村田 洋子 院長の独自取材記事
ムラタクリニック
(港区/虎ノ門駅)
最終更新日:2026/06/18
東京メトロ銀座線虎ノ門駅、JR山手線新橋駅の両駅から徒歩約10分。オフィスビルが立ち並び、新たな飲食店も次々とオープンするなど、近年大きく変化を続ける新虎通り沿いに「ムラタクリニック」が開業したのは2003年のことだ。開業から約20年間は、内視鏡検査を中心とした消化器内科診療に力を注ぎ、周辺で働くビジネスパーソンが多く来院していた。しかし、院長を務める村田洋子先生は、自身の体調不良の経験をきっかけに、医療との向き合い方に変化が生まれたという。現在は老年内科を軸に、高齢者が「自分らしく生活を続けること」を重視した診療に注力。「ただ長生きするのではなく、元気で楽しく生きることが大切です」と、穏やかに語る村田院長に、話を聞いた。
(取材日2026年5月19日)
体調を崩した経験から、健康寿命を支えるための医療へ
まず、先生が医師をめざされたきっかけを教えてください。

医師をめざしたきっかけは、やはり父の影響が大きかったと思います。父は内科医院を開業しており、私自身も父の医院で生まれ育ってきたようなものでしたから、医師という仕事には非常になじみがあったんです。毎日忙しく患者さんたちの診療を行う父の姿を見て、人の役に立つことのできる職業への憧れのような思いがありました。私自身、将来的には自立できる仕事に就きたいと考えていましたので、思い返してみれば、医師の道を志したのは自然な流れだったのかもしれませんね。高校卒業後は、1970年に東京女子医科大学医学部に進学。5年次に専門を決める際には、内科ではなく消化器外科を選択しました。手術による結果が明白な治療、というわかりやすさに惹かれたんですね。
その後は消化器外科医としてさまざまな経験を積まれたそうですね。
はい。ただ、いずれは開業したいという思いは当初からありました。開業する以上、内科的な視点も必要になると考え、内科領域から消化器外科に関わることができる内視鏡診療を学ぶため、東京女子医科大学の内視鏡科へ進みました。その後は、内視鏡検査一筋。国内外で研究発表を行う傍ら、1989年に消化器内視鏡科講師、1997年には同科助教授に就任しました。さまざまな症例を経験し、研鑽を積んだ後、2003年に虎ノ門の地で開業しました。この先も内視鏡検査を行っていくのだろうなと思っていた中で、現在は老年内科にも注力しているのですから、面白いですよね。ただ、「大学病院では対応しきれない、アットホームで何でも相談できる診療がしたい」という開業当初から抱き続けているその思いは、今も変わっていません。
老年内科に力を入れるようになったきっかけをお聞かせください。

自分自身が腰や膝を痛めた経験が大きかったですね。2003年に開院し、大腸内視鏡検査なども含めて、かなり忙しく診療していたのですが、数年前に自分自身が体調を崩してしまったんです。一度は閉院も考えましたが、家族から「辞めても何も残らないよ」と、背中を押され、診療時間を見直した上で再開しました。自身の経験から以前よりも患者さんの気持ちが良くわかるようになりました。足腰の痛みがあると外へ出るのがつらくなりますし、動かなくなると筋力も落ちてしまいます。そうすると気持ちまで落ち込んでしまうんです。そこで、「高齢でも楽しく生活ができるようサポートをしよう」と、思ったことが今の診療スタイルに変わるきっかけになりました。
「歩くこと」「話すこと」が、健康維持につながる
現在はどのような患者さんが多いのでしょうか?

