中野正博院長の独自取材記事

中野歯科クリニック

(台東区／浅草橋駅)

最終更新日：2025/10/14

祖父の代から続く歯科医院として、アクセス抜群の各線浅草橋駅前に位置する「中野歯科クリニック」。3代目として開業した中野正博院長は神田生まれのちゃきちゃきの江戸っ子で、人情味あふれる下町住民の信頼に応えるよう日々努める。中でも、補綴治療を得意とし、丁寧で的確な補綴治療を行うことで、食事を楽しめる、しっかり噛める、自信を持って笑える――そんな生活の質の向上につなげたいという。「補綴治療を専門とする歯科医師として、その責任と誇りを持ち、患者さん一人ひとりと誠実に向き合いたい」と語る中野院長。その信念を胸に地域住民の歯科診療を支え続けている。

（取材日2025年5月29日）

予防・治療・メンテナンスの3本柱でトータルケア
補綴治療の専門家としての責任と誇り
コミュニケーションを重視し将来を見据えた治療を提案

予防・治療・メンテナンスの3本柱でトータルケア

長い歴史を持つ歯科医院だそうですね。

私が3代目となります。祖父の代から歯科医師の家系なので、私が歯科医師をめざすのはごく自然な流れでした。ちょうど大学院に在籍していた時に、2代目であった父が亡くなったことがきっかけで開業に至りました。1985年のことです。祖父は秋葉原で開業しましたが、その後父の代になって浅草橋駅の西口近くに移り、2000年に浅草橋駅東口そばのこの場所に移転してきました。移転の際には、アメリカ帰りの先輩からアドバイスをいただき、患者さんのリラックスを第一に考えた空間づくりを心がけました。大きく窓を開けて採光を良くし、完全個室を2つ設置。内装もシックなウッド調をベースに落ち着いた雰囲気としました。当院のある浅草橋駅はJR中央・総武線と都営浅草線が利用でき、都内はもちろん千葉や神奈川、埼玉などの他県からもアクセスが良いのが特徴です。駅からも近いので、遠くから通い続けてくださる方も多くいらっしゃいます。

診療方針を教えてください。

「予防・治療・メンテナンス」を当院の歯科診療の3本柱としています。かつて歯科医師の仕事は痛む歯を治療するだけというイメージが一般的でしたが、近年は「予防歯科」の重要性が世間でも認識され、定期的な検査、メンテナンスに通う方が増えています。当院では、最低でも半年に1度のご来院をお勧めしています。それでも、虫歯が新たにできたり、治療した歯が再び虫歯になったり、歯周病を発症してしまう方もいらっしゃいます。そうした場合には、一人ひとり丁寧に治療を行い、治療後は予防歯科にシフト。定期的なメンテナンスを通じて、お口の健康を長く維持していけるようサポートしています。例えば、どんなに高級な車を買っても、定期的に車検に出して整備し、故障したら修理してまめに点検しなければ良い状態を保てません。お口もそれと同じです。

得意とされている治療はどんな治療でしょうか？

当院では一般歯科はもちろん、歯周病や矯正、小児など幅広い歯科診療を行っているのですが、特に、クラウン・ブリッジや義歯、インプラントなどを扱う補綴治療と噛み合わせについては、専門的かつ高度な診療を提供しています。患者さんにとって補綴という言葉は聞き慣れないかもしれませんね。補綴とはかぶせ物や入れ歯・ブリッジ・インブラントなどで人工的に補う治療のことです。例えば、歯が虫歯で欠けてしまったら、金属・プラスチック・セラミックなどで形態回復をめざします。また、歯が抜けてしまったら、ブリッジ・義歯・インプラントなどで、歯がない部分の機能回復を図ります。とはいえ、これらの治療はあくまで必要な方にのみ行うべきもの。残せる歯があるなら残しつつ、必要に応じて補綴治療を組み合わせながら、患者さんの将来をプランニングしていくというのが当院の治療の考え方です。

