腰原 偉旦 理事長、腰原 輝純 院長の独自取材記事
腰原歯科クリニック
(台東区/浅草橋駅)
最終更新日:2024/05/29

JR中央・総武線の浅草橋駅東口から徒歩1分。江戸通り沿いのビル4階にある「腰原歯科クリニック」は、1985年の開業。2019年からは腰原偉旦(こしはら・ひであき)理事長と息子の腰原輝純(こしはら・てるよし)院長の二診制がスタートし、2人の専門である補綴治療をはじめ、虫歯や歯周病など一般歯科領域を幅広く診察している。院内には理事長家族や患者が作製したという油絵や木彫りの壁掛けが飾られ、家庭的な雰囲気。長年大学病院で診療してきた偉旦理事長と輝純院長は、患者を思いやる診療姿勢で質にこだわった歯科医療を提供している。近隣はもとより千葉や埼玉など遠方から通院する患者も多いという同院。2023年にはマイクロスコープを備えるなど先進の治療や機器の導入にも前向きな2人に同院の診療について話を聞いた。
(取材日2022年2月18日/更新日2024年2月13日)
長年の大学病院診療で培った豊富な経験と技術力
お二人の経歴と専門の分野をお聞かせください。

【偉旦理事長】1974年に東京医科歯科大学を卒業し、その後約11年間、補綴科の文部教官として大学で勤務後、1985年に開業しました。普段の診察でも義歯のメンテナンスや噛み合わせなどを主に担当しています。噛み合わせの異常は、発音機能の低下や転倒リスクの上昇などさまざまな悪影響を及ぼすことが考えられますから、全身の健康状態を意識しながら口腔ケアを行うことを重視しています。
【輝純院長】私は東京歯科大学を卒業後、同大学大学院へ進み補綴学を学びました。その後、東京歯科大学の講師として東京歯科大学水道橋病院に勤務。2019年4月から当院でも診療するようになり、2022年から院長を務めています。専門は父と同じ補綴ですが、中でもCAD/CAMシステムを用いたクラウンやブリッジによる補綴治療を得意としています。補綴分野の治療では大学病院にも引けを取らないと自負しています。
どのような患者さんが多いのでしょうか?
【輝純院長】虫歯や歯周病をはじめ一般歯科領域を幅広く診察していますが、私たちの専門が補綴治療なので、入れ歯についてのご相談が多いですね。中でも部分床義歯の方がメンテナンス不足によって噛み合わせ異常を起こし、来院されるケースが目立っています。また、新型コロナウイルスの流行が落ち着いて久しぶりに受診された方の中には、虫歯や歯周病が悪化してしまい来院されるケースが増えたように思います。私は補綴が専門ですから歯を削る機会が多いのですが、歯はなるべく削らず、何もかぶせないのがベストと考えています。患者さんには痛みがあるのは良くない状態なので、歯が浮いたような感じがある、腫れぼったい、出血など違和感があれば早めに来院してほしいとお話ししています。
輝純先生が院長に就任されて、何か変化はありましたか?

【偉旦理事長】以前は高齢の方が多かったのですが、院長が診療に加わってから若い患者さんも増えてきましたね。近隣の方はもちろん、千葉や埼玉など遠方から来院される患者さんもおられ、うれしく思っています。院長も私と同じく補綴を専門的に学び、長年大学病院での診療経験を積んできていますので、同院でもその経験を生かして専門性の高い治療に努めています。院長はとても穏やかで、患者さんへの対応もとても優しい。患者さんも院長の話を素直に受け入れてくださるようなので、安心して任せています。
【輝純院長】理事長はとても行動力があって、治療も丁寧で素早い。動きに無駄がないんです。長い経験によって培われたものだと理解していますが、うらやましいですね。今も週4日診療していますので、頼りにしています。
歯と口の健康を通じて全身の健康へ貢献
マイクロスコープを導入されたそうですね。

