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高崎 亮 院長の独自取材記事

豊島長崎クリニック

(豊島区/東長崎駅)

最終更新日:2021/11/29

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西武池袋線の東長崎駅から徒歩で約5分の住宅街に位置する「豊島長崎クリニック」。高崎亮院長は、2010年の開業以来、内科・心療内科・精神科・整形外科を診療するとともに、患者の自宅に出向いて行う訪問診療にも力を注いできた。住み慣れた自宅で安心して治療が受けられるよう、24時間365日の相談・診療体制を整え、行政や地域との連携や、訪問リハビリテーション、在宅医療相談などに尽力。認知症の診療にも力を入れ、認知症検診の導入も予定しているという。「患者さんのポジティブな面を引き出しながら、元気な笑顔を増やしていきたいと思います」と優しく語る高崎院長に、診療の特徴や今後の展望について聞いた。

(取材日2021年6月18日)

在宅医療は24時間365日体制

2010年に開業され、外来診療、訪問診療をされているのですね。割合を教えてください。

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当院は、外来診療は内科・心療内科・精神科・整形外科に対応しています。患者さんの自宅に出向いて行う訪問診療にも力を入れており、現在では外来診療3割、訪問診療7割といったところです。認知症の治療も行っているため、外来診療のうち7割くらいの患者さんが、認知症鑑別で来院されています。それ以外は、風邪や、糖尿病、高血圧などの生活習慣病の患者さんが多いですね。生活習慣病は認知症のリスクと結びついているのに加え、認知症は、誰でもかかり得る「一般的な疾患」です。まだ認知症の症状が出ていない患者さんに対しても、あらかじめ理解を深めていただくよう、必要に応じてお話しさせていただくこともあります。訪問診療は、通院や入院が困難な方、自宅療養を希望する患者さんに向け、住み慣れたご自宅での治療を提供しています。

診療は、どのような体制で行われているのですか?

当院では、医師、看護師、理学療法士、ソーシャルワーカー、管理栄養士など、非常勤も含め約25人のスタッフで対応しています。2021年4月より、精神科医師で内科の知識も併せ持つ女性医師が常勤で加わりました。外来診療と訪問診療の両方を担当し、身体疾患に伴うさまざまな心理的問題に、チーム医療の中で解決に向けて取り組んでいます。認知症は、精神科や神経科で鑑別、診断する疾患ですが、内科的な知識もあるためお薬の処方の内容や処方の仕方、飲み忘れや多用なども含めてフォローさせていただくことが可能になりました。さらに、認知症の場合は、症状はもちろんのこと、患者さんの家庭環境や内科的な体調の変化にも気を配る必要があります。その点においても、より多くの患者さんのニーズに即した医療を提供できる体制が整いました。

在宅医療は24時間365日体制なのですね。

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訪問診療を行っている患者さんには緊急連絡先をお伝えし、緊急の場合は24時間体制で連絡をお受けしています。医師または看護師が状況を判断し、必要に応じて薬の処方、往診、他医療機関への受診や入院手配を行います。スタッフの負担は大きいですが、それぞれが、医療に対する強い志をもち、患者さんの笑顔に接することをエネルギーに、力を合わせて対応させていただいています。また、2015年に東京都の指定を受け「認知症疾患医療センター」を開設しました。認知症の診断、ご家族や介護者への指導、医療従事者への知識の普及や地域連携の推進などを柱に、地域全体でネットワークづくりを進めています。

相談しやすい雰囲気をつくり、患者からの言葉を待つ

患者さんと接するときに心がけていることを教えてください。

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高圧的にならず、なるべく相談しやすい雰囲気をつくり、患者さんからの言葉を待つようにしています。患者さんが何をしたいのか、何を望んでいるのか。ネガティブな面よりもポジティブな面に注目してそれを引き出し、治療に前向きに臨んでいただけるようサポートしています。また、精神症状はエビデンスだけでは解決につながらないことも少なくありません。患者さんが語る「病気になった理由」「経緯」「症状」「病気についてどのように考えているか」などをベースに患者さんが抱える問題を全人的に把握し治療法を考える「Narrative based medicine」の概念を大切に、患者さんとの対話を通して良い関係性をつくっていきたいと思っています。

