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木村 泰朗 院長の独自取材記事

上野眼科医院

(台東区/上野駅)

最終更新日:2020/04/01

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JR・東京メトロ上野駅から徒歩で5分ほどのところにある、「上野眼科医院」。クリニックの扉をくぐると、そこには季節に合わせた絵が飾られ、診察を待つ人の心を和ませるように植物が飾られている。院内はバリアフリー構造で、検査室の段差には車いす用のリフトも用意されている。院長の木村泰朗(たいろう)先生は、日本人の多くが罹患するといわれ、日本の失明原因の1番に挙げられる緑内障の診療に力を注いでいる。そんな木村院長がめざす治療の在り方と、緑内障の早期発見・治療の重要性について話を聞いた。
(取材日2019年10月3日)

親子2代で上野の街の「目の健康」を支える

この上野という街は、先生にとってどんな街ですか?

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長年にわたって、父が上野で眼科医院を開業していました。私にとってここは生まれ育った街ですから、やはり愛着がありますね。何世代も続いている方たちが多く、お年寄りも元気がいいのが上野の魅力の1つだと思います。そういった理由もあってか、ゆとりがあり、おっとりした雰囲気があります。私が父の後を継いで院長に就任したのは、今から30年ほど前です。ちょうど私はアメリカに留学していたのですが、当時69歳だった父ががんで急逝し、帰国しました。2002年、クリニックを移転してからも2017年までは大学病院との兼務を続けていましたが、現在は当院での診療に専念しています。

いらっしゃる患者さんの層を教えてください。

お子さんからお年寄りまで、偏りはありませんが、最近は特に後期高齢者の患者さんが増えてきましたね。父が院長だった頃から、2〜3世代と来てくださっている患者さんもいらっしゃいます。クチコミや患者さん同士の紹介でおいでになる方が多いですね。特に当院では一般眼科や白内障などの治療のほか、緑内障の検査や治療に力を入れていますから、そのために遠方から来られる方も少なくありません。中には秋田県から定期的に緑内障の検査にいらっしゃる方もおられますよ。

緑内障治療に力を入れてらっしゃるそうですね。どんな病気なんですか?

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緑内障は、目の神経節細胞が徐々に死滅していってしまう病気です。だんだんと視野が欠けるようになり、放っておくと失明する危険性もあります。困ったことに、 ほとんどの方は自覚症状がないのが緑内障の特徴です。緑内障の多くは鼻側の視野から欠けていきますが、両方の目がお互いに視野の欠けた部位を補い合うのでなかなか自分では気がつきません。日常生活で見えづらさを感じるようになった頃には、残念ながら、既にかなり進行してしまっていることも多いんです。緑内障では、一旦欠けた視野の回復は期待できないため、見えづらくなったからそろそろ治療をするかでは遅いのです。しかし、最近は人間ドックの受診や区の検診などにより、早期発見につながる機会が増えています。また、検査や治療薬も進歩してきており、早期発見さえできれば生活に困らない程度の視野や視力を生涯にわたり維持できる可能性が高いといわれています。

自覚しにくい緑内障。だから「早期発見・治療」が必要

緑内障の検診にもこちらでは力を入れているのですか?

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もちろんです。2010年から60歳になる方を対象に、行政と協力し当院ほか台東区内のいくつかの眼科クリニックで緑内障検診を行っています。受診される方は年々増えていますよ。その背景には、2000年〜2001年にかけ行われた大規模な緑内障の疫学調査(多治見スタディー)があるのだと思います。その調査では、40歳以上の日本人の5%が緑内障で、その有病率は年齢とともに増加していくという結果が出ました。それどころか、その調査で判明した緑内障の患者さんのうち90%には、自覚症状がまったくなく、検診で初めて検出されました。緑内障は痛くもかゆくもありませんし、少し視野が欠けたくらいでは気づくことはほとんどありません。だから検診を受けて早期発見につなげることが必要なんです。

