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貝谷 久宣 理事長、坂元 薫 院長の独自取材記事

心療内科・神経科赤坂クリニック

(港区/赤坂見附駅)

最終更新日:2022/04/14

貝谷久宣理事長、坂元薫院長 心療内科・神経科赤坂クリニック main

赤坂見附駅から徒歩約1分にあるビルの6階、7階、8階で、パニック症やうつ病・うつ状態、非定型うつ病、社交不安症など、不安や抑うつ症状の治療に専門的に取り組んでいるのが「心療内科・神経科赤坂クリニック」だ。薬物療法や認知行動療法といった治療に加え、マインドフルネスも積極的に取り入れ、患者の悩みやつらさを一刻も早く取り除くことをめざしている同院。貝谷久宣(かいやひさのぶ)理事長は、国内でまだパニック症があまり知られていなかった頃から、その診療や知識の啓発、教育などに尽力。一方、坂元薫院長はうつの治療を専門としており、約40年にわたりその患者に寄り添ってきた。そんな2人に、同院のことや心療内科、神経科の診療に取り組む思いなどを聞いた。

(取材日2022年3月31日)

パニック症や不安症、うつの治療に専門的に取り組む

クリニックを紹介していただけますか?

貝谷久宣理事長、坂元薫院長 心療内科・神経科赤坂クリニック1

【貝谷理事長】当院は、パニック症やうつ病・うつ状態、非定型うつ病、社交不安症など、不安や抑うつ症状の治療を専門に行っています。それらを専門とする医師による薬物療法を中心とした治療や、カウンセリングなどの認知行動療法といった治療に加え、マインドフルネスなどにも積極的に取り組んでいます。私はもともと、パニック症をはじめとする不安症を日本中の医師に啓発し、それで患者さんを救いたいという目的でこのクリニックを作りました。30年ほど前に私は名古屋で開業しましたが、その当時はまだ、パニック症という病気はほとんど知られていませんでした。そこから情報の発信に注力をすることで、次第にパニック症を疑う患者さんがたくさん相談に訪れるようになったのです。しかし、それでもまだ本当にたくさんの患者さんが適切な治療を受けられていないと思い、当院を開設することにしました。

パニック症について、もう少し教えてください。

【貝谷理事長】パニック症とは