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篠田 瑞生 院長の独自取材記事

千川篠田整形外科

(豊島区/千川駅)

最終更新日:2021/10/12

篠田瑞生院長 千川篠田整形外科 main

東京メトロ有楽町線千川駅から徒歩2分。住宅街に、モダンなミントグリーンの外観が目を引く「千川篠田整形外科」がある。地元出身の篠田瑞生院長は、開院時から理学療法を率先して取り入れてきた。丸屋根の建物がリハビリテーションスペースで、取材中も歩行訓練を行う高齢者に付き添い、優しい言葉をかける理学療法士を何人も見かけた。院長は病院勤務医時代からの数多の手術経験を生かし、患者の意向をくみながら適した治療法を提案。腰痛や膝痛、外傷などの治療や、最近は骨粗しょう症の患者も多いことから「骨粗しょう症は骨折する前に発見することが大切」と予防治療に積極的。多くの患者を診終えた午後の貴重なひとときに、話を聞いた。

(取材日2014年6月9日/更新日2020年8月7日)

理学療法士がマンツーマンでリハビリを指導

どんな経緯でこちらに開業なさったのでしょうか?

篠田瑞生院長 千川篠田整形外科1

私は隣町の高松というところで生まれ育ち、そちらの小学校を卒業しました。いざ開業と考えた時、やはり地元に帰ってやりたいなと思ったんですね。当時、この辺りには人口が多いのに、整形外科医院がほとんどなかったことも後押しになりました。少し減ってしまいましたが、かつては周囲に高校が2校、中学校が3校、小学校が5校くらいあって、今でも非常に学生さんの多い町なんです。一方で、古くから住むご高齢の方もたくさんいらっしゃる。そういう幅広い年齢層の方たちにご来院いただいています。

奥のドーム型の建物の1階で物理療法、2階で理学療法とリハビリが充実していますね。

大学時代の恩師である教授の専門が理学療法で、学生時代にみっちり教わったんです。20数年前の当時は、理学療法は今ほど注目されておらず、私も勤務医だった頃は手術に目が向いていました。ですが開業すると、患者さんはむしろ手術を避けるために来院されるんです。それなら理学療法に力を注ごうと思い、かつての勉強を役立てています。開院当時は理学療法士が在籍するクリニックはまだ珍しく、設備などの基準について随分厳しい指導を受けました。もちろん、指導された点はすべてクリアして今に至ります。

具体的にどのようなリハビリをなさっているのですか?

手術はしたくないという方の運動療法や、術後のリハビリも行っています。いわゆる腰痛体操をお教えしたり、筋肉増強のための運動をしたり。当院は機械まかせではなく、理学療法士がマンツーマンで患者さんを指導する形を取っています。「家でやってみてください」と言われても、なかなか自分一人ではできませんよね。ここに通うこと自体も大切で、歩いてやって来て、1時間ほど理学療法士と話しながら体を動かすというやり方が、患者さんにも喜ばれているように思います。ここにいる間は、「つもり」に過ぎないかもしれませんが、多少でも症状が良くなったような気分になって、気持ち良く帰っていただかなければいけないとスタッフに徹底しています。

スタッフの方はみんなお優しそうです。

篠田瑞生院長 千川篠田整形外科2

そういう人を選んでいますから(笑)。今理学療法士が6人、マッサージ担当が2人います。クリニックで、これだけのスタッフはなかなかいないでしょう。最初の頃、大学の先生に来ていただいていたご縁もあって、現在は大学3校、理学療法の専門学校4校の実習の場にもなっています。実習で来た中には、ここに就職したいという学生さんもいますね。

ロコモティブ症候群を防ぐために

どういった症状の方が多いのでしょうか?

篠田瑞生院長 千川篠田整形外科3

腰痛、肩凝り、膝の悪い方、外傷のある方などですね。手がしびれる、握力がなくなったという患者さんもいらっしゃいます。最近は骨粗しょう症の方も多く、勤務医時代はあまり重要視していなかったのですが、患者さんに接しているうちに、例えば痛みが出て、骨がつぶれてから薬を出すのではなく、そうなる前から対策を進めなければと思うようになり、専門の研究会に入りました。その成果を生かし、定期的な血液検査やエックス線撮影などで予防に努めています。骨粗しょう症で骨が痛くなるとか、背骨がつぶれるという症状には、整形外科医師が一生懸命対処しなければと思っています。薬を出すだけでなく、詳しい病状の説明をして、日常生活の注意点をお話し、体操もお教えする。それは他科ではなかなかできないことですからね。

