末野 利治 院長の独自取材記事
長崎眼科
(豊島区/東長崎駅)
最終更新日:2024/08/21

西武池袋線東長崎駅北口より徒歩1分。風情ある町並みが残る通りの一角にある「長崎眼科」は、開業以来60年以上にわたり地域住民の目の健康を守り続けてきた存在。2020年6月に建物を改築し、生まれ変わった。車いすでもそのまま診察が受けられるようバリアフリー仕様になり、院内は明るく清潔感があふれている。また、患者を待たせないためにスタッフが常に気を配るなど徹底した配慮も特徴だ。2020年に院長に就任した末野利治先生は、26年以上にわたり大学病院で緑内障を中心に幅広い目の病気について診察・手術の研鑽を積んできた人物。きめ細かく、専門性の高い診療技術を持つだけではなく、物腰がやわらかく何でも相談できる人柄も魅力の末野院長に、幅広く話を聞いた。
(再取材日2024年6月14日)
半世紀以上住民の「目」を守り続けるクリニック
こちらのクリニックは長い歴史をお持ちだそうですね。

私の伯母である前院長の末野三八子先生が開院したのが1961年ですから、半世紀以上ですね。2020年から私が後を引き継ぎ院長になり、同年6月にクリニックを改築して明るくきれいな空間に生まれ変わりました。三八子先生も90歳を超えましたが現役で診察しています。穏やかで優しい人柄は子どもたちからも人気があるので、三八子先生が小児眼科を、私が成人の患者さんを診ることが多いですね。この地域は自分が育った地域ですし、ここには小さい頃よく通った記憶もありますので、私にとってもなじみのあるクリニックです。患者さんの中には数十年来の方も少なくないですし、親子4世代でかかりつけにしていただいている方もいらっしゃいます。私が大学病院で診察をしていた頃から継続して、今では片道約2時間かけて通ってくださる方もいて医師として身の引き締まる思いです。
大学病院で26年以上勤務されてからこちらに来られたそうですね。
母校の東海大学の病院などに勤務した後、2013年の4月に副院長として当クリニックに来ました。大学院を修了してからは、渡米し研究員としてハーバード大学で学びました。そして、母校に戻りまして東海大学医学部講師や東海大学医学部付属大磯病院眼科医長、同大学医学部付属病院病棟医長、同大学医学部付属東京病院医長と経てきました。大学病院では緑内障に関する専門的な診療を受け持っていましたが、眼瞼から角膜、結膜、網膜、視神経などまで、眼科に関する診断や治療、手術も幅広く担当し経験を積みました。そんな中で後進の育成や研究など、大学病院でやれることは一段落したと感じるようになり、小児眼科を得意とする三八子先生と私の得意とする成人眼科診療で今まで以上に幅広い専門性を持ちつつ、地域に根差した医療に取り組んでいきたいと考え、開業医としてのスタートを切りました。
クリニックの特色を教えてください。

設備に関しては、緑内障関連では診療の際に必須となる眼圧計やレーザー光凝固装置はもちろん、眼底の状態を調べる眼底カメラや、目の断層を画像化して視神経や網膜の厚みを診ることができるOCT、視野の異常を調べる視野計を導入し早期発見に注力しています。緑内障などの手術が必要な場合は、練馬総合病院や日本大学医学部附属板橋病院、東京都立大塚病院などの近隣の大規模病院との連携も密にして体制を整えています。また眼精疲労から、白内障、加齢黄斑変性まで、幅広い疾患の診療を行っています。そして、これは診療内容ではないのですが、医師やスタッフ含めみんな、明るいことが当クリニックの何よりの特色だと考えています。クリニックにいらっしゃる患者さんは、症状の不快さだけではなく不安や緊張も抱えています。ですから、患者さんに安心してもらえるような雰囲気づくりを心がけています。
本人が気づきにくい目の疾患。定期的な検査が重要
緑内障の症状や原因、治療方法などを教えてください。

