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山根 明子 院長の独自取材記事

池袋大久保医院

(豊島区/池袋駅)

最終更新日:2021/10/12

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池袋駅北口の出口から徒歩すぐの「池袋大久保医院」は、1972年の開院から半世紀近くにわたって地域住民の健康を見守り続けてきた。父とおじが築いてきた同院を2011年に継承し、生活習慣病の治療や予防に熱心に取り組む山根明子院長は、快活で親しみやすい人柄が魅力だ。2019年には院内のリニューアルを行い、バリアフリーや女性用トイレの増設など患者が受診しやすい環境を整備。「女性同士だからこそ相談できることもある」との考えから開設した、女性のための動悸専門の診療も好評だ。町のクリニックだからこそできる、一人ひとりに寄り添ったきめ細かな診療を大切にする山根院長に話を聞いた。

(取材日2021年6月9日)

患者の不安に向き合い、丁寧に寄り添う町のクリニック

ここ最近で患者層など変化はありましたか?

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新型コロナウイルス感染症流行の影響もあって、不安を抱えている人がとても増えていると感じています。昨年6月頃がそのピークで、その時期は動悸などの相談で来院したものの、診察をしてみると実はメンタルヘルスの不調が原因のケースが圧倒的に多かったのです。昨年と比べると最近は、皆さん不安が和らいできたのか、コロナ禍での生活に慣れてしまったのか、落ち着いてきた印象がありますね。

こちらのクリニックでは、女性を対象とした動悸の診療も行っているそうですね。

循環器疾患は基本的には、男性に多い疾患とされていますが、実は女性でも動悸に悩んでいる方も多いなという実感がありました。そこで、「女性も診ていますよ」ということをホームページでお知らせしてみたところ、反響が大きかったのです。心臓を診るということは、心電図を取ったり音を聞いたりするのに胸を見せなくてはいけないですよね。医師側からすると別に何でもないことなのですが、女性の患者さんの中にはそれがネックになって受診を躊躇する方も多いようですが、女性の医師ということで安心感につながっていけたのかと思います。女性の動悸の原因は、心臓の問題ではなくホルモンやストレスが影響している場合もあります。一般的な循環器の診療では、ご本人が納得いくような説明を受けられない場合もあるようですが、当院ではそのような女性の気持ちを受け止めつつ、医学的にしっかりと検査をして、その結果をわかりやすくお伝えしたいと考えています。

不安なことを気軽に相談できる場所があるというのは、患者さんにとっても心強いことですね。

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それが町のクリニックの役割だと思っています。例えば、心臓は今日検査をして大丈夫だったとしても、次の日に心臓発作が起こる可能性はゼロではありません。次に起こる病気は予想がつかないので、「絶対に大丈夫」という言葉を医師は使わないのです。ところが、その「絶対」という言葉を言ってほしくて、いろいろな病院を受診し続けている人も多くいます。そのような方に対しては、じっくりと話を聞いて、丁寧に説明をした上で、「今は大丈夫ですよ」という言葉で納得していただく必要もあります。それは、大きな病院ではなかなか難しいことですから、私たちのような町のクリニックの出番かなと思います。

一人ひとりの生活に合わせて治療をカスタマイズ

生活習慣病の予防や治療を専門としているクリニックだと伺いました。

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私は循環器内科の医師として、長年心臓の診療にあたり、生活習慣病の予防と治療の重要性を身にしみて感じてきました。ところが最近は、長引くコロナ禍の影響で、健康診断の結果が悪くなっている方が増えているのです。この1年で体重が10キロ近くも増えてしまって、さまざまな数値が悪くなっているのに、そのまま放置してしまっている方も多いのです。例えば、今は健康診断後の保健指導といって、健診後のフォローに力を入れている企業も増えていて、血圧が高いのを何年も放置していたけれど、会社から言われて渋々来院する人もいます。仕事が忙しいとついつい自分の健康を後回しにしてしまいますが、そうすると将来的に大きな病気になって働けなくなってしまったりすることもありますから、後回しにすべきではないのです。

健康診断の結果で引っかかった患者さんを診察する際、心がけていることはありますか?

