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土屋淳郎 院長の独自取材記事

土屋医院

(豊島区/北池袋駅)

最終更新日:2019/08/28

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「地域の方にとって、『気軽に相談できる街の仲間』のようなかかりつけ医でありたいです」と穏やかな口調ながら、情熱を込めて話す土屋医院の土屋淳郎院長。祖父母、父、妹と3世代5人が医師で全員が土屋医院で診療を行った経験があり、弟も同じビルの2階で歯科医院を開いているという仲のいい医療系一家だ。小学校3年生のときから、「父のような、信頼されるかかりつけ医になる」のが目標だったと話し、どんな病気でも正確な診断ができるようにと、放射線科の専門医になり経験を積んできた。在宅医療にも熱心で、日々、診察時間の合間を縫って患者宅やグループホームを訪問。またケアマネージャーなど他職種の人たちと連携できるシステムの構築にも積極的に取り組んでいる。院内はというと、待合室には大きな木の本棚があり、診察室の机も祖父母の代から使っている木製のもので、どこか懐かしく落ち着ける雰囲気だ。古き良きものと、新しき良きものを取り入れる土屋院長に、看取りや、多職種連携のシステムについて、そして土屋院長の父であり目標でもある前院長のことなどについて伺った。
(取材日2014年4月28日)

「気軽に相談できる街の仲間」のようなかかりつけ医でありたい

古くから地域で頼りにされている医院だと伺いました。

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私の父方の祖母が自宅の一角に開院したのが始まりです。その後、都立大塚病院に勤務していた祖父が引退して院長を継ぎ、その祖父が亡くなってからは、再度祖母が、続いて父が継ぎました。皮膚科医である妹が私よりも先にこちらで診療を始め、2012年に私が院長に就任しました。3世代で5人が関わったことになります。はっきりとは分からないのですが、70、80年前に開院したようですので、まずは100周年をめざしたいと思っています。この机も、祖父母の代から使っていたものです。だいぶがたが来ていますが、これからも大切にしていきたいですね。建物は1992年にビルに建て替えましたが、今もここに、私も妹も暮らしています。歯科医師になった弟もこのビルの2階で開院しています。

お父さまである先代の院長が、患者から慕われていたそうですね。

実は2012年の年末にがんで亡くなってしまったのですが、待合室にその父の写真を飾らせてもらっています。クリニックに遺影を置いておくのもよくないような気もするのですが、やはり長くやっていたので、患者さんに「先生がまったくいなくなってしまうのはさみしい」と言われました。写真に向かって話しかけたり、いつもお花を供えてくださったりする方もいらっしゃいます。とてもありがたいことだと思っています。

こちらの医院の特徴を教えてください。

0歳児から70、80代のお年寄りまでの地域の方々が来院されますし、看取りまでやっていますので、100歳を超える方も診ています。かかりつけ医として、通院が難しくなった方の在宅医療にも力を入れています。在宅医療は、父がかなり頑張っていましたので、それを引き継いで私もやっています。画像診断が専門の私が内科と小児科を、皮膚科が専門の、妹・知子医師が皮膚科と内科、小児科を診ています。どう割り振りをしているかというと、患者さんに「ご指名」される感じでしょうか(笑)。例えば、今日来た子どもは注射は私で、診察は妹がいいと言っていました。また女性の方では、妹が診察して、検査の結果説明などは私がすることもあります。内科は、風邪やインフルエンザ、腹痛などのほか、高血圧や糖尿病といった慢性疾患が多いです。皮膚科では、アトピー性皮膚炎や乳児湿疹などの一般皮膚科のほか、ニキビやシミ、シワなどでお悩みの方に、吸引して薄くした皮膚にマイルドな光を深部まで照射する光治療などを行う美容皮膚科を行っています。

