勝野 雅弘 院長の独自取材記事
センター北 ひまわり耳鼻咽喉科
(横浜市都筑区/センター北駅)
最終更新日:2025/05/21

いつでも太陽のほうを向いて咲くヒマワリのように、常に患者のほうを向く医師でありたい。そんな思いを込めて「センター北 ひまわり耳鼻咽喉科」を開業した勝野雅弘院長。母校である昭和大学病院などで、長年、高度医療に携わってきたベテランドクターだ。クリニックでは、医療の現場で研鑽を積んだ経験と専門性を生かし、かかりつけ医として初期診断・治療を行うことを重視。そして、より患者に近い位置で、親身に寄り添う診療を提供することを心がけている。アレルギー疾患に対する舌下免疫療法や、睡眠時無呼吸症候群のCPAP療法といった専門的な治療の導入にも積極的だ。開業10年を迎えて、さらなる地域への浸透をめざす勝野院長に、その診療の特徴や耳鼻咽喉科医師としての思いを聞いた。
(取材日2022年5月13日/情報更新日2024年7月3日)
耳や喉の身近な病気から、専門的な治療まで幅広く対応
まず、こちらのクリニックについて聞かせてください。

アレルギー性鼻炎や中耳炎、副鼻腔炎、睡眠時無呼吸症候群の診療、また補聴器の相談など幅広く対応しており、スギ花粉症やダニアレルギーに対する舌下免疫療法や睡眠時無呼吸症候群のCPAP療法など専門的な治療も行っています。レーザーを鼻に照射したりちょっとした腫瘍を取ったりというような外科的処置も、できる限り対応しています。クリニックですから大きな手術は行えませんが、かかりつけ医としての初期診断や治療はとても重要だと考えています。一方で、より専門性の高い治療が必要になった場合は、母校である昭和大学の病院や、以前勤務していた関東労災病院、昭和大学の関連病院である横浜労災病院との連携体制を整えています。またコロナ禍の中でも安心に受診していただけるように、感染症への対策の一環としてCO2モニターやオゾン発生装置を設置しています。
舌下免疫療法とはどんな治療法ですか。
アレルゲンを含む薬を舌の下から吸収させて体を慣れさせる治療で、以前は12歳からが適用年齢となっていましたが、現在は薬剤によっては、5歳から受けられるようになりました。薬には液体と錠剤があります。スギ花粉の錠剤の長期処方が可能になり、通院回数が月1回になりました。錠剤は液体のように冷蔵保存の必要もないので、切り替える方も多いですね。アレルギー症状の根治をめざすものですが、治療期間が3年から5年と長期にわたります。そのため、当院では待ち時間短縮のために専用の枠を設けて、治療が続けやすいように配慮しています。
睡眠時無呼吸症候群の診療についても教えてください。

睡眠時無呼吸症候群は、就寝中に無呼吸や低呼吸になることで酸素が足りなくなったり、熟睡できずに仕事や生活に支障を来したり、居眠り運転などの事故を引き起こしたりすることもある病気です。放っておくと高血圧や心血管障害、脳血管障害につながる危険性もあります。太っていて気道が狭くなっている方や、痩せていても顎が小さく、舌が後方に引っ込んで気道をふさぐ舌根沈下が起こりやすい方に生じる場合が多いです。男性に多いですが、女性にも起こることがあります。当院ではご自宅で睡眠中に呼吸状態や血液中の酸素濃度などを記録する検査機器を貸し出しています。歯科医院と連携したマウスピースによる治療や、重症の場合はCPAP療法も導入しています。自覚症状が少なく潜在的な患者さんの多い病気ですので、大きないびきや睡眠時の呼吸停止、起床時の頭痛やだるさといった症状に心当たりのある方は注意してほしいですね。
自らの経験も生かし、患者に寄り添う治療を実践
耳鼻咽喉科を選んだきっかけや、開業に至るまでの経緯は?

