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浜崎 啓吾 副院長の独自取材記事

浜崎歯科クリニック

(練馬区/新江古田駅)

最終更新日:2021/10/12

浜崎啓吾副院長 浜崎歯科クリニック main

都営大江戸線 新江古田駅から徒歩1分。出口を出てすぐの場所に「浜崎歯科クリニック」はある。父である院長とともに、息子である副院長の浜崎啓吾先生が親子で診療している。今回、取材させていただいたのは副院長である浜崎啓吾先生。専門は口腔外科で、町の歯科医師でありながら、親知らずなどの難抜歯や口腔内の簡単な手術までこなす。そのポリシーは、全身との関わりのなかで歯科治療を行うこと。口腔外科を選んだ理由も、歯科のなかで最も医科と関わりをもっている分野からだという。難しい内容も噛み砕いて説明し、その話しぶりはとにかく元気。診療のポリシーから患者とのエピソード、そして休日の楽しみまで伺った。

(取材日2012年7月23日)

医科と接点のある口腔外科を専攻。全身疾患を考慮した歯科治療を行う

緑が多く、気持ちのいい院内ですね。

浜崎啓吾副院長 浜崎歯科クリニック1

当院は平成4年に開院したのですが、そのときにお祝いとしていただいた観葉植物が3本、20年経った今も院内を飾っているんですよ。世話係は僕の父である、当院の院長です。しっかり手をかけているせいか、毎年元気に成長を続け、すっかり伸びて天井に届いているものもあるくらい(笑)。当院は、昨年まで同じビルの2階にありました。ご高齢の患者さんが多いので、ご不便だろうと気になっていたところ、たまたま1階が空いたのですぐに移転を決めました。おかげで今では車椅子の方でも無理なく入れるようになりました。

先生のご専門は口腔外科だそうですね。

僕は以前、新宿にある国立国際医療研究センターの口腔外科に勤めていました。口腔外科を専門に選んだのは、歯科のなかで最も医科との接点があるからです。歯科の世界に身を置いていると、どうしても全身のことに疎くなってしまいがち。でも僕は全身の病気との関わりがわかる歯科医師を目指したかったんです。そして、外科に興味があったこともあり口腔外科の道へ進みました。町の歯科医院では、口腔外科は大きな病院へ紹介するケースも多いと思いますが、当院ではがんなどの特殊な例を除いて、親知らずなどの難しい抜歯や口腔内の簡単な手術なども院内で極力行うようにしています。

全身疾患を考慮した歯科治療を行っているのですか?

浜崎啓吾副院長 浜崎歯科クリニック2

はい。僕は、全身との関わりのなかで口腔内を診ることを心掛けています。医科と歯科を切り離してしまうと、思わぬ問題が起きることがあるからです。例えば、骨粗しょう症を患って薬を飲んでいる方の歯科治療には注意が必要です。骨粗しょう症の薬のうち、ビスフォスフォネート系という薬は顎の骨にはよくないんですよ。骨は、古いものがなくなって新しいものができていくというサイクルを繰り返していますが、骨粗しょう症になると、そのバランスが崩れて新しくできる骨が少なくなります。骨粗しょう症の薬は、骨がスカスカになるのを防ぐために、骨の入れ替わりのサイクルを止めて古い骨がなくならないようにするんです。ところが、顎の骨にとっては、この骨の新旧入れ替わりの仕組みがとても大事なのです。顎の骨にはほかの骨と違い、細菌の入り込むすきまが無数にあります。骨が菌に侵されると、体はその古い骨を捨てて新しい骨を作るという仕組みによって健康を守るんです。ですから、骨粗しょう症の薬によって骨のサイクルを止めてしまうと、顎の骨に細菌が入っても、防御することが難しくなります。ひどくなると、顎が腐ってしまうことになりかねないのです。こうしたことを知っていれば、おのずと歯科治療の仕方も変わってきます。僕は初診時に患者さんとしっかりとお話をして、どんな病気を患っているか、どんな薬を飲んでいるかをお聞きします。そして、場合によっては医科での検査結果を見せていただいたり、その患者さんがかかっている医科の先生とも連携をとったりしながら、治療にあたるようにしています。

がん患者と接した経験から人間関係を大切に

担当医制をとっているそうですね。

浜崎啓吾副院長 浜崎歯科クリニック3

当院は院長と僕を含めて現在6人の医師で診療を行っています。基本的には初診時に拝見した医師が担当になりますが、院長の患者さんで、親知らずを抜く必要があれば口腔外科が得意な僕が診ますし、僕の患者さんに入れ歯が合わないなどの悩みがあれば院長が診るなど、フレキシブルに診療しています。それぞれの専門分野があるので、専門分野を生かした、よりよい治療が提供できるように日々意見交換や勉強会をしています。

印象深い患者さんはいらっしゃいますか?

