籍し、チーム医療体制が確立されている。2023年11月、クリニックを大規模リニューアルし、増築した新館では小児科、以前からある本館では内科を中心に診療。訪れる人の気持ちが少しでも明るい気持ちになるようにと、遊び心あふれるインテリアが施されているのが印象的だ。地域のかかりつけクリニックとして幅広い年齢層の患者が通い続ける同院。村杉寛子院長と村杉雅秀副院長に、リニューアル後の診療体制や診療内容について聞いた。
(取材日2024年12月19日)
全面リニューアルし、本館で内科、新館で小児科を診療
2023年11月に、大規模にリニューアルしたそうですね。

【寛子院長】当院は、副院長である夫の父が1959年に開院したクリニックで、60年以上の歴史を持ちます。小児科、内科、アレルギー科を掲げ、義父の頃から通い続けてくださる患者さんをはじめ地域の幅広い年齢層の方々に足を運んでいただいています。2023年11月ご縁をいただき、これまで当院があった場所の道を隔てた反対側に新館を増築し、リニューアルいたしました。新館では主に小児科診療を行い、2階には5つの個室で空調設備を整え、発熱や具合の悪いお子さんを個別に診察をさせていただいています。看護師のいるバックヤードから個室の様子がわかるようなシステムにし、病態の変化にいち早く気づける体制を整えています。もともとあった本館では内科診療を行っていますが、内科も発熱症状に対応する外来を設け、熱のある患者さんは別の入り口から入ることができるようにしています。
院長は小児科のご担当で、小児アレルギーや夜尿症もご専門なのですね。
【寛子院長】食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患、夜尿症を専門としています。夜尿症については、当院での診療の傍ら、母校である東京女子医科大学病院で長年非常勤医師としても勤務してきました。大学病院での経験を生かし、地域の皆さんに専門的な医療を還元できるよう心がけています。食物アレルギーについては食物負荷検査にも対応しています。量の見極めは専門家の判断が必要であり、入念な準備のもと専任のスタッフが検査を行い、重症の場合は大きな病院を紹介しています。花粉症では舌下免疫療法にも対応しています。夜尿症については治療のハードルを下げるために当院ではあえて特化することなく、診療の延長で必要に応じてご相談に応じています。
複数の医師がいらっしゃるそうですが、小児科はどのような体制で診療していらっしゃるのですか?

【寛子院長】アレルギーや気管支喘息の診療を専門に行っている池中晴美先生、アレルギーや小児科一般を診ていただいている堀口真由美先生と連携をとりながら診察を行っています。また、小児外科で鼠径ヘルニアなどを診療する世川修先生も在籍しています。そして私の娘も小児科の医師になり、週に1度当院で診療しているんですよ。非常勤とはいえ、皆さん小児科のプロフェッショナルとして長く勤務してくださっています。月に1度管理栄養士に来ていただいて、食物アレルギーのお子さんや貧血のお子さん、肥満のお子さんの栄養・食事指導も行っています。さらに、アレルギーに対する高度な知識を持った看護師も在籍しており、アレルギーに関する診療には入ってもらっています。チーム医療で地域のお子さんの健康をサポートしています。
内科診療では禁煙の相談にも対応
副院長のこれまでのご経歴を教えてください。こちらでは内科のご担当なのですね。

