筋肉や軟部組織の異常をキャッチ
超音波検査で効果的な治療を実現
わたなべ整形外科
(文京区/西日暮里駅)
最終更新日:2021/10/12


整形外科領域で軟部組織や筋肉を可視化できる検査法として注目されている超音波検査。原因が分からなかった関節の痛みがあっさり分かるということも多く、被ばくの心配もない上安価に受けられる、患者に優しい検査法でもある。「わたなべ整形外科」では、子どもから高齢者まで幅広い患者で適切に超音波検査を組み合わせ、効果的な治療を実現している。超音波検査のメリット、適用像などを渡邊泰院長に伺った。
(取材日2015年4月15日)
目次
気軽に受けて、適切な患部把握を
- Q超音波検査とはどういうものですか?
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A
▲院長の渡邉先生は、膝治療を得意とする
超音波で、骨、筋肉、腱の様子を視覚的に調べる検査方法です。レントゲン(X線)には写らない軟部組織や筋肉、また、浅い部分を見ることができるのが特徴です。リアルタイムで動き方を見ることもできますし、血液の流れも見ることができ、炎症の程度も把握できます。被ばくの恐れがなく、妊婦さんでも安心して受けることができるうえ、費用も安いため、患者さんにやさしい検査法だと言えるでしょう。整形外科の“聴診器”のような存在であると思います。また、炎症や筋肉や腱の損傷を詳しく可視化することができるので、患者さんがイメージしやすくなり、治療に協力的になってくださるのも良い点だと思います。
- Qどのように検査をするのでしょうか?
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A
▲超音波検査で丁寧に症状を診察
まず診察でアタリを付け、必要に応じてレントゲン撮影、超音波検査を行います。症状によっては超音波がファーストチョイスになることもありますし、レントゲンとの併用になることもあります。検査自体は内科で行う超音波検査と同じです。プローブという端子を患部に当てて内部の様子をモニターに写し出します。プローブと患部の間に空気が入ると写像が見えないため、ジェル(ゼリー)を塗って当てます。肩などを見る場合、検査着に着替えていただくこともあります。患部によっては患者さんもモニターを一緒に見ることもできます。検査の写像は、リアルタイム動画で確認するほか、静止画像に落として確認することもできます。
- Qどのような症状で超音波検査を行うのでしょうか?
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A
▲レントゲンではわからない症状も見ることができる
代表的なものに、子どもの先天性股関節症や肘内障(子どもで発症する肘が“抜けた”ようになる症状)があります。骨が固くなる前の子どもは、骨が軟骨組織のままのところが多く、レントゲンに写りません。中年期以降の方では、いわゆる五十肩のような症状の時に、肩の筋肉の様子を調べるために使います。また、大変多いのが膝の裏側の痛みです。レントゲンでは写らない「ファベラ(種子骨)」が生じて痛みが出ている場合、原因が分からないことがとても多いのですが、超音波検査ならすぐ分かります。注射による薬物治療で驚くほどあっさり快癒し、患者さんからは非常に喜ばれます。
- Qどのような時に超音波検査を受ければ良いでしょうか。
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A
▲その場で画像を見れるため、患者も理解しやすい
まず小さなお子さんの場合ですが、骨がまだやわらかく、レントゲンに写らない個所もあるため、何らかの異常が感じられた場合はお勧めします。また、膝の裏側の痛みについては、整形外科ですと「腰から来ている」という判断を下すことが多いのですが、ファベラが疑われます。レントゲン、MRIを受けてなお原因が分からない場合は一度超音波検査を受けてほしいですね。また、最近ジョギングやマラソンなどで、足首を痛めるケースがありますが、足首の近くの炎症である可能性も高いのです。これもレントゲン、MRIには写りません。足首の痛みがなかなか治らず、“しつこい捻挫だな”と感じているとき、超音波検査を受けてみるとあっさり分かることがあります。
- Qほかに治療においてはどのようなメリットがありますか。
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A
▲超音波検査を活用して、早期の原因究明を
心臓とかぶっているためにレントゲンでは鮮明な初見が取れない胸骨の損傷などで、超音波検査が活躍することがあります。また、肉離れなどの軟部組織の損傷では治癒の具合も把握できるので、治療を進めるうえでも役立ちます。リウマチや痛風の治療でも、レントゲンや普通の検査では把握できない骨、組織の状態を見ることができ、その後の治療方針を適切に選択することができますね。お子さんから高齢者まで幅広く適用像がありますが、今は、超音波検査を導入している整形外科はそれほど多くはありませんし、簡単に見える検査ではありますが、ある程度手技の習熟が必要ですので、クリニックを選んで受診していただく必要はあるとは思います。