野城 康成 理事長の独自取材記事
野城歯科西池袋クリニック
(豊島区/要町駅)
最終更新日:2025/09/30
東京メトロ有楽町線要町駅から徒歩3分の「野城歯科西池袋クリニック」。開業以来多様なニーズに対応しながら、幅広い世代の口腔内の健康を支え続けてきた。理事長の野城康成先生は、歯科医師をめざす前は遺伝子研究をしていたという異色の経歴で、その知識から、口腔内トラブルの原因を口の中だけではなく体全体のつながりから探るほか、睡眠時無呼吸症候群と口腔の関係にも造詣が深い。豊富な臨床経験の一方で、積極的に新しい知識を吸収するために、現在も週2日は総合病院の口腔外科医長として、他科と連携し、病棟や外来診療を続けている。その学び続ける姿勢は、まさにプロフェッショナルだ。専門性の高さを強みに、最良の歯科医療を提供することをめざす野城理事長に、歯科と医科で連携して治療に取り組むことの大切さなどについて聞いた。
(取材日2025年6月24日)
歯科医療の進歩に対応するために、積極的に学び続ける
前回の2016年の取材から9年たちますが、この間に変化したことなどはありますか?

以前お話しした「正直・真摯な診療」「口腔と全身の関連を考慮」「良質な先進医療の導入」「医療知識・技術向上の追求」という4つの理念を柱として日々の治療に取り組んでいることは変わりません。この理念を日々、バージョンアップさせるために、1995年の開業以来、週2日は別の病院で診療を行っており、新しい知識を得るように努めています。口腔外科領域の疾患は医科の知識も求められ、また、難しい疾患に常に触れていないと感覚が鈍り、オペの技術も落ちていきます。自ら積極的に勉強していく姿勢がなければ、変化に対応していくことはできません。プロである以上、困っている患者さんに対し、その疾患が「わからない」という回答は恥ずかしいと考えています。歯科で扱う疾患、とりわけ口腔外科領域の疾患はその原因が口腔以外にあるケースもあります。その場合、積極的に他科連携を実施しております。
口腔外科ではどのような疾患を対象にしているのですか?
皆さんがよくご存じの親知らずや顎関節症をはじめ、腫瘍や外傷、口腔乾燥症、三叉神経痛、帯状疱疹といったようなさまざまな疾患が対象になります。このような疾患には血液検査やCTやMRIなどの画像診断、病理や細胞診といった知識が必要になります。同じ病名でもその状態によって、当然アプローチが変わってくるわけですが、新しい知識を積極的に学んでおかないと、患者さんの訴えに対してもわからないままで終わってしまったり、間違った治療を行ってしまう結果につながってしまいます。しかしながら、クリニック単体でそれをすべてこなすことは限界があります。そのため私は、その原因や入院加療が必要な場合、他科と連携することを日常としています。
先生は内科や外科のカルテも読まれると伺っています。

もともとは大学院で遺伝子について学んでいました。しかし、臨床をしたいという思いが芽生え、24歳で進路を変更し、日本歯科大学に編入しました。歯科医師になる以前の研究者として得た医療知識や、大学卒業後に6年半勤務した国立国際医療研究センターでの臨床経験、その後の大学付属病院の非常勤講師や地方総合病院の歯科口腔外科の立ち上げによる長年の医科との連携診療の経験から、口腔内のトラブルは体全体とつながっているという視点が生まれ現在に至っています。全身疾患との関係は当然ですが、体全体のバランスも大切で、咬合と全身バランスは大きく関連しています。私は患者さんがユニットに横になる姿を見て、体のゆがみの有無を確認します。全身の筋肉はつながっているため、噛み合わせが悪いと頭痛や肩凝りにつながるのです。当院では、患者さんのそのような状態についても一歩踏み込んで指摘し、改善に向けたアドバイスを差し上げています。
睡眠時無呼吸症候群に専門的に対応
睡眠時無呼吸症候群について教えてください。

