華岡 眞幸 院長、華岡 千佳子 副院長の独自取材記事
栗原歯科医院
(港区/赤羽橋駅)
最終更新日:2021/10/18
東京タワーを望む都心でありながら、下町の情緒が漂う住宅地に位置する「栗原歯科医院」。近隣住民はもちろん、周辺のオフィスに勤めるビジネスパーソンも来院する。開業はさかのぼること1919年。院長の華岡眞幸先生は3代目となる。副院長の華岡千佳子先生は、江戸時代の医師であり、全身麻酔による外科手術で知られる華岡青洲の直系の子孫。幼い頃から医療に深い縁のある夫婦が、ともに専門としているのは歯周病治療である。「ひと昔前は虫歯治療と入れ歯作りが歯科医院の仕事の中心でしたが、現在は、歯を残すサポートこそが歯科医師の仕事だと思っています」と語る華岡院長。口の中からの健康づくりを手伝いたいという2人に、歯科医療にかける思いや、感染症流行下における口腔ケアの大切さについて聞いた。
(取材日2021年9月15日)
大正時代から近隣住民の歯を見守ってきた歯科医院
長い歴史のある歯科医院だそうですね。
【華岡院長】開業したのは私の祖父で、大正時代です。現在の住居は別の場所にありますが、僕はここで生まれ、父の姿を見て育ちました。大学進学を考えた時、理工系に進みたいとも思ったのですが、やはり古くからの歯科医院でもあり、父の後を継ごうという思いがありましたので、最終的には歯科医師の道を選びました。歯科大学を卒業後は母校の医局を経て、ここで診療をしています。1999年に父が引退したのを機に、3代目の院長になりました。僕が診療していると、長く通院されている方からは「あんなに小さかった子が歯医者さんに」と言われます(笑)。
3代目なのに名字が違うのはなぜですか?
【千佳子副院長】華岡は私の父の姓です。1960年代に書かれた小説の題材にもなったのですが、江戸時代に全身麻酔を用いた手術をしたことで知られる華岡青洲という外科の医師がいて、私はその直系の子孫なのです。結婚して栗原姓になったのですが、数年前に私の父が亡くなった時、母が「直系の華岡姓を継ぐ人がいなくなってしまったわ」と言ったのを聞いて、院長が「名前を継ぎましょうか」と言ってくれて。
【華岡院長】その頃は僕の両親は亡くなっていたので、おばに相談したんです。そうしたら「あなたのお父さんも婿だし、いいんじゃない?」と言われて(笑)。実は僕の父は婿養子に入っていて、母方の姓になったんです。栗原姓は母方の親戚が継いでいますし、意外とすんなり話は進みました。
では、副院長が歯科医師になったのは、やはり家系からなのですね。
【千佳子副院長】そうですね。父が医師、母が薬剤師という環境でしたので、その影響もあると思います。実は私は虫歯が多い子どもで(笑)、大学受験を控えていた頃、受験前にすべて治そうと近所にできた新しい歯科医院に通うようになったんです。リクライニングの診療台やエックス線撮影室があり、そこで働く先生や歯科衛生士さんの姿に感動したことを覚えています。その頃、姉も医師を志して昭和大学に通っていたのですが、新しくできた歯学部のことを聞いたんです。小さい頃から歯科医院に通っていた私は、痛い思いをするのが嫌でしたし、どうして虫歯になるのかということも気になっていたので興味もあり、歯学部に進みました。
患者が納得できるよう、わかりやすい説明に力を注ぐ
お2人とも専門は歯周病とのことですが、その理由をお聞かせください。
【華岡院長】歯周病の治療においてはマルチに口腔内を診ますので、そのための幅広い知識と技術が必要だからです。僕は「歯科医師の仕事は歯を残すこと」という考えがあり、歯並びや虫歯、歯周病細菌のことを含めてトータルに知ることができれば、歯を残すことにつながると思ったのです。
【千佳子副院長】専門性のある歯科医師になりたかったというのが動機です。歯周病専門の歯科医院を開業したいと、ちらっと思ったこともありました (笑)。私が歯科医師になった当時は、専門領域のある歯科医師は少数でしたが、小児科の医師である父から、これからは歯科医師でも専門領域があるほうが良いというアドバイスがありました。女性は出産や育児で休業することもありますから、復帰しやすいのではという思いもありましたね。
診療方針をお教えください。
【華岡院長】歯周病に限らず、患者さんに自分の口腔内の状況を知っていただくことを重視しています。現状をわかって、納得していただかないと治療が進まないので、スタートはそこからです。もちろん、必要であれば応急処置をしますが、初診の場合、最初はじっくりと検査をします。患者さんは、実際にじくりとお口の中を見る機会は少ないですよね。ですからエックス線写真や口腔内写真などをお見せしながら「今の状態はこうです。ここが汚れていますよね。ここが腫れていますよね」とお話しすると、納得していただきやすいんです。
診療ではどういったことを心がけていらっしゃいますか?
