鈴木 義弘 院長、鈴木 千枝子 先生、鈴木 英子 先生の独自取材記事
鈴木歯科
(台東区/稲荷町駅)
最終更新日:2025/03/06

どこか懐かしい雰囲気が漂う台東区上野。下谷神社の真向かいにある「鈴木歯科」は、この地で70年以上歯科診療を行っている歴史あるクリニックだ。祖父の代から数えて3代目になる鈴木義弘院長は、大学で長年スポーツ歯科領域の診療を行っていた。クリニックでは母で前院長の鈴木千枝子先生と、義弘院長の妻である鈴木英子先生の3人が常勤している。それぞれに専門とする診療分野を持ち、治療に生かしているのが特徴だ。特に千枝子先生は院長の職を譲った後、保育士の資格を取得したそう。「スタッフや患者さんとのコミュニケーションを大事にしたい」と話す義弘院長。和気あいあいとした院内では、患者が気軽に、先生たちに声をかけている光景が見られた。地域住民のかかりつけとしてどのような歯科診療を行っているのか、3人に詳しく話を聞いた。
(取材日2025年1月24日)
それぞれ専門の歯科医師が、チームで患者を治療する
たいへん歴史があるクリニックだそうですね。

【義弘院長】当院は、1951年に僕の祖父が開業したクリニックです。その後母の千枝子先生が院長を継承し、2022年に僕が継いで、3代目です。
【千枝子先生】上野を開業地に決めたのは、父がもともと宇都宮の出身で、当時は鉄道発着駅が上野駅だったので、その流れがあったのかと思います。ここのすぐそばに住まいがあったそうです。この場所は下谷神社の前でわかりやすいし、最初は小さな木造2階建てのクリニックでした。その後、後ろ側の土地も購入して現在の大きさにしたそうです。下谷神社とは縁が深く、私が小さい頃のお祭りの時や近所の友達と撮った写真も残っています。義弘院長たちのお宮参りや七五三も、下谷神社で行いました。
それぞれの専門を生かしたチーム医療を行っているのですね。
【義弘院長】母は現在も診療を行っており、日本小児歯科学会小児歯科専門医でもあります。妻の英子先生は歯科口腔外科の治療に長く携わっていて、僕はここに入職する前までは、大学で健康スポーツ歯科分野の治療について専門的に行っていました。他にも麻酔科が専門である妹や、インプラント治療を専門とする歯科医師の友人がいるなど、各治療にそれぞれ専門の歯科医師が在籍しています。幅広い歯科診療に対応していることが特徴です。
どのような診療方針をお持ちなのでしょうか?

【義弘院長】再治療の必要がないように、良い材料を使ってほしいという思いと精度の高い治療の提供をしたいという思いを強く持っています。どうしても医療保険制度内で治療をするとなると、使用できる素材も限定されるため、再治療の要因となり得ます。再治療を繰り返すと歯はどんどん脆くなっていきますし、患者さんからしても納得はいかないかなと思います。できるだけ歯を抜かず、痛みに配慮した治療を心がけることはもちろん、一人ひとりの患者さんに合った治療を提供できるよう保険診療以外の材料についてもしっかりと説明させていただくなど、患者さんと相談しながら診療を行っています。
患者とのコミュニケーションを治療に生かす
高齢になっても元気でいるためには、どのようなことが大事でしょうか?