患者さんとの印象的なエピソードがあれば、教えてください。

訪問診療で患者さんのお宅に伺うと、患者さんがこれまで生きてきた「歴史」のようなものにふれられることがあります。その方の「核」となるようなものを探し、話題をふるようにしているのですが、ある患者さんは、以前折り紙がとても好きだったことがわかり、折り紙の話をしたり、ご家族で折り紙の動画を見たりしているうちにご自身で折り紙を始め、素晴らしい作品を作って当院に贈ってくださいました。デザイナーだった患者さんは、ご自身が描いた絵を見せてくださったり、花が好きな患者さんは、道端に咲いていた花を摘んで持ってきてくださったり。その方が好きなものを思い出し、向き合うことで、日々の生活に対するモチベーションが向上し、気持ちも明るくなっていくのではないかと思います。患者さんのそのような姿が見られたらとてもうれしいですし、励みになりますね。

訪問診療では、患者さんだけではなくご家族への対応も大切ですね。

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そうですね。患者さんとご家族の間に医療のプロである私たち第三者が入ることで、疾患の進行具合を客観的に注視していくことができますし、お薬をきちんと飲んでいるかどうかなどの確認もできます。一つ屋根の下に住むご家族だからこそもめてしまうこともあると思いますが、必要に応じてケアマネジャー、ソーシャルワーカーを交えてさまざまな相談に応じ、患者さんにとって何がベストかを探っていきます。その時々の患者さんに必要な医療やサポートを的確に提供することが、何よりも大切であると考えています。また、最近はお一人暮らしの高齢の方も増えてきています。お一人暮らしの方の場合は、一緒に暮らすご家族の方がいらっしゃらないため、ふと気づくと症状が進んでいることもあります。入院に至る前に適切なサポートができるのも、当院の強みだと思います。

認知症の早期発見、早期予防のための「認知症検診」

認知症検診を始められると聞きました。

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豊島区では2021年12月から、70歳、75歳の希望する方に対して認知症検診を始める予定です。該当者には区から送られた「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」を試していただき、気になるような場合、まずはかかりつけ医に診てもらうことができます。当院は、申し上げたように認知症疾患医療センターであり、詳しい鑑別を行う医療機関として機能し、かかりつけ医と連携を図りながら支援に結びつけていきます。高齢化が進む中、認知症は、誰もがかかり得る身近な疾患となりつつあります。早期発見、早期予防のためにもこれから推し進めていきたいと思います。

認知症予防は介護予防にもつながりますね。

そうですね。年を重ね、心身の活力が低下した状態をフレイルといいます。フレイルを予防するには、適切な食生活や運動のほか、社会参加や趣味活動など周りの人とのコミュニケーションが大切だといわれています。つまり、フレイルを予防することが認知症予防、介護予防につながると言えるでしょう。地域のかかりつけの医師が、このような視点をもって患者さんと接することができるような働きかけを行っていくことが大切だと考えています。

今後の展望について教えてください。

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これまでどおり、患者さんとご家族の希望に沿った予防医療や治療を提供できるクリニックでありたいですね。当院では、管理栄養士が中心となり、希望する患者さんが集まって工作を行ったり対話を楽しんだりする会を定期的に行っています。新型コロナウイルスの影響で開催は不定期ですが、このような場づくりを続けていきたいですし、地域のアクティビティーとして気軽に立ち寄り、物づくりやお化粧などの趣味を楽しめる「認知症カフェ」のような場も提供していきたいと思います。地域の訪問診療の拠点、認知症治療の拠点として、患者さんを治すだけでなく、元気になっていただける診療をめざしていきたいですね。

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