【千佳子副院長】どこが気になり、何が困ることなのかを知るために、お話をたくさん聞くように心がけています。歯が痛くなったり、かぶせ物が外れたりする原因もさまざまですから、その時の状況から召し上がったものまで、なるべく具体的にお聞きするようにしています。治療後も硬い物を避けたほうが良いのであれば、「今日はイカとかタコは駄目ですが、お魚やお豆腐だったら大丈夫です」というように、具体的な食事の内容をお伝えするようにしています。私も子どもが小さい頃は食事内容にこだわっていましたから、具体的な食事指導に助けられたこともありました。私たちはお口の中からの健康づくりをお手伝いしていますから、お食事の指導などもできるだけ具体的な説明をしていきたいと考えています。
口腔内ケアをしっかり行うことが感染症予防につながる
感染症流行下だからこそ意識したい口腔ケアについて教えていただけますか?
【華岡院長】新型コロナウイルスも含め、感染症は鼻や口から感染するといわれています。歯周病は、歯周プラークの中の歯周病菌が歯茎に炎症を起こし、徐々に周囲の組織を破壊していく疾患で、歯周病菌など毒性の強い菌が口腔粘膜に存在し続けることで、ウイルスと受容体の結合を手助けし、感染症への感染リスクが高まるともいわれます。歯周病の方は、治療やケアをしっかり行い口腔内環境を清潔にすることで歯周病菌の繁殖を防いでいきましょう。その結果として、感染症の予防にもつながるといえるのです。細菌は、舌にも多く存在します。歯ブラシで歯を磨くだけでなく、舌ブラシも行うとよいでしょう。歯科医院でプロフェッショナルケアを受けることも、口腔内環境の改善、ひいては感染症予防につながると思います。また、外出先から帰ってきたら、手洗いや洗口液でのうがいを習慣づけることもお勧めします。
歯周病を予防し歯を残すことが、全身の健康にもつながるのですね。
【華岡院長】健康な状態において、歯は土台にしっかりと支えられています。しかし、歯周病が進行することで、原因菌が出す毒素によって炎症が広がり、歯を支える骨まで溶かされてしまい、やがて歯を失うことにつながります。診断の結果、入れ歯やインプラントにする必要が生じた場合でも、その患者さんに歯周病がある場合、まずは歯周病の治療を行い「土台」をしっかり改善してからでないと、本当の意味でのお口の健康にはつながりません。歯周病の治療は、進行具合によっては時間がかかることもありますが、早めに受診していただくことで、治療期間や回数を減らすことが期待できます。腫れや痛みがなくても定期的に専門家に診てもらうことが大切です。
では最後に、読者へのメッセージをお願いします。
【千佳子副院長】歯周病は気づかない間に進行する病気なので、自覚症状が出た時にはかなり進行していることが多いのです。ですから定期検診が大切です。また治療には、長い時間を要することが多いです。患者さんから「あと何回通えばいいんですか」という問い合わせもありますが、歯周病は生活習慣病とも言えます。高血圧や糖尿病の治療で、「あと何回来れば治ります」と言えないのと同じことなのです。それをご理解いただけると、治療がスムーズに進むと思います。
【華岡院長】コロナ禍が続きますが、当院では、微酸性電解水による除菌と換気の徹底、複数の空気清浄機や治療中に浮遊する細菌・ウイルスを吸引するための口腔外バキュームの設置、治療器具の高圧滅菌などの感染症対策を行っています。このような時代だからこそ、お口のことで気になることがあれば、安心して足をお運びください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/1本 44万円~
マウスピース型装置を用いた矯正/33万円~
歯列矯正/88万円~
※症例によって費用が異なります。詳細はクリニックにお問い合わせください。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。