松原 将人 院長の独自取材記事
松原歯科クリニック
(台東区/新御徒町駅)
最終更新日:2026/02/12
下町の風情が残る元浅草の町で、人と人とのつながりを大切に診療にあたっている「松原歯科クリニック」。祖父の代から3代続けてこの地域で開業したという松原将人院長は、下町ならではの温かさを大切にしながらも、「現状維持は退化である」という信念のとおりに今も進化し続けている。医学部の口腔外科で重篤な症例にも携わり、インプラント専門の歯科医院でも研鑽を積んできた松原院長。現在は機能面だけでなく審美的な治療が患者にもたらすメリットにも目を向けて、多くの患者に健康な歯と笑顔になれる瞬間を提供できるよう尽力している。2010年の開業当初から現在までの患者層や診療内容の変化、また地元への思いなど、松原院長に話を聞いた。
(取材日2026年1月13日)
機能と審美。その両面に着目して患者のニーズに応える
2010年の開業以来、患者層や診療内容に変化はありましたか?

当時も今も、この地域にお住まいだったり、近隣で働いている患者さんは多いですね。外国籍の方も多い地域ですし、近くの学校の先生にもご利用いただいています。妻も当院で歯科医師として働いているので、お子さんの診察などでは「女性の先生に診てほしい」とリクエストをいただくことも。またインターネットやクチコミでの情報収集が当たり前になったこともあってか、遠方からの患者さんも年々増えています。いくつもの路線が徒歩圏内に走っているので、通いやすいのかもしれません。患者さんの層が広がるにつれてお悩みの内容も多様になってきました。それに応えられるように当院も診療の幅を広げてきましたが、大きく変わったのは2020年頃だったように思います。感染症の問題があって型採りを印象材を使う方法から光学印象に変え、それに伴ってセラミック治療にも力を入れ始めた時期です。
セラミック治療をきっかけに、どのように診療が広がっていったのですか?
光学印象は従来の方法と比べて患者さんの負担や感染リスクが少なく、セラミックは銀歯と比べて虫歯のリスクが少なく外れにくい。当初はそのようなメリットを感じていたのですが、患者さんから「口元を隠せず笑えるよう、目立たないセラミックで治療してほしい」というご要望があり、審美面でもメリットがあることがわかりました。そこでセラミックの可能性を追求したところ、治療時の審美性を追求できたり、加齢とともにすり減った部分の補強を図ったりと、機能と審美の両面からアプローチできることに気づいたんです。この分野を広げることで、さらに多くの患者さんの期待に応えられるのではないか。そう思い、今も海外で先進のセラミック技術を学んだりと、機能と審美を両立できる治療法にアンテナを張り注力しています。
先生の開業前のご経歴を教えてください。

私は大学卒業後、歯学部ではなく医学部付属病院の口腔外科で勤務してきました。開業したときにどんな方が来られても診ることができるようにと、あえて厳しい環境を選んだのです。今こうして、ケガによる口腔内の損傷にも柔軟に対応することができるのは、その頃の経験があってこそ。医学部の口腔外科では、歯や口だけでなく全身のさまざまな疾患を抱えている方や、交通事故に遭って救急車で運ばれてくる方、ICUで診るような患者さんもいらしていましたからね。その後に審美面に特化した歯科医院やインプラント専門の歯科医院に勤務してきて経験を積んできたことも、一般歯科や予防はもちろん、審美歯科にも力を入れていきたいと考えている現在、いろいろな治療法を提供することに役立っていると思います。
担当歯科衛生士と協力し、患者の歯の健康をサポート
先生が、予防やメンテナンスの重要性に気づいたのには、何かきっかけがあったのですか?

