加藤 寿香 先生の独自取材記事
かとう医院
(台東区/鶯谷駅)
最終更新日:2024/02/15
JR山手線・鶯谷駅から徒歩5分の立地にある「かとう医院」は、プライマリケアを担う医院として地域医療を支えている。同院で日本皮膚科学会皮膚科専門医として日々、診療にあたるのが加藤寿香(ひさか)先生。父である内科医の加藤元浩院長とともに、「断らない診療」をポリシーとしている。もとは内科の診療のみだった同院だが、平日の午後に加藤先生が皮膚科診療も受け持つようになった現在、対応できる範囲も大幅に広がっている。高齢者が多く住む地域であるだけに、往診も行っている同院の利便性は極めて高いだろう。「こんなに小さな症状で来院してもいいのかなと思わず、気軽に来てほしい」と語る加藤先生に、医院の特徴や診療方針について話を聞いた。
(取材日2024年1月11日)
地域医療の「何でも屋さん」として窓口になる医院に
御院の特徴を教えてください。
内科と皮膚科を標榜していますが、地域の「何でも屋さん」として、困ったことがあればなんでも、気軽に来ていただきたいですね。専門としては院長である父が内科、私が皮膚科ですが、どこに行けばいいかわからないような症状でも、まずはご相談いただければと思います。「誰でも診る、なんでも診る」という、断らない医療をめざしていると院長は考えていましたが、それはこの医院全体のポリシーになっていますね。外来で対応が可能なものであれば私たちが診療しますし、他の診療科での対応が必要と判断すれば連携している地域の医療機関に適切に紹介します。
皮膚科を受診する際の、注意点についてお聞かせください。
皮膚科はどのようなタイミングで受診したらいいかわからないという方もいらっしゃると思います。皮膚科の診察は視診が重要ですので、皮膚に何が起きていてどうしたらいいのかなというときに、まずはご相談ください。高齢者から若い人、生まれたばかりの赤ちゃんまであらゆる年代の方に対応しています。また、例えば足の付け根にでっぱりを感じて診てもらったら実はヘルニアでしたというように、皮膚の異常で受診したけれど原因が皮膚の疾患ではなかったということもかなり多いのです。その場合は適切な診療科におつなぎしますが、こうした窓口としての役割も、私は皮膚科の仕事だと考えています。ですから、何の症状かわからないという方も安心してご来院いただければと思います。
他にも、実はこのような症状も皮膚科で対応している、というものはありますか?
爪に関するお困り事にも対応しています。肥厚といって爪が分厚くなってしまって切るのが難しい場合や、目が見えにくかったり体に不自由があったりして爪が切りづらい、手が届かないといった場合は当院でお切りします。他にも足のたこを削ったり、イボを焼いたりもしていますし、手にまめができたといったことで来ていただいても構いません。それから、汗に関することも基本的には皮膚科ですので、若い方に多い脇汗や手汗がひどいといった多汗症でお悩みの方も、受診してみてください。また、美容に関するご相談にも応じていますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。
往診にも対応し、皮膚のトラブルも専門の医師が処置
診療の際に心がけていることを教えてください。
コミュニケーションに関しては、わかりやすい説明を心がけています。患者さんのお話を伺っていると、他院でお薬だけ出されて、あまり説明を受けられないまま帰されていたという方もおられるようです。当院では、お薬を処方するにしても、ただお渡しするだけではなくて塗り方まで丁寧にお伝えするようにしています。また、医療ガイドラインに即した、エビデンスに基づいた適切な医療を提供することを大事にしています。医師としての感覚に頼りきるのでなく、根拠に基づいた治療をして、状態を良くするためのお手伝いができればと思います。
御院では往診にも対応されているのですね。
往診では根岸周辺を主として基本的には台東区内全域、また日暮里など台東区に隣接している地区であれば対応が可能です。地域的な特性もあり、当院の患者さんは高齢者が非常に多く、通院が難しい方や、ご自宅での日常的な処置ができない方も多いようです。ですから、患者さんの必要に応じて内科や皮膚科の往診を行っています。皮膚科は往診に対応している医院が少ないので、床ずれを表す褥瘡(じょくそう)をはじめ高齢者の皮膚のトラブルが見過ごされやすく、放置している間に入院加療が必要になる他、命に関わるような状況になってしまうこともあります。皮膚に何か症状があって通院ができない方に関しては、当院が往診に伺います。
往診で診療をする際には、どのようなことに配慮されていますか?
その方の生活背景に目を配るようにしています。通院ができないということは、ご自身でさまざまな管理や処置をすることも難しい状況であることが多いはずです。ですから、患者さんが自分でできることを理解して、その範囲で最大限の治療ができるように配慮しています。薬を処方するにしても、定期的に1日3回内服するのが難しければ1回にまとめられるような処方にしたり、軟膏であればチューブ状のものだとご自身で扱いにくい場合は別の選択肢を考えたりと、制限のある中で何ができるかを考えるようにしています。また、患者さんの足などに傷ができたりして連日の処置が必要であれば、その方の主治医の先生にご相談して、訪問看護として介入させていただくなど、患者さんのために医療資源をいかに活用できるかが大切です。
小さなことでも気軽に相談をしてほしい
加藤先生が皮膚科を志した経緯をお聞かせください。
当院の院長である父の姿も診ていましたから、人を助けて感謝していただける仕事がいいと思い、医師をめざしました。当初は内科を考えていたのですが、私自身、手を動かすのが好きということもあり、手術なども行う皮膚科が合っていると思ったんです。皮膚科は勉強することも多くて奥が深く、また例えば手術をしたらその標本を取って顕微鏡で確認し、診断をして治療をするところまで自分で行うこともできます。そうしたところも自分に向いていると思い、最終的に皮膚科に進みました。
皮膚科専門医である加藤先生が御院に入られたことで、診療の幅も広がりましたか?
対応できる範囲は大幅に広がったと思います。もともと、高血圧や糖尿病など内科の疾患で受診されていた方々の中にも、足の爪を切れなくて困っていたり、皮膚のトラブルを抱えていたりする方が多く、皮膚科診療の需要が実はかなり高かったことを実感しています。私自身内科も診ますが、専門的に内科をやってきた父と連携しながら、患者さんの全身を内側と外側から総合的に診れることも強みだと感じています。また、皮膚科としてほくろや粉瘤、イボの除去といった小規模な手術であれば当院内で行えますので、手術をご希望の方もぜひ来院していただきたいです。
読者へのメッセージをお願いします。
当院はプライマリケアを担う「何でも屋さん」をめざしていますので、何か体のことでお困りがあればお気軽にご相談ください。一般内科についてももちろん、専門の皮膚科についても、美容も含めてお肌のことに関して症状や相談事がありましたら、小さなことでも構いませんのでぜひ来院してみてください。女性の患者さんですと、胸の周辺など、見せるのが恥ずかしいと感じる場所に症状がある方も多いと思います。皮膚科に関しては女性の医師が診療いたしますので、安心してお越しください。