緑内障は視野が欠けたり狭くなったりする病気です。眼圧の上昇により視神経や網膜が損傷を受けることが原因の一つだといわれています。残念ながら現代の医療では完治が難しく、失われた視野を回復させることはできませんので、眼圧を下げて症状の進行を抑えることが主な治療の目的です。代表的な治療方法は点眼治療や手術で、レーザーによる治療も導入され幅広い選択肢の中から患者さんに適した治療を選べるようになりました。また診断ではこれまで眼圧検査が基本でしたが、視神経そのものを調べられる技術が発達し初期症状を発見しやすくなりました。緑内障は自覚症状が出にくい疾患です。糖尿病網膜症などもそうですが、目の疾患はある程度の年齢になれば誰でも罹患リスクがありますので、定期的に目の検査を受けることが大切なんです。
子どもの眼科診療についてもお聞かせください。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、ご自宅でデジタル機器の画面を見ている時間が増えたことも影響してか、お子さんの近視がとても増加したと感じています。また、眼科全体でも近視の治療に対する意識が高まっていて、私も注目しています。お子さんの目のためには、太陽光のある屋外で過ごすことも大事といわれていますので、意識してみてください。また、豊島区では3歳児健診の際に、レフラクトメータを導入しており、屈折状態や斜視などを簡単に検査できますので、ぜひそうした機会も活用していただきたいですね。
診療において心がけていることは?

患者さんの話をよく聞くことです。診療の中で患者さんの生活習慣や背景を知ることはとても重要ですから、何げない雑談も大切です。また、患者さん自身に治したいという意識がなくては症状改善は望めませんので、診察時にはOCTなどの目の状態をその場で見られる機器などを駆使し、画像を使って具体的に説明します。これによって患者さんが自身の目のケアの必要性に気づいてほしいと思っているのです。特に眼精疲労からくるドライアイは、デジタル機器が普及し使用時間も増加している影響か、患者さんが増えています。生活スタイルを変えるのは難しいことも多いですから、できるだけ「目を休ませる」ケアを心がけていただきたいですね。
地域住民が気軽に相談できる身近な存在
医師をめざしたきっかけを教えてください。

やはり当クリニックと三八子先生の影響が大きいですね。何かあれば通っていましたし、小さい頃は視力検査表の記号やひらがなをすべて覚えていました。三八子先生の人柄も尊敬していましたので、自然と眼科の医師になりたいと思うようになりました。しかし実は医師をめざそうと決めたのは遅かったんです。高校生の頃は海外に憧れアメリカ留学もし、外交官や商社マンなど、海外を飛び回るような職業に就きたいとも思ったのです。でも、帰国して改めて自分の進路について考えた時、やはり病気を治療し、人の生活の役に立つこともできる医師という職業を魅力的に感じ、最終的には三八子先生の姿が決定打となり医師の道を選びました。眼科の医師となり数十年がたちますが天職だと感じています。
地元医師会の活動にも携わり、地域の医療連携を積極的に行っているそうですね。
はい。地元医師会の関わりは多いんですよ。近隣の他科の先生方とも親しくさせていただき、日頃から患者さんを紹介し合っています。例えば、眼底写真を撮ってみたら出血していて高血圧や糖尿病などの疑いがあるなど、目の症状から全身疾患を疑うケースは案外多いのです。逆に内科疾患の合併症で眼科での経過観察が必要な場合もあります。そんな時に、私たちが医師会などを通じて築いた顔の見える関係が良好な医療連携につながり、患者さんにとっても良い影響を及ぼせると考えています。
読者へメッセージをお願いします。

現代は情報を手軽に得られる時代ですが、生涯通えるかかりつけ医を見つけるには実際に足を運び判断することが重要です。それぞれの先生方は患者さんのためを思い医療を提供していますが、それが万人に通ずるとは限りません。気になるクリニックがあれば赴き、先生と話してみて自分に合うクリニックを決めるのが良いでしょう。当クリニックは一人ひとりの患者さんが治療だけではなく疑問を解消できるように、何でも聞けて相談できるような雰囲気づくりに努めています。相談のみでもお気軽にお越しください。