健康診断の結果が悪かった方は、「病院に行くと悪いところを指摘されて怒られるから嫌だ」と思う方もいると思いますが、私たち医師は患者さんが健康的で幸せな人生を送ることを一番に願っています。この地域は自営業の方や中小企業にお勤めの方も多く、簡単に仕事を休めない方も多いので、一番重要な部分に絞ってできるだけ短い時間で効率的に治療が進められる方法を探したいと思います。「この治療だけは絶対に外さない方がいいですよ」、「もし忙しいなら別の方法もありますよ」ということをざっくばらんに話しながら、その人その人に合った方法を提案していくのが理想です。

先生は大学病院などで勤務医もされていましたが、開業医となってみて違いを感じることはありますか?

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大学病院に勤めていた頃は、予約をされている患者さんが決められた時間に時間をつくって来院していました。そういった方は治療に対する意識も高く、それはそれで素晴らしいことだと思います。一方、町のクリニックというのは、さまざまな状況の方が来院されるため、一人ひとりに合った向き合い方や言葉がけがとても大切になります。治療についても、「こうした方がいいですよ」というアドバイスはしますが、患者さんがそれは嫌だ、無理だと言うこともあるのです。そうなると、事情をしっかり聞いた上で次の手を考えなければいけません。そのようにして、患者さんそれぞれの「やる気スイッチ」を探りながら、患者さんそれぞれの生活に合わせて治療をカスタマイズしていきます。町のクリニックは患者さんとの距離が近い分、一人ひとりとしっかり関わりながら診ていくことができるのが良い部分だと思います。

病気と上手に付き合うための手伝いをしていきたい

医師をめざしたきっかけについて、教えていただけますか?

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私が中学から高校の時期、大好きだった祖父母が相次いで亡くなりました。だんだん体が悪くなっていくのを、何もできずにただ待っていることしかできなかったのがとても悔しくて。人がより良く生き、また亡くなるまでの過程、節目節目で役に立ちたいと思って医師をめざしました。循環器を選んだのもそういった思いからです。心臓の病気は状態の変化が早く、自分の行った診療が直に跳ね返ってくるため、とてもやりがいがありました。人の死もたくさん見てきました。自分の力不足を感じることはあっても、医療提供者がくよくよしたり泣いたりするのは違うと感じています。その方の診療で得た経験や知識を次の患者さんに生かさなかったら、亡くなった方を大事にしていないことになるのだと私は思うのです。

診療の中で、先生が感じていることを教えてください。

人は病気になると、そこだけにとらわれがちです。でも、仕事やプライベートをひっくるめた全部がその人自身。病気を改善していくために人生の他の部分を全部犠牲にする必要はないと思うし、いい時もあれば悪い時もあるはずです。上手に体を手入れしながら、長く人生を楽しんでいけたらそれでいいのではないでしょうか。私は場所柄ビジネスパーソンを診ることが多いのですが、メンタル面を悪くしてしまう方の中には、一つのことにとらわれて「こうでなければならない」と悩み、仕事を辞めてしまうことになる人もいらっしゃいます。ただ、その人が悩んでいることは生きていく上での「一部」に過ぎないのです。病気も、その方の人生の一部であり、すべてではない。そんなふうに捉え、皆さんが病気との上手な付き合い方を知ってくれたらいいなと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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会社での健康診断やいろいろな検診を受診しながらも、再検査などの判定をそのままにしてしまっている人は少なくありません。例えば若いうちから血圧が高めの方で、仕事中に急に倒れ復帰が困難になる場合もあります。高血圧には二次性高血圧といわれる、ホルモンの関係など、他の病気が原因で血圧が上がることもありますので、早めに受診して原因を知っておく必要があります。検査後、どこに気をつけ、日常生活で何に取り組むべきなのかを患者さんのライフスタイルに合わせてお伝えすることに努めていきたいですね。医療についてわからないことを解決するために私たち医師がいます。気軽にご相談ください。

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