【輝純院長】はい。マイクロスコープは肉眼よりも高い倍率で視野を拡大できる歯科用顕微鏡です。口腔内の隅々まで確認できるので、より細かな部分まで丁寧に治療することが可能になります。さらに、マイクロスコープには録画機能があり、撮影した画像をモニターに表示して口腔内の状態を患者さんに見ていただくことができます。治療の様子や、ブラッシング指導の際に磨き残した部分をお見せすることで、患者さんにとってよりわかりやすく、納得感のある治療や予防につながるのではないかと思い、導入しました。今後は、虫歯治療で歯を削る際にもマイクロスコープを活用できればと考えています。
専門である補綴治療について、クリニックの特徴を教えてください。
【偉旦理事長】入れ歯にもさまざまな種類があり、当院では一般的な入れ歯だけでなく、「床(しょう)」と呼ばれる土台の部分が金属でできている金属床義歯や、金属のバネの代わりに小型の磁石で義歯を顎に装着させる磁石式義歯なども作製しています。ただ、1本などのごく少数の欠損の場合は、入れ歯よりもブリッジのほうが違和感が少なく、よく噛めることが望めるといわれていますので、状況に応じてブリッジをご提案します。
【輝純院長】虫歯治療で削った部分を補うための詰め物・かぶせ物に、白い素材の物を希望される方が増えてきました。当院では自費診療となるセラミックのほか、保険診療で作製できるハイブリッドレジンという白い素材のかぶせ物にも対応しています。複数の選択肢がある場合はそれぞれの治療や素材の特徴、治療期間や費用などをご説明した上で、患者さんに選択していただきます。
インプラント治療も行っていますね。

【輝純院長】以前はインプラント治療を希望される患者さんには信頼できる医療機関をご紹介するようにしていましたが、「いつも通院している歯科医院で治療してほしい」という患者さんのニーズに応えるかたちでインプラント治療を始めました。施術はガイドシステムを採用し、患者さんごとに歯科用CTによる検査データをもとにインプラントを打ち込む位置を適切に導くためのガイドを製作し行います。施術の確実性と精密性の向上を図るためのシステムですので、患者さんはもちろん、私たち施術する側も安心感を持って治療することができます。
「噛むことは健康の源」を合言葉に、歯の健康を守る
その他、力を入れている分野はありますか?

【輝純院長】理事長が掲げてきた「噛むことは健康の源」という合言葉を継承し、口腔の健康だけでなく全身の健康維持にも貢献していければと思っています。近年、老化による噛む・飲み込む・話すといった口腔機能の衰えを示す「オーラルフレイル」の概念と予防の重要性が提唱されています。よく噛むことは脳への刺激につながり、脳の機能が活発になりやすいことから認知症予防につながるのではないかと期待されています。また噛むことは唾液の分泌も活発にします。唾液には口腔内を自浄する作用があり、虫歯や歯周病の予防の他、インフルエンザなどの感染症や誤嚥性肺炎の予防など、お口と全身の健康を維持する上で重要な働きを担っています。口腔内の乾燥やストレスが、唾液の減る一因になります。必要な方には口や舌の運動や唾液腺のマッサージなど、唾液の分泌を促すためのケアをお勧めしています。
理事長は、今後力を入れていきたいことなどありますか?
【偉旦理事長】診療に関しては院長に任せていますが、長年私が診ている患者さんもおられますので、体が動くうちは週に何度か診療に出て、できることをやっていきたいですね。また、私が個人的に2019年11月に埼玉県幸手市にオープンした、歯に関する博物館をもっと充実させていきたいと思っています。長年趣味で集めてきた、お歯黒の道具、歯科用足踏みエンジン、昔の入れ歯など、歯に関する骨董品を展示していますので、興味のある方は事前にご連絡の上、見学にお越しください。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【輝純院長】基本的には、患者さんが望むゴールにどこまで近づけるかを考えながら診療しています。お互いのゴールに隔たりがある場合は、患者さんとよく話をして、理解を共有しながら治療を進めるようにしています。そのためには患者さんとのコミュニケーションが大切です。特に初診時は緊張している方が多いので、緊張を和らげるためによく笑うようにするなど、話しやすい雰囲気づくりを心がけています。また、私は補綴が専門ですから歯を削る機会が多いのですが、理想をいえば削る状態になる前に患者さんに関わり、口腔内のケアや歯を守るお手伝いがしたいと思っています。当院には経験豊富な歯科衛生士が歯のクリーニングやブラッシング指導をしていますので、ぜひ定期的にご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは義歯:金属床/27万5000円~(材料・欠損状態による)、ノンメタルクラスプデンチャー/16万5000円~(材料・欠損状態による)、磁石式入れ歯/7万7000円~(入れ歯の本体は別)、クラウン1歯:オールセラミック(ジルコニア)/13万2000円、メタルボンド/13万2000円、インプラント治療/49万5000円~(上部構造まで含む)、ホワイトニング/3万3000円(オフィスホワイトニング)