患者と接するときに気を付けていることを教えてください。

きれいごとと思われてしまうかもしれないのですが、医療をビジネスとして捉えたくないと考えています。「気軽に相談できる街の仲間」のような存在でありたいのです。私のことを子どもの頃から知っている患者さんからは「先生」ではなく「あつろうくん」と呼ばれます。このような関係でいられることがとてもありがたいと思うのです。地域のみなさんから「家族の一員」と思ってもらえたらうれしいですね。父はかねがね、「患者さん自身より、データばかりを見る風潮になってしまった。かかりつけ医は、自分の家族を診るような気持ちで、その方の生活全般を診なければならない」と言っていました。例えば、診察中の雑談や、在宅医療の場合は家の中の様子から、病気の原因や症状の改善につながるポイントが見つかることもあります。距離感が近いからこそ原因が見つけられることが多々あるのです。ガイドラインに添う的確な医療と、患者さんと家族のような距離感を維持させていく医療、そのさじ加減が重要だと思っています。

患者さんとのコミュニケーションといえば、スタッフさんの元気な挨拶も印象的です。

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スタッフはみんな元気で笑顔なんです。父が、そうしようと言っていたのですが、スタッフのみんなが、医院の雰囲気を作ってくれています。長く勤めてくれている人が多くて、本当に頼りになりますね。必然的に患者さんとの関係も長いので、その方の病気に合った対応をしてくれています。私が院長に就任してからも、みんなで「自律的に」医院を動かしていこう、自らアイディアを出していこうと共有していたのですが、実際にそのように動いてくれていて助かっています。医院全体で患者さんに向き合おうという今の雰囲気は、これからも大事にしていきたいですね。

多職種連携システムの構築に取り組み、自宅での看取りを支える

さきほどおっしゃった在宅医療について詳しく教えていただけますか。

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ご家族やグループホームの職員がケアしながら、医師や看護師が訪問して普段の健康管理を行い、ゆくゆくはご自分のベッドで息を引き取るのを見守るのです。看護師も医師も24時間対応し、もし夜中に呼ばれても訪問できる体制になっています。一般的には2週間に1回程度、具合が悪くなると週1回から3回ほど伺い、問診して、血圧を計り、聴診器を当て、時には採血することもあります。レントゲンは撮れないですが、超音波検査や心電図検査もできます。現在は、約40人受け持っていて、午前と午後の診療の合間にほぼ毎日、どこかのお宅に伺っています。

印象に残っている患者さんのエピソードを教えてください。

数年前になりますが、80歳くらいの姪ごさんが、100歳近いおばさまをご自宅でずっと介護していらしたんですね。その姪ごさんのご姉妹がいつも交代でその家を訪れておばさまをケアし、おばさまの最期のときもみんなで一緒に長い時間を過ごしてお別れをしていらっしゃいました。いいお別れができたと言ってもらえました。そして昨年、その姪ごさんも体調を崩され、お家で最期を過ごしたいと希望されました。妹の知子医師と二人で診させていただき、つい最近、亡くなられました。介護していた方が、自分も同じような最期を過ごしたいと希望され、そのとおりに看取れたということで、こちらも印象深いです。家族だけで最期まで支えきるというのはとても大変なことなので、いかに家族と医療、介護スタッフが連携しながらケアしていくかというのが大きなテーマですね。

多職種連携を積極的に進めていらっしゃると伺いました。

在宅医療におけるIT(ICT)利用を検討する会議を立ち上げ、豊島区医師会の地域医療部委員会の下で、これを行っています。セキュリティーのしっかりした医療介護専用のSNSを用いた多職種連携のシステムづくりに取り組んでいて、在宅医療を行う医師や、このシステムをつくっているメーカーの方、訪問看護師、薬剤師、歯科医師らと意見を出し合いながら進めています。昨年から当医院で使い始めていて、実践しつつ改善しているところです。

具体的にご説明いただけますか。

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医師や看護師、歯科医師、薬剤師、病院担当医、ケアマネ、MSW、そして介護に携わる職種や施設の職員らが患者さんの症状について、やりとりできるシステムです。もちろん、患者さんも加わることができます。非公開になっているので、招待された参加メンバーにしかやりとりは見られません。例えば、患者さんが皮膚にトラブルが起きた場合、患部を撮影した画像を送ると、皮膚科医が診断し、それに基づいて看護師がケアをして症状がよくなったこともあります。ほかにも、入院させたいとき、病院に一軒一軒電話して探すのは大変ですが、このシステムを使えば、登録している病院にいっぺんに問い合わせることができるのです。患者さんを取り巻くスタッフと情報を共有していければ、医師と患者さんが陥りがちな「上下の関係」ではなく、対等の関係になれるのではないでしょうか。そうすると、患者さんが気軽に相談できるようになって患者さんのQOLを高められるだろうと思います。また、多職種や多施設が連携するネットワークを構築できれば、地域包括ケアシステムの基盤ができるのではないかと期待しています。