【義弘院長】自分の歯で、また、入れ歯になっても、おいしく食べる喜びを持つことでしょうか。そのためには、口腔内環境の重要性について、患者さん自身が気づくことが大事だと思います。「おいしく食べることができない」と、失ってみて初めて自分の歯が大事だと気づく人は多いと思うのです。当院では、メンテナンス目的で来院される患者さんがたくさんいます。定期的に歯科医院に通ってクリーニングやメンテナンスを行うことも、歯を残すためには重要です。
【千枝子先生】やはりかかりつけを持って、何かあったらすぐに相談できるようにしておくことは大事だと思います。昔は痛くなったら歯科医院に来ていましたが、それでは遅く、歯がどんどん失われていってしまいますから。
患者さんと接するときに大事にしていることはありますか?
【義弘院長】患者さんとのコミュニケーションですね。患者さんはご自身のお口の中について、知らないことが多いと思うんです。例えば「保険診療のかぶせ物と自由診療のかぶせ物では、どういったことが違うのか」などですね。患者さんに合わせて、どんな治療が適しているのか、しっかりと相談しながら進めています。
【千枝子先生】私は、子どもたちが将来歯科医院を嫌がらないような診療を心がけています。小児歯科が、子どもにとっての歯科の入り口になるからです。
【英子先生】自分の中でベストな治療法があったとしても、患者さんの希望や生活背景をくみ取って、その方にフィットする治療ができるよう、相談しながら決めていくようにしています。大学病院だと提供できる治療は決まっていることも多いのですが、クリニックでは患者さん一人ひとりに合った治療を提案していくことが大事なので、必ず患者さんの目線に立って提案するようにしています。
スタッフ同士や患者さんとのコミュニケーションも活発にしているのですね。

【義弘院長】スタッフ間のコミュニケーションは、患者さんとのコミュニケーションにもつながります。普段から言っているのは、言葉遣いですね。働くときは必ず感謝の気持ちを忘れずにということも伝えています。治療は多くのスタッフが手伝ってくれて初めてできることなので、お互いに感謝の気持ちを忘れずにいることは重要だと思います。
【英子先生】千枝子先生は患者さんとコミュニケーションを取るのがすごく上手ですし、対応の仕方もとても勉強になります。そして、治療方針を決めるときは具体的なアドバイスをしてくれます。
【千枝子先生】患者さんが友達みたいな感じで来てくれますし、私の小さい頃を知っている患者さんも多いんです。どのように人生を重ねてきたのかを聞き出し、私自身の生き方の参考にもしています。
歯科診療を通して、患者の一生を支えていきたい
訪問歯科診療も行っているのでしょうか?

【千枝子先生】新型コロナウイルス感染症が蔓延する前は、私が訪問歯科診療を行っていました。お口の中が大事だということは皆さんよく知っていると思うので、通院することが難しい患者さんの所へ伺って診療したいと思っています。この前、100歳くらいまで通ってくれていた患者さんが施設に入り、102歳で亡くなったとご家族の方が報告に来てくださいました。亡くなるまで、しっかりと食べることができていたそうです。これからも、生涯にわたって、地域の皆さんの歯の健康を支えていきたいと思っています。
お二人が歯科医師になりたいと思った理由を教えてください。
【義弘院長】祖父も両親も歯科医師だったので、自然と自分も将来は歯科医師になるのだろうなと感じていました。何より、かわいがってもらっていた祖父の遺言なんですよ。
【千枝子先生】私は子どもに関わる仕事がしたかったので、歯学部に入学する時から、小児歯科に、と決めていました。大学も小児歯科の学科がある東京歯科大学を選び、入学試験の面接時に、「将来は小児歯科でのかかりつけとして活躍したい」と言ったくらいです。院長職を譲った後は、子どもがどのように成長していくかをもっと知りたくて、保育系の学科がある3年制の大学に編入し、2024年に保育士の資格を取りました。日々の診療にも役立っています。
今後の目標や展望をお聞かせください。

【義弘院長】祖父の代から70年以上続いている歯科医院なので、積み重ねてきた地域貢献を、さらに大きく還元していきたいと思っています。そのためには、僕が中心となってクリニックの再構築をし、患者さんのニーズに対応できる診療を行いたいと思っています。
【千枝子先生】歯科診療を通した社会貢献は、時代によって変わってくると思うので、社会の移り変わりでどのように貢献できるかを先取りし、地域医療に生かしていきたいと思っています。私自身も、子どもたちの生活や成長を、歯科診療を通じて支えたいですね。
【英子先生】私はこれまで長く歯科口腔外科の分野に携わり、抜歯や舌がんの治療など複雑な治療を中心に行ってきました。現在は総合的にお口の中を診るという経験をより多くさせていただいています。一つ一つの症例を大事にし、総合的な診療はもちろん大学病院での経験を生かして貢献していきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはホワイトニング/1万9900円~、インプラント治療/44万円~
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。