失明する緑内障の患者さんが減るといいですね。

そうですね。検診は緑内障を早く見つけることに役立ちます。もしも、緑内障疑いと診断されたとしても、緑内障という疾患を正しく理解していただくことで、心配や不安を取り除いて安心につなげていきたいですね。自覚症状のなかった方が、検診によって緑内障があるとわかると「自分は失明するのだろうか」と心配なさいます。しかし、緑内障で失明する方は極めて少ないのです。最近では、緑内障による視野欠損の将来予測を行うための解析ソフトも出てきています。当院でも患者さんへの説明に活用しています。視野は徐々に欠けても、完全な失明を避け、不自由ない視野を保つことがめざせると、検査データをもとにお示しすることができるのです。近年は80、90歳代まで元気に生活される方もたくさんいらっしゃいます。もし60代で緑内障が発見されても、その30年先まで生きることを考えれば、「早期発見・治療」は極めて重要です。

今後の緑内障治療について、先生の展望を教えてください。

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眼科医療は今、ものすごいスピードで進化を続けています。私たちもその流れに適切に対応すべく、新しい機器や手法、薬剤を積極的に取り入れるようにしています。例えば当院では通常の眼底、眼圧、視野検査に加え、網膜神経線維層の厚みを測定・解析するための装置(OCT光干渉断層計)を早くから導入し、早期の微細な眼底変化を捉えることを図り診断や治療の判定に役立てています。その他にも、MIGS(低侵襲緑内障手術)や、SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)による緑内障治療などを取り入れたり、ROCK阻害薬やプロスタグランジン系点眼薬、プロスタグランジン系の薬が合わない方にはオミデネパグイソプロピル、2剤の緑内障薬が1本に入っている配合剤など、新しい薬剤を適切に導入しています。新しい知見をうまく取り入れ、患者さんにベストマッチするような治療を追求していきたいですね。

目を酷使する現代社会、気がかりがあればまず受診を

毎日の診療で大切にされていることは何ですか?

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患者さんが納得されるまで、丁寧にご説明することですね。先ほども申し上げた通り、検診をきっかけに緑内障が判明した方の中には、自覚症状がまったくなく、「なぜ自分が?」と不安感を抱くケースがあります。そうした時、目の機能や構造、緑内障に関して詳しくお話ししています。初診の患者さんだと、20分以上時間がかかってしまうことも珍しくありません。ただ、その分どうしても患者さんの待ち時間が長めになってしまっていることは、とても心苦しく思っています。それを防ぐために、待ち時間の間は患者さんにいったん家や会社、近くのカフェなどで待機してもらい、診察時間が近づいたら電話などでお呼びする方法を取っていますが、なかなか根本的な解決は難しいものがありますね。

休日はどのように過ごされていますか?

週末は、勉強会の準備や頼まれた原稿の執筆、研究データの整理など積み残した仕事にあてています。もしくは、学会や勉強会への参加ですね。最近は自分の健康管理のためにも、平日は少し早めにクリニックを出るようにしています。火曜に設けている自分の休日は、できるだけ図書館へ出かけて読書をしたり、好きな音楽を聴いたりして過ごしています。また、月3〜4回は スポーツジムに行って汗を流すようにしています。トレーニングマシーンで体を鍛えたり、走ったりすることは良い気分転換になりますね。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

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働き盛り世代に限らず子どもから高齢者まで、現代社会はパソコンやスマートフォンなどの「画面」に絶えず向き合っているといってもいいでしょう。あまり目を疲れさせないようにパソコン・スマートフォンの画面を見続ける時間を控えめにすることが大切です。40代以降は緑内障の検査を定期的に受けることが望ましいことも改めてここで強調しておきます。また、各種サプリメントが一般に受け入れられていますが、あまりに科学的根拠に乏しいサプリメントを「目の健康のため」といって摂取するのは控えたほうがいいと思います。何であれ目の健康で何か気になることがあったら、まずは早めに眼科を受診してください。

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