松本 昌和 先生の独自取材記事
みらいメディカルクリニック茗荷谷
(文京区/茗荷谷駅)
最終更新日:2025/09/01

東京メトロ丸ノ内線の茗荷谷駅から徒歩1分の「みらいメディカルクリニック茗荷谷」。前身の「松本医院」の頃から地域密着の診療を行い、世代を超えてたくさんの患者から親しまれてきたクリニックだ。内科・小児科をはじめ、幅広い診療を行っている。前理事長の息子である松本昌和先生は東京・神奈川・埼玉・静岡・愛知でクリニックを展開する「みらいメディカルグループ」の代表も務め、地域医療の底上げに力を注ぐドクターだ。地域のかかりつけ医として、患者一人ひとりに寄り添った診療をめざしているとか。取材では、松本先生の医療に対する信念をはじめ、クリニックや患者にかける思いなど、豊富な話題で語ってもらった。
(取材日2023年11月27日/情報更新日2025年8月21日)
世代を超えて、ずっと地域を支える診療を実践
こちらはもともと「松本医院」としてスタートしたそうですね。

私の父である松本正雄前理事長が1977年に開業しました。父は往診のために町を自転車で疾走する姿が語り草になっている開業医でしたね。当院は2011年に再開発のためにリニューアルを行い、さらに2015年に「みらいメディカルクリニック茗荷谷」と改称。診療の幅を広げながら、基本的には各専門の医師がそれぞれの診療科を担当するかたちをとってきました。また、地域密着型のクリニックとして、内科・小児科をはじめ、赤ちゃんからご高齢の方まで幅広く対応しています。予防接種や各種健診、訪問診療など、柔軟な診療を行っていますので、安心して通っていただけるとうれしいです。
「みらいメディカルグループ」設立の経緯もお聞かせください。
個人で経営しているクリニックが多い中で、医師が体調を崩したり後継者が見つからなかったりして、クリニックが断絶してしまうケースは珍しくありません。しかし、これは地域医療の持続性という面で効率が悪く、何より地域の方々の不安にもつながります。そこで私たちは、クリニックの先生方が安心して次世代に引き継げるような仕組みをつくりたいと考えました。同時に、グループ間で運営ノウハウを共有することで、医師の知識・技量差つまり臨床力に左右されない、安定した医療サービスを提供できるようにしていきたいなと。そして、2015年にみらいメディカルグループを立ち上げました。地域の方々が安心して過ごせる医療体制をつくること。それがみらいメディカルグループ設立の原点です。現在は、グループ全体で東京・神奈川・埼玉・静岡・愛知でクリニックを展開し、私がグループの代表を務めています。
先生が大切にしている理念などはありますか?

当院に限らず、みらいメディカルグループすべてのクリニックに共通する理念は「みらい永劫持続可能な地域医療の実践」です。世代が変わっても、未来永劫、地域の患者さんに寄り添って守っていけるようなかたちで診療をしていきたいですね。そして、前身である医院の先生方と患者さんが築いてきた関係性を大切にすることも、常に心がけていきたいと考えています。
親身な診療で向き合い、将来を見据えたアドバイスも
こちらの患者層や特徴などを教えてください。

地域の特色かもしれませんが、当院は中高年の患者さんが多いように感じています。そのため、今後さらに社会の高齢化が進んでいく中で、当院では予防医療にも力を入れていきたいなと。患者さんには、例えば「検査結果から、この項目は注意しておいたほうがいい」とか「このような食生活は見直しましょう」など、今注意しておいたほうが良いこともお伝えするようにしています。将来を見据えたアドバイスをしていきたいですね。
診療で心がけていることはありますか?
できる限り、患者さんの目を見ながら診療し、人と人との関わりを大切にすることです。現代は電子機器が発達したことから、パソコンの画面ばかり見ている先生もいると聞きますが、それは避けたいなと。顔を見ることで、表情や仕草から気づくこともありますから。また、訪問診療の場合は、患者さんに家でどのように過ごしていただくか、急に状態が悪くなった時どのように対応するかなどを、常に頭に置きながら診るようにしています。最終的にはお看取りをするかたちになることもあり得ますが、その受け入れ方は患者さんによってさまざまです。受け入れられない方にどのようにご説明するかなどはやはり難しいですし、患者さんと向き合うことでこちらが学ぶことも多いですね。
難しい場面も含め、患者とのコミュニケーションで心がけていることは?

まずは、患者さんのお話に耳を傾けることです。気軽にお話しいただくには、時間の積み重ねも欠かせません。最初は型どおりの問診から始まって、何回かお話をするうちに、少しずつお互いのこともわかっていくことも多いと思います。患者さんにとっての身近な存在として、ご家庭や暮らしのことなど、何でもざっくばらんに相談できるような医師でありたいです。どうぞ気軽にお話しください。親身になって伺いたいと思います。
地域のニーズに沿って、人生の最期まで寄り添う診療を
松本先生のご経歴についても教えてください。

大学卒業後、順天堂大学附属順天堂医院で腎疾患と透析医療を専門に研鑽を重ね、大学院では主に糖尿病合併症、糖尿病性腎症を研究しました。大学院修了後は静岡県御殿場市の中核病院に出向し、専門領域だけでなく総合的な内科の医師として経験を積み、その後、都内の透析専門クリニックで院長を8年務めました。そして、さまざまなエリアや医療機関で診療する中で、地域医療のニーズとバランスの悪さを感じ、何とか是正できないかという思いから、2015年に「みらいメディカルグループ」を立ち上げました。私自身、都市部と比べて患者さんとの信頼関係が築きやすい地方での診療にやりがいを感じていましたから、電子カルテの導入などの診療環境を整えれば、地方で診療する医師も増えるのではと考えています。ローテーションを組んで地方の病院に医師を派遣する仕組みをつくるなど、グループとして医師の地域偏在解消にも取り組んでいきたいですね。
地域医療に関心を持つようになったきっかけは?
医師である父の背中を見て育ったからだと思います。当院は茗荷谷駅周辺の診療所の中でも歴史が古く、父が自転車に乗って往診に出かける姿は地域の方々の目に焼きついているようです。今でも患者さんから「昔、先生がこの辺りを自転車で走り回っておられたのを覚えています」と言われることがありますよ。私自身も、電話で呼ばれれば休日でも診療に出かけていく父の生き生きとした姿を間近で見る中で、医師という仕事のやりがいや地域医療の大切さを感じていたのだと思います。
最後に、これからの展望をお聞かせください。

「みらいメディカル」という院名には、「未来永劫続く、医療の実践」という理念が込められています。今後はグループ全体にいえることですが、クリニックとしての機能をより拡充させていきたいですね。例えば、訪問診療と併せて居宅介護支援事業所や訪問看護ステーションなど福祉・介護施設を立ち上げたり、内視鏡検査システムや私の専門である透析の設備を導入したり。これらが実現できれば、遠方の病院や施設に通わずとも住み慣れた地域で必要な医療や介護を受けられ、近隣の皆さんに喜んでいただけるのではないかと考えています。これからも地域のニーズを把握しながら、患者さんの人生の最期まで寄り添う診療をめざしていきたいです。