補綴治療の専門家としての責任と誇り

補綴治療ではさまざまな専門的技術を駆使されているとか。

今申し上げた以外にも、お口の見た目の改善を図ることも補綴治療の一環です。例えば、歯や補綴物の色が変わってしまったら、クリーニングやホワイトニングの他、ラミネートベニアといった補綴技術を生かした処置などの選択肢があります。また、顎関節症の治療も補綴治療の技術が生かせる分野なんですよ。丁寧で的確な補綴治療を追究することで、「うまく噛めない」「話しにくい」「見た目が気になる」といった問題の解決を図り、食事を楽しめる、しっかり噛める、自信を持って笑える、そんな生活の質向上に貢献していきたいですね。補綴を専門とするからには、その責任と誇りを胸に、常に誠意を持って患者さんと向き合っていきたいと考えています。

先生が補綴を専門に選ばれたのはどうしてですか？

小さい頃から、使わなくなった歯科技工の材料を遊び道具にしていました。祖父や父の代は義歯やブリッジでの治療が中心でしたから、私が大学院に進んで補綴を専門としたのには、その影響が大いにありました。それに、補綴治療そのものが好きなんですよね。もっとも、好きなのは補綴だけでなく歯科診療全部好きですね。開業後もいろいろな勉強会に所属して研究し続けているのも、歯科勉強が大好きだからです（笑）。欧米では、一つの歯科医院に補綴や歯周病治療など複数の専門歯科医師がそろうチーム医療が一般的ですが、日本では大抵一つの歯科医院につき歯科医師は1人です。ですから、総合的になんでもできるようにしておかないといけません。中でも補綴は歯科診療の基盤ともいうべきもので、歯周病や矯正、口腔外科など治療全般の質を左右します。また、的確な補綴は良好な噛み合わせにつながって、体全体の不調を改善させます。

噛み合わせもやはり大事なのでしょうか？

歯が抜けたり欠けたりした状態を放置すると隣の歯が傾斜してきたり、噛み合っている反対の歯が延びてきたりして噛み合わせが悪くなります。これにより噛みづらくなって歯並びが悪くなり、虫歯や歯周病の原因になります。さらに歯の数が少なくなると、うまく噛むことができなくなり、食事がきちんと取れず健康維持のための栄養補給ができなくなります。しっかり噛めると脳の血流量が増え認知症の予防にもつながるといわれています。また、良い姿勢や体の安定を保つ上でも、正しい噛み合わせは大切だと考えます。

コミュニケーションを重視し将来を見据えた治療を提案

診療の際に心がけていらっしゃることはありますか？

常に「自分だったらどうしてほしいか？」という視点で考え、しっかりと情報提供するように心がけています。とはいえ、長くお付き合いのある方では「お任せします」と言われてしまうことも少なくないのですが、初診の方では特に説明に力を入れていますね。自費診療についての説明を営業的と嫌う方もいらっしゃいますから、最初の問診で確認します。歯科診療はオートメーション的に内容が決められるものではなく、個人によって異なる状況に合わせた個別対応が重要です。1〜2回で治療プランが決定するわけではなく、診療時に対話を重ねながら徐々に対応を決めていくのです。それぞれの将来を見据えた治療には欠かせないものとして、コミュニケーションは重視しています。

研究会やスタディーグループでも精力的に活動していらっしゃいますね。

私が代表を務めているインプラント研究会のほかにも、複数のスタディーグループに所属して、世代や専門性の枠を超えた多くの先生方とつながりを持っています。もともと人と集まってワイワイ話すことが好きだったのもありますが、「開業医の医局」として難しい症例などを共有し、100人以上のプロの目で意見を出し合うなど、診療上のメリットも大きいものです。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

繰り返しになりますが、健康な歯を守るためには「予防・治療・メンテナンス」の3つの柱が何より重要です。今は痛みや不具合がない方も、定期的に通院する習慣をぜひ身につけていただきたいと思います。当院の最大の強みは、丁寧かつ着実に対応できる優秀なスタッフ陣です。院内スタッフは全員が歯科衛生士の資格を持っており、受付から会計までのあらゆる場面で、ふとした疑問にも専門的な視点からお応えできる体制を整えています。ブラッシング指導はもちろん、オーラルフレイル予防のための口腔内ストレッチなども実施しています。また、補綴治療においては、信頼できる歯科技工士と密に連携し、精度の高い補綴物の提供に努めています。お口の健康は、全身の健康や長寿にもつながる大切な要素。これからも、患者さんを支え続け、その維持・向上に取り組んでまいります。