もともと外科に興味があり、手術をする外科的要素も、風邪やアレルギーなどの内科的要素もあり、幅広くいろいろな人を診られる耳鼻咽喉科に魅力を感じて選びました。大学卒業後は昭和大学藤が丘病院や小田原市立病院、関東労災病院などで研鑽を積みました。一般的な耳鼻咽喉科の診療はもちろん、がんの手術や治療、睡眠時無呼吸症候群の診療も担当するなど、多くのことを学ばせてもらいました。大学病院には大学病院の良さもありましたが、子どもが生まれたこともあって、家族で気軽にかかれる地域のクリニックがより身近になり、開業を考えるようになったのです。開業医として患者さんの経過を細かく診ることができ、患者さんが喜ばれる姿を直接見られるのはやっぱりとてもうれしいですね。
診療する上でどのようなことを心がけていますか。
患者さんの立場になって考えることですね。実は開業する前に、僕自身が扁桃腺の手術を受けました。それまで自分自身で数多くの手術を行ってきたのですが、逆の立場になって入院して患者としての気持ちがわかり、今まで気づかなかったことに気づかされ、貴重な体験となりました。そんな体験も交えての説明は、患者さんにも受け入れやすいようです。また、子どもの誕生を機に禁煙も経験したので、実体験を交えながら、患者さんと同じ目線で禁煙の重要性をお伝えするようにしています。喫煙はニコチン依存症という一種の病気ですから、禁煙は本気でやめようと思うきっかけが必要であることを理解していただきたいですね。
子どもの患者さんも多いそうですね。

自分にも子どもがいるので、お子さんを心配する親御さんの気持ちがよくわかりますし、お子さんを診療するにあたって必要なことは、スタッフとも協力してきめ細かく配慮するように心がけています。アレルギー疾患などのお子さんは継続的な治療が必要で、お付き合いも長くなります。赤ちゃんの時から診ていた子がお兄さん、お姉さんらしくなるなど、治療を通して親御さんとともに成長を見守れることが僕のモチベーションの一つになっています。そういったお子さんを含め、患者さんたちが喜んでくれている姿を見ると本当にうれしいですね。日々患者さんの笑顔やちょっとした言葉に、この仕事をしていて良かったと思います。
耳鼻咽喉科の重要性や専門性を広めて、地域貢献を
どんな時に耳鼻咽喉科を受診したら良いのでしょうか。

風邪をひいたときに耳鼻科を受診する人は少ないと思いますが、夜、寝ている時によく咳が出る場合や、鼻水が濃い黄色やドロッとしている場合には、副鼻腔炎や後鼻漏になっていることもありますので耳鼻咽喉科を受診してほしいですね。特に、赤ちゃんや幼児の風邪は鼻が原因となっていることが多いのですが、お子さんは自分で訴えられませんから、親御さんが気づいてあげてください。また、大人の慢性副鼻腔炎については適した治療法もありますので、鼻水がいつもと違う、鼻詰まりが治らない、においがわかりにくいといった場合には受診をお勧めします。メニエール病も耳鼻咽喉科の領域ですから、めまいやふらつきといった症状もご相談いただきたいですね。
開業から10年を迎えての思いや展望を聞かせてください。
コロナ禍もありましたが、一人ひとりの患者さんと向き合い、診療を通して患者さんに喜ばれて、それが僕の喜びにもなって、ここまで来ることができたと思います。10年というのは節目ではありますが、通過点です。これからも日々を積み重ねて、20年、30年と続けていけたらいいなということですね。そのために自分自身が健康であることも心がけたいと思います。診療面では引き続き、アレルギー疾患と睡眠時無呼吸症候群の診療に力を入れていきたいですね。アレルギーは、あまり命に関わる病気ではありませんが、生活の質がかなり下がります。特にお子さんの場合、大切な成長期に煩わしい症状に悩まされると、睡眠にも影響して、集中力や学力にも悪い影響があります。アレルギー疾患も低年齢化していますから、注力していきたいと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

耳鼻咽喉科は幅広い疾患や症状に関わる診療科ですが、皆さんの生活の中でまだ身近な存在ではないかもしれません。少しずつ耳鼻咽喉科での診断や治療の重要性を広めていけたらと思っています。そのためにスタッフと一緒に相談しやすい雰囲気をつくり、患者さんとしっかりコミュニケーションを取っていくことが大切だと思っています。当院のスタッフは、長年勤務しているベテランが多いので安心して受診していただきたいです。また、舌下免疫療法のように、今後も新しい治療法が出てくると思います。時代も治療法もいろいろ変わっていくでしょうから、常に自分をアップデートしながら、患者さんに納得し満足してもらえる、耳鼻咽喉科診療を提供していきたいと考えています。