【雅秀副院長】埼玉医科大学を卒業後、東京女子医科大学の呼吸器外科で准教授として内視鏡を使った低侵襲手術などを数多く手がけてきました。電子カルテの導入、医療情報管理、患者サービスなど医療DXにも携わりました。大学病院を定年退職後、地域医療への貢献を視野に友人とクリニックを立ち上げ、内科の診療にあたり、その後当院の副院長として内科診療を担当しています。クリニックに来られる方は体の不調でつらい思いを抱えている方がほとんどです。一方で、自覚症状はないが放っておくと重大な疾患の原因となる生活習慣病という病気があります。まずは生活習慣病について理解してもらい、放置することによるリスクや予防策を知ってもらうことが重要です。細かくコミュニケーションをとりながら、症状の段階に合わせて治療するよう心がけています。また、花粉症の治療として舌下免疫療法なども取り入れ、さらに地域医療に貢献できるよう前進しています。
禁煙の相談にも応じていらっしゃるそうですね。
【雅秀副院長】私自身が喫煙歴があるため経験を踏まえて喫煙は体に良くないことや、呼吸器外科で診療していた時にタバコを吸う人と吸わない人の肺の状態が違うこと、これから手術の必要が生じた時に管理上、手術後と術前の1ヵ月間は禁煙していただく理由などを、患者さんにざっくばらんにお話ししています。「指導」というよりは、「禁煙したほうがいいですよ。仲間になりましょう」といったお声がけする感じですね。このような関わりを継続することにで、1ヵ月後、半年後と長いスパンで様子を見られるようになるのではないかと考えています。最近は慢性咳嗽の治療に積極的に取り組んでおりますので、ぜひご相談ください。
内科の診療体制について教えてください。

【雅秀副院長】私の他に、笹野久左子先生、消化器内科の村杉瞬先生、糖尿病内科の大澤真理先生が非常勤の医師として在籍しており、患者さんには必要に応じて専門の先生が担当する日に診療を受けていただいています。また、第4水曜には専門の検査技士による頸動脈、心臓などの超音波検査ができる体制です。CT検査、MRI検査は必要な患者さんを専門の医療機関におつなぎして画像検査を受けていただいています。その翌日には結果をお伝えできますよ。これらの検査の結果、より高度な検査や治療が必要な場合は大学病院や基幹総合病院に紹介し、術後は再び当院で経過観察することで、皆さんの健康を見守っています。
患者とともに病気と闘うサポートをするのが医師の役割
診療において心がけていることを教えてください。

【寛子院長】適切な診断と治療をすることはもちろん大切ですが、お子さん、そして保護者の背景にも目を配り、スタッフともども心のケアも大切にしています。子どもたちによく「嫌なことがあったら、お父さんでもお母さんでも先生でもいいから、とにかく話してね」と話しています。お子さんだけでなく保護者もつらい思いや悩みを抱えていることもあるでしょう。そうしたサインを見逃さないよう心がけています。
【雅秀副院長】病気や治療法について、丁寧に説明することを心がけています。必要に応じて病気のことや治療法、日々の生活で気をつけることなどがわかりやすく紹介されたパンフレットをお渡しし、それを一緒に見ながら理解を深めていただくこともあります。私が患者さんの病気を治療するのではなく、一緒に闘う。そのお手伝いをするのが私の役割であるということを、折にふれてお話ししています。
長い歴史と親身で温かい診療で、患者さんとの信頼関係が伝わってきます。
【雅秀副院長】当院は小さなお子さんからご高齢の方まで地域にお住まいの方々の健康を支えるクリニックです。歴史が長いゆえ、子どもだった頃の私に優しく接してくださった人生の先輩が、40年以上にわたり通い続けてくださっています。その一方で最近引っ越してこられたファミリー層の患者さんの姿も。さまざまな方との出会いに感謝しながら日々診療させていただいています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【寛子院長】今後も気心の知れたスタッフと力を合わせ、地域の人々が元気で過ごせるよう、一人ひとりに寄り添っていきたいと思います。日々の診察の中でお話しできる時間には限りがありますが、私もスタッフも日頃から患者さんの背景まで目を配るよう心がけています。体のことでも心のことでも、どうか一人で悩まず、気軽にご相談くださいね。
【雅秀副院長】長年地域の皆さんの健康をサポートしてきた当院。スタッフも私たちと同じ思いで対応してくれる人ばかりです。これからもクリニック一丸となって地域医療に貢献していきたいですね。