口腔外科にいた勤務医時代、がんの患者さんを診る機会が多くありました。口腔内のがんは、進行するにしたがって顔が変わってしまいます。鏡を見れば自分でそれがはっきりわかりますし、物を飲みこむこともできなくなるので、患者さんはとてもつらい思いをされるのです。そのつらさをなかなか主治医に言えず、僕ら研修医に打ち明ける方も多くいらっしゃいました。病状が進んで話すことも困難になると、筆談ボードを使って会話をするのですが、どうしても時間がかかりますよね。仕事が忙しく、途中で話しを中断しようとしたところ、「まだ途中なのに!」とボードを投げられたこともありました。あの頃の患者さんの記憶は、決して忘れることができません。

その経験は今に生かされていますか?

そうですね。医療の現場で最も大事なことは人と人との関係だと本当に教えられました。あのときの患者さんは主治医に言えない悩みを僕ら研修医に打ち明けていましたが、当院ではそのようなことがないように、治療にあたる僕自身が患者さんの気持ちを受け止められるようでありたい。そのために、患者さんが話をしやすい人間関係や雰囲気を作ることを、いつも心掛けています。がんが治って元気になった患者さんのなかには、今でも毎年秋になるとご自宅でとれるギンナンを箱いっぱい抱えて訪ねてくださる方もいらっしゃいます。そんなふうに、歯科医師と患者という関係を越えたお付き合いをさせてもらえたら、それに勝る喜びはありません。

口腔内のがんについて教えてください。

浜崎啓吾副院長 浜崎歯科クリニック4

口腔内のがんは内臓のがんと異なり、わかりやすい自覚症状がいくつかあります。最も多いのは、舌の側面に口内炎ができ、なかなか治らないという症状。また、抜歯した後がうまく治らないことで見つかることもあります。ただこのがんは全身のがんの1パーセント程度といわれ、とても珍しいので、口内炎ができたからといってむやみに心配する必要はないでしょう。口の中にもがんがあるということは知っておいていただき、様子がへんだと思ったら、早めに歯科医院を受診してください。

会社員から歯科医師になった父の背中を見て、自分も歯科の道へ

歯科医師を目指したのは、お父様の影響ですか?

浜崎啓吾副院長 浜崎歯科クリニック5

はい。当院の院長である僕の父は、会社員から歯科医師になったという珍しい経歴の持ち主なんです。若い頃、医療の道に進みたいと思っていたそうですが、学生運動など時代的な背景もあって断念したようです。でも、どうしても夢を捨てきれず、30代前半で一念発起して仕事を辞め、歯科医師を目指して勉強を始めたんですよ。ちょうど僕が小学生になった年に、父は歯科大学に入学し、僕の小学6年間が父の歯学部時代でした。毎朝早く大学へ出かけ、帰宅すると部屋にこもって、歯の模型などを作っていた父のことを、今でもよく覚えています。そんな父に強く影響され、僕も気づいたら歯科医師を目指していました。

お父様は思い切った決断をされましたね。

父が一念発起した年齢を越えましたが、今僕に父と同じことができるかといえば、難しいですね(笑)。独身ならまだしも、父は結婚して子どももいたのですから。母方の祖父が静岡県で医師していたので、転職について相談に行ったそうです。すると「経済面はサポートするから、やってみなさい」と背中を押してもらったんですって。実際、父の収入は途絶えてしまったので、実家からの仕送りで我が家は暮らしていました。今ならば父の挑戦のどれほど大変なことか理解できますが、小学生だった僕は流行っていたファミコンのカセットが欲しくて、「みんな持っているのに、なんで僕だけ買ってもらえないの!」と両親を困らせていました(笑)。晴れて父が歯科医師になり開業を決めたときは、家族みんなで場所を探して、自宅に程近いこの町に決めたんです。

プライベートでの楽しみも教えていただけますか?

僕は日帰り温泉が大好きです。都内だけでなく近隣の県まで出かけていき、お風呂に入って、ご飯も食べて、マッサージや岩盤浴も楽しみ、一日のんびり過ごすのが何よりの贅沢。大学の仲間ともよく一緒に出かけるのですが、どうしても話題は仕事のことになって、温泉につかって義歯の話などしているんです。すると、隣で聞いていたおじいさんが、「入れ歯が落ちて困るんだけど」などと、僕らの会話に入ってくるんですよ。「どれどれ?」と、口の中をのぞきこんだりするのですが、どちらも裸で、あとで思い出すとおかしくてたまらないんですよ(笑)。

今後の医院の目標や展望をお聞かせください。

浜崎啓吾副院長 浜崎歯科クリニック6

将来的には衛生士を増やし、予防歯科に力を入れていきたいと考えています。患者さんは虫歯があるうちは治療に来てくださいますが、治療を終えて、「次回はクリーニングをしましょう」と言うと、急に来院されなくなってしまう方は少なくありません。定期的にプロの手でメンテナンスすることで、治療を終えた最良の状態を保てるので、その重要性を啓蒙していきたいです。そして、これからも皆さんに親しまれる、入りやすいクリニックでありたいです。僕は歯科の仕事が大好きですが、技術的なこと以上に患者さんと話しながら治療を進められることが、この仕事の醍醐味だと思っています。歯が痛くなくても、「あの元気な先生に会いに行こう」と思ってもらえるような医院作りを、これからも続けていきます。

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