骨粗しょう症は怖い病気なんですね。

ロコモティブ症候群という言葉を聞いたことがありませんか。これは「運動器の障害」から「要介護になる」リスクの高い状態になること。わかりやすく言うと、骨粗しょう症によって背中が丸まったり、骨折しやすくなったりすることですね。今の骨粗しょう症治療の第一目的は骨折を起こさないことです。腕を折ったり、背骨がつぶれたりしてからでは遅く、一度骨折すると、連鎖的に何度もということになりがち。なかなか退院できなくなったり、歩けなくなったりするので、骨折する前に病気を見つけましょう。当院は「骨年齢を測りませんか」という張り紙をしたり、ほかに症状のある方に検査を勧めたりしています。誰でも最期は「ピンピンコロリ」というのが理想でしょうから、整形外科的アプローチとして、なるべく活動性が落ちないように足の筋力などを調べながら、歩行練習をしたり、歩いているときの姿勢など体の動きを整えたりしています。

診療で心がけていることはありますか?

篠田瑞生院長 千川篠田整形外科4

ご希望を把握して、患者さんの負担にならない治療をするよう心がけています。私は脊椎疾患を専門に、病院で数多く手術をしてきましたので、その経験から「この患者さんは手術をしたほうが早く治るのにな」と思うこともあります。そういう場合も、患者さんの様子を見て、ご希望をくみ取りながらお話するようにしています。基本的に、腰痛などはすぐ手術しないと命に関わるものではないので、やはり手術はしたくない方が多いんです。「他院で手術と言われたんですが、どうでしょう」と、できれば手術を回避したくていらした方には「理学療法はやってみたことがありますか。ないのならやってみましょうか」とできることをお示ししながら、治療してみる。少しでも症状が改善すれば、それでいいという方もいらっしゃいますしね。どうしても改善しなければ、手術を提案しますが、決してこちらから無理強いはしません。

若い時から骨の検診を

早稲田大学入学後に、医師へと方向転換なさったんですね。

篠田瑞生院長 千川篠田整形外科5

絵を描くことが好きでしたし、兄が土木関係に進んだこともあり、建築科に入学しました。そうしたら思い描いていたのとはやや違って、どうしようかと思っていた時、友人が医学部を受けるというんですね。母方の祖父が開業医だったこともあり、彼と一緒に受験して、この道に進みました。今は医学部へ行くのは秀才ということになっていますが、当時はちょっと違っていたような気がします。生きて動く人間を相手にするわけですから、頭だけでは割り切れないところがたくさんある。頭脳だけではいい医師になれないと思うことが多々ありました。今は医師になって良かったと思っています。

こちらはとてもモダンな建物ですね。建築家志望だった先生の意向も反映されているのですか?

この建物は芸大の建築科を出た友人の力を借りて一緒に作りました。もともと大工仕事が好きでして、今も病院の雨漏りする所を直したり、棚を作ったりもしています。道具にも凝っているんですよ。頻繁に手術をしていた頃は、既製品より小さいものを作ってもらうなど、手術道具もいろいろあつらえていましたね。手術のうまい先生はみんなご自分の道具を持っているものなんです。メスが切れるかどうかは、その病院が手術に力を入れているかどうかの指標にもなりますね。

今後の抱負をお聞かせください。

今後、さらにリハビリに注力するために、今は事務室の2階スペースもリハビリ用にと考えています。訪問リハビリもますます需要が増えるでしょうね。当院は、豊島区の中でも訪問リハビリを早くから始めました。コスト的には大変ですが、使命だと思っています。長年の患者さんがご高齢になり、来院できなくなって訪問リハビリに切り替えたりなさると、寂しいこともありますね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

篠田瑞生院長 千川篠田整形外科6

若くとも骨粗しょう症になる方もいらっしゃいます。ぜひ早いうちから骨の検診を受けてご自身の骨年齢を知ってください。保険が適用され、費用も抑えられます。骨密度に加え、骨代謝マーカーなどもきちっと調べ「骨粗しょう症になりやすいですよ。こういうことに注意してください」「今のところは大丈夫ですよ」というお話もできます。備えあれば憂いなしです。

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