70代くらいの患者さんが比較的多いのですが、「最近足腰が弱ってきた」「転びやすくなった」「以前より疲れやすい」といった相談で来院される方も増えています。高齢の患者さんを診ていると、外出しなくなったことをきっかけに、生活の質が大きく低下するケースを多く見てきました。ですから今は、病気を診るだけではなく、「元気に生活を続けること」を支えるための医療を大切にしています。以前から当院に通ってくださっていた患者さんが、「また先生に診てもらいたい」と、来てくださることもあります。長く診療を続けてきたことで、地域の皆さんとのつながりを感じますね。
高齢者の健康維持で大切なことは何だとお考えですか?
まずは「外へ出ること」ですね。歩いて買い物へ行ったり、人と会話をしたり、趣味を楽しんだり。そういう日常の積み重ねが、認知機能の維持にもつながります。特に高齢になると、家にこもりがちになる方も少なくありません。先ほども申し上げましたが、動かなくなると筋力はすぐ落ちてしまいます。歩けなくなると寝たきりにつながることもあるので、できる範囲で動き続けることが大切です。当院では、私自身もお世話になり信頼しているトレーナーの方と連携しながら、患者さんの状態に合わせたトレーニングも取り入れています。ただ、無理な運動はかえって体を痛めることもありますから、体のバランスにアプローチしたり、筋肉をほぐしたりしながら、その方に合った形で進めることを大切にしています。患者さんに、外出するのが楽しくなったと感じていただけたらうれしいですね。
食事については、どのようなことを伝えていますか?

私自身もそうなのですが、高齢の方は野菜中心の食事になりがちです。でも、筋肉を維持するためにはタンパク質が必要なんです。できれば動物性タンパク質である肉や魚、卵などをしっかり取れれば一番良いと思っています。また、日本人は塩分摂取量が多い傾向があるので、減塩も意識していただきたいです。とはいえ、極端に「あれは駄目」「これは控えて」と制限するのではなく、「バランス良く食べること」が一番大切だと考えています。年齢を重ねても、しっかり食べて、しっかり動くことが健康維持につながりますからね。ですから、患者さんには一方的に指導するのではなく、「こういう方法もありますよ」「少しずつやっていきましょう」といった形で、お話をしながら一緒に考えていくようにしています。それが、今の私の役割だと思っています。
“相談できる場所”として地域に寄り添いたい
診療で大切にしていることを教えてください。

患者さんのお話をしっかり聞くことですね。一人暮らしの方も多い年代です。体調の不安を一人で抱え込んでしまうと、悪い方向へ考えてしまうことがあります。でも、誰かに話すことで気持ちが整理されることも多いんです。ですから、私は病気だけではなく、生活や健康への不安も気軽に相談できる場所でありたいと思っています。患者さんから「先生に話したら気持ちが楽になった」と、言っていただけることも多くなってきました。「続けてきて良かったな」と、うれしくなりますね。
睡眠や健康診断についても重視されているそうですね。
睡眠は本当に大切です。特に睡眠不足は、不整脈や高血圧、生活習慣病にも関わってきますので、できれば6時間以上は睡眠時間を確保していただきたいですね。実際に来院される患者さんの中にも、「最近あまり眠れていなくて」と、お話しされる方がいらっしゃいます。まとまった睡眠時間が取れない場合でも、昼寝を取り入れるなどして、できるだけ体を休めてほしいと思っています。また、健康診断は「受けるだけ」で終わらせず、結果をきちんと確認することが大切です。血圧やコレステロール値など、小さな変化でも早めに気づくことで、大きな病気の予防につながることがあります。悪くなってからではなく、悪くなる前に気づく。その意識を持つことが、健康を維持する上で重要だと考えています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

「健康で長生き」ももちろん大切ですが、それ以上に、「元気で楽しく生きる」ことが大切だと思っています。趣味でも、おしゃべりでも、散歩でも構いません。家でずっとテレビを見て過ごすだけではなく、1日1回は外へ出て、人と関わりながら、自分らしく過ごしていただきたいですね。そして、不安なことがあれば、一人で抱え込まず、誰かに相談してください。話すことで気持ちが整理され、前向きになれることもあります。私も地域の皆さんの“健康の相談役”として、少しでもお力になれたらうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは内視鏡検査/1万9000円~、インストラクターによるトレーニング(マッサージを含む):3500円