実はお恥ずかしながら、私も歯学部に入学するまでは、歯のケアについてあまり意識していなかったんです。大学で実習に入るようになると、顕微鏡などを使って自分の口の中のまじまじと見る機会が多くなってきます。自分の口の中と友人の口の中を見比べてみて、自分にはいないけど友人にはいる菌、例えば虫歯菌や、大学生ぐらいの年代ではまだいるはずのない歯周病菌などを見つけたりして、その度に「口の中にはこんなに菌がいるんだな……」と驚く日々でした。ケアの大切さや、菌を放っておくことの怖さなどを、身をもって知ったのはその頃です。自分の歯の健康への意識が芽生えてからは、しっかりとケアをするようになりました。こうした実体験をふまえ、予防の大切さを当院の患者さんにも伝えていきたいと思っています。
こちらのメンテナンスでは担当制を採用されているのだとか。そのメリットを教えてください。
担当歯科衛生士が患者さんのお口の中を把握しますから、前回との比較がしやすいですね。また患者さん側からすると、何度も顔を合わせることになるので心の距離が縮まり、相談しやすいのではないでしょうか。当院の歯科衛生士は2人とも丁寧で経験豊富。患者さんから相談を受けている場面もよく目にしますし、問題点を見つけたらすぐに歯科医師に報告してくれます。どのような治療であっても、その後の再発防止のために定期的なメンテナンスは欠かせません。当院では初診時に歯科衛生士からメンテナンスの大切さについて説明を行ったり、治療後は定期検診をお知らせするはがきをお送りしたり、デジタル診察券の方はおよそ3ヵ月ごとにスマートフォンに通知が届くようにしています。平均して全体の3割程度、日によっては半数がメンテナンスの患者さんということもあったりと、当院の患者さんは歯に対してしっかりと意識を向けていると感じています。
セルフケアに関するアドバイスもお願いします。

フロスや歯間ブラシなど複数のケア用品をお使いの方が多いかと思いますが、「歯ブラシ」は最後に使うように習慣づけましょう。なぜならば、フロスや歯間ブラシを面倒くさいと思う日があっても、ほとんどの方が歯磨きは毎日するからです。「フロスして、歯間ブラシをして……最後に歯磨き」という流れを作ってしまえば、気持ち良くケアを終えられますからね。また普通の歯ブラシでも電動歯ブラシでも、歯ブラシの毛先の当て方や動かし方を知らないために「磨けているようで、実は磨けていない」という方が多いようです。歯磨きで大事なのは、歯の表面だけではなく、歯と歯茎の境目をいかに意識して磨くかということ。歯周病のリスクも、この部分がちゃんと磨けているかどうかに左右されるので、意識して歯磨きを行うことが大切なんですよ。歯科衛生士はこの点もチェックして、行き届いていない部分があればわかりやすくお伝えしています。
下町ならではの温かさを大切に、さらに進化し続けたい
先生が診療の際に大切にしていることをお聞かせください。

歯科に苦手意識をお持ちの方もいますから、「絶対に強制しない」ことを大前提に治療にあたっています。例えばユニットに座ったはいいものの「怖くて治療を受けられない」というならば無理強いはしません。「せっかく時間が30分あるのだから、歯科医師や歯科衛生士に相談などありませんか」と話をしたり、そんな柔軟な気持ちで診療しています。そうしていくうちに、少しずつ慣れてくださればうれしいです。
先生の家系は3代続いて上野・浅草エリアで開業されたと伺いました。
父はここから歩いて10分ぐらいの場所で歯科医院を開いていましたし、祖父もこの地域で理容師をしていました。今はどちらも閉じてしまいましたが、祖父に髪を切ってもらっていた方が父や私の歯科医院にいらしたこともありますし、父がここでなじみの患者さんの口腔ケアを行うこともあるんですよ。ここは生まれ育ってきた町でもあり、この独特な下町の気質がとても気に入っています。そうした何代にもわたる下町ならではのつながりを大切にしていきたいですね。
最後に、今後の展望をお願いします。

開業して15年以上、多くの方に支えられて私もクリニックも成長することができました。ここは町の歯科医院ですから、特化した技術を宣伝するよりも、地域に密着して安心して気軽に来てもらう場所をめざしています。一方で忘れてはならないのは「現状維持は退化である」ということ。どこかで見たこの言葉は私の心に強く響き、人生の教訓になりました。下町ならではの温かさを大切にしながら、進化を続けて患者さんと時代のニーズに応えていきたい。そして、小さい頃から来てくれていた子が成人して、他の町に引っ越してしまっても、またここに来てくれるような歯科医院でありたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント/45万円~、セラミック治療/6万6000万円~

