日中は眼鏡・コンタクトなしで
視力矯正可能なオルソケラトロジー
上野眼科医院
(台東区/上野駅)
最終更新日:2022/04/05


- 自由診療
スマホを長時間見ていたり、屋外で遠くを見る機会が減ったりと、生活の変化による視力への悪影響が懸念される現代。実際に子どもたちの視力は次第に低下し、文部科学省の学校保健統計調査では、裸眼視力1.0未満の子どもの割合は小学校、中学校とも過去30年にわたり増加傾向にあるという。「しかも将来、強度近視にまで進行すると緑内障をはじめ、さまざまな眼疾患にかかりやすいといわれます」と、近視に警鐘を鳴らすのは「上野眼科医院」の木村泰朗院長だ。「現在は夜間に特殊なコンタクトレンズを装用することで、昼間は眼鏡やコンタクトなしで視力向上をめざすオルソケラトロジーという治療法もありますから、一度検討してください」。この治療の特色や適応となる症状、小児がオルソケラトロジーを受ける際の実際の流れなどを木村院長に聞いた。
(取材日2022年2月12日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qオルソケラトロジーとはどんな治療ですか?
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A
就寝中、特殊なコンタクトレンズを装用して角膜の形状を矯正することで、日中は眼鏡やコンタクトレンズの装着なしで良好な視力の維持を図れる治療法です。日中は裸眼で過ごせるのも特色です。サッカーや水泳などのスポーツも眼鏡をかけずに行えますから、お子さんにも非常に喜ばれるようです。なお、健康保険適用とはならず、1週間のトライアル装用と、本格的な治療それぞれで高額な費用が必要になるため、費用の面には注意が必要です。
- Q治療を始めるのに適した年齢や視力などはありますか?
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A
この治療法は、屈折度ではマイナス4D~5Dまでの中等度の近視、裸眼視力では0.1程度までが適応とされ、それより強度の近視の方への適応には限度があります。年齢の制約はあまりないのですが、一般的に近視の患者さんは年齢が上がるにつれて視力が悪化する傾向にあるため、オルソケラトロジーの適応になるのは近視がまだ強くないお子さんが多くなっています。とりわけ家族に近視の強い人がいる方はいい適応となります。検査などでお子さんの視力の低下がわかったら、早めに相談いただくほうが良いといえます。ただし就寝時にコンタクトを装用する際、低学年のお子さんが自分で行うのは難しいので、保護者の方の手伝いが必要となります。
- Qほかの視力矯正法や治療法との違いを教えてください。
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A
眼鏡は手軽な視力矯正法ですが、近視が進んだらそれに合った眼鏡に替えていくのが一般的です。累進多焦点コンタクトレンズは視野の周辺部の見え方までカバーできる一方、就寝時や入浴時には外すなど細かな対応が必要になってきます。オルソケラトロジーの場合は視力矯正が期待できる上、日中の活動制限がない点はメリットといえるでしょう。また、手術をする必要もなく、角膜の手術や眼内コンタクトレンズの挿入といった手術による治療より始めやすいといえます。それから、レンズの使用を中止すれば、自然に元の状態に戻ることも特徴ですね。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1適応のある患者にオルソケラトロジーでの治療を説明
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学校の視力検査や保護者の気づきなどで、視力低下がわかって受診した子どもに対し、同院では問診や視力検査を行う。中等度の近視、両親とも近視の家系といった結果から、オルソケラトロジーによる治療が適応と判断された場合、治療のメリット・デメリットの説明がある。
- 2オルソケラトロジーの適応を調べる精密検査を行う
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オルソケラトロジーによる治療に適しているかを、専門的な講習を受けた視能訓練士が改めて検査。検査内容は、近視の度合い、近視が進みやすい眼底かどうか、角膜の形状、眼の健康状態など多岐にわたる。「当院の場合、視能訓練士の予定が合えば初診時に適応検査を行うことも可能です。ただ、説明後に一度持ち帰って検討されるケースも多く、その場合は別日に検査のために再受診されます」と木村院長。
- 3トライアルのためにレンズの装用方法をレクチャー
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本格的にオルソケラトロジーの治療を始める前に、1週間程度のトライアル装用の期間が設けられている。これはトライアル用のレンズを患者に貸し出すもので、レンズをつけたときの見え方やフィット感などを実際に確認できる。レンズが眼球にしっかりフィットするよう、レンズと眼球の間に空気を入れないことなど、装用のこつも教えてもらえる。
- 4子どもが自分でレンズを装用できるかどうかも確認
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トライアル期間では、子どもが自分だけでレンズを装用できるかなど、今後も使い続けるための確認も必要になる。小学校の低学年では、自分でレンズを着けたり外したりするのは難しいため、保護者のサポートが必要となる。しばらくして慣れてきたら、自分で着けられるよう手伝うことが大切だ。
- 5定期的な通院で視力や角膜の状態などをチェックする
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治療開始直後は1ヵ月に1度、落ち着いてきたら数ヵ月に1度のペースで定期的に通院し、その時点での視力や角膜の状態などをチェックする。またオルソケラトロジーのレンズは特殊な形になっており、丁寧に洗浄して汚れを残さないようにするのが、角膜を傷つけないためのポイントとなる。
自由診療費用の目安
自由診療とは適応検査/5500円、トライアル装用(1週間)/両眼4万6000円・片眼3万2000円、初年度治療費(年額)/両眼10万4000円〜・片眼6万4000円〜、2年目以降治療費(年額)/両眼・片眼とも1万6000円、ケア用品費用(年額)/3500円