睡眠時無呼吸症候群は、この分野の専門家が少なく、医療関係者も含めまだ十分に認識されていない疾患です。私は睡眠歯科の専門家として、この疾患に取り組んでいます。歯ぎしりや食いしばりの症状が強い方は、睡眠時無呼吸症候群が重症化する傾向にあることがわかっており、皆さんが考えている以上にさまざまな全身疾患と関連している恐ろしい疾患です。人間にとって睡眠はとても大切で、当然、睡眠に問題があると、日中のパフォーマンスの低下はもちろん、脳への影響も大きく、場合によっては将来的にパーキンソン病などの脳疾患と関係する可能性も徐々に明らかになってきています。この疾患は成人してからでは根本治療が難しく、対症療法しかできないため、早期の対処が重要です。
子どもの頃から治療に取り組むことが大切なのですね。

4~6歳頃からの対処は必要で、幼少期からアプローチをすることで、睡眠時無呼吸の症状の改善や将来的な罹患リスクの軽減が期待できます。また、現代の子どもたちに多く見られる、矯正のための抜歯により顎が小さくなってしまうことも、睡眠時無呼吸症候群の発症リスクを高める可能性があります。顎は舌の入れ物であり、顎が小さくなると舌の位置が下がり、気道が狭くなってしまうのです。子どものいびきは、睡眠時無呼吸のサインである可能性があるため、ぜひご相談ください。早い段階からお子さんの顎の成長を促すことが、治療に有用だと考えています。
インプラント治療30年の歴史
インプラント治療について、すべての症例に対応しているとお聞きしました。

現在のインプラント治療は、昔のように口腔外科出身ではなくても、デジタル機器の発達に伴い、一般的なインプラント治療はできるようになりました。簡単に言えば、もはやインプラント治療は特別なものではなく、治療の選択肢の一つに過ぎないということです。ただ、そこにはCT解析でもわからないイレギュラーが存在しますし、埋入の位置や造骨の仕方によっても自然な使い心地や日常のメンテナンスのしやすさ、審美的な状態も変わってきてしまいます。そのような状況に対応していくためには、しっかりした知識やオペの経験が重要であると思います。デジタル技術は便利で必要なツールですが、それに頼りすぎる危険性も認識していかなければならないと思います。当クリニックでは、インプラント埋入禁忌の全身疾患や特別な問題がある場合は別ですが、骨を増やさなくてはいけないなど、すべての症例に対応しています。
今後の展望をお聞かせください。
これからの歯科医療は、虫歯や歯周病など、その疾患だけを診て治療する単一的な診療でなく、さまざまな角度から、何故そのような状況が繰り返されるのか、それを悪化させている全身的な疾患が隠れていないのか、また、患者さんの全身状態や取り巻く環境などを考慮した、多角的な知識に基づくアプローチへ変わっていくと思いますし、変化してほしいと願っています。そのため、院内にとどまるのではなく、プロフェッショナルである自分の成長のためにも、これからも外へ出て、積極的に先進の医療知識や技術を取り入れ続けていきたいと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

治療しても良くならないなど、診療に対してご不満や心配がある場合、気軽に相談にいらしてほしいと思います。思わぬ疾患が隠れている場合もあります。また、お子さんのいびきなども、睡眠時無呼吸症候群のサインの可能性がありますので、見逃さず早期に来院いただきたいですね。放っておくと学校の成績にも影響するといわれているため注意が必要です。この紙面で語らせていただいたことは、これまで長きにわたって実行し続けてきました。これからも変わらずプライドを持って診療にあたっていけるように努力していきたいと思います。未来を見据えた診療、患者さんの10年・20年先を考え、「受けて良かった」と思っていただけるような治療を提供できるよう、幅広い視点で治療と学びを重ねてまいります。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/45万円、歯周組織再生療法/1万1000~5万6000円、骨造成/5万円~
※個々の疾患の状況により、外科処置及び高度な技術を要する場合は別途費用がかかります。