オールマイティに正確な診断を下せるように、放射線科を選択

先生はなぜ医師をめざされたのでしょうか。

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親族に医師が多く、また父や祖父母の仕事ぶりに影響されたということもあります。私が子どもの頃、父が夜中に往診に行ったことに全然気づかないまま翌朝起きると、母から「あなたが寝ている間、お父さんは往診に行っていたのよ。医師というのは、地域の方の役に立つ仕事なのよ」とよく聞かされました。大変だなとは思いましたが、人に信頼される仕事というのはいいものだなと子ども心に感じました。それが小学校3年生くらいで、その頃から「父のようなかかりつけ医になりたい」と思っていました。大学の先輩でもあり、医局の先輩でもある父のことは今でも尊敬していますし、目標でもあります。父は医師としての心構えについても、よく話してくれました。なかなかすべてを実践するまでには至っていないのですが、父の後を一生懸命追っているつもりです。

先生のご専門は何科なのでしょうか。

放射線科の画像診断専門医です。かかりつけ医をめざしていた私にとっての「かかりつけ医像」は、風邪などの一般的な病気の治療ができて、かつ、ほかの病気の場合は適切に診断して専門医に送るということでした。ですから、どんな病気でもオールマイティに診断できるようにしたいと思ったのです。放射線科では、CTやMRIといった画像から診断する場合は、どの部位でも、どの病気でも、診断できるように相当な経験を積みますし、また、IVRや放射線治療を通して、末期がん患者を受け持つこともあります。実際、その経験は今の診療に役立っています。例えば、CTやMRI検査を受けて、その画像を私のところに持って来てもらえれば、その日に診断してあげられます。検査を受けた機関で診断される前に、病気を見つけたということもあります。悪いところがぱっと目に飛び込んできますが、特別、自分がすごいということではなく、放射線科医ならみんなそういう経験があると思いますよ。父の肝臓がんも最初に私が見つけました。そして血管造影や超音波を用いた治療をしたり、たまった腹水を抜いたりしたことも、すべて放射線科での経験がもとになっています。

お忙しい毎日だと思いますが、休日の過ごし方を教えてください。

勉強会や学会、書類書きをしていると意外とあっという間に休日が終わってしまうんですよね。ゴルフは好きですが、年に3、4回くらいしか行けないので、趣味と言ってっていいのかわかりませんね。テニスは学生時代にやっていましたので、ぜひやりたいんですけれど、なかなか暇がなくてできていません。ほかには、サッカー観戦が好きで、テレビでよく見ていますし、スタジアムに行って見ることもあります。

今後の展開をお聞かせください。

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患者さんの住み慣れた地域で、心地よく健康に過ごすお手伝いができればよいと思っています。それは外来でも訪問診療でも一緒です。そのために、医療に携わる者が多い土屋家のメリットを生かして、各分野連携した医療を患者さんに提供できればと考えています。弟は歯科、妹は皮膚科をしており、看護師の妻は訪問看護の経験やアロマテラピー学会等の資格を持ち、さらにPTとして訪問リハを行っている従兄は鍼灸師の資格も持っています。各自の得意分野を統合すれば、患者さん一人ひとりの気持ちを前向きにすることまでできるのではないかと思っています。たとえばアロマテラピーは認知症に効き目があるといわれますが、その他にも、更年期障害や気持ちの落ち込みなどのさまざまな症状に対して、今までの内科的治療と組み合わせることで一層の効果が期待できます。鍼灸で肩こりや腰の痛みを軽減することや、歯並びを良くすることなども同様です。また、美容に対する取り組みも考えています。認知症のおばあちゃんでも、爪にマニキュアをきれいに塗ってあげるとすごく喜んで生き生きした表情になり、お化粧やヘアスタイルを整えると、寝たきりだった女性が起きて活動するようになり、よりよい生活を送れるようになったということもあります。こうした、従来の医療の概念を超えて、患者さんの気持ちを前向きにすることができるなら、積極的に取り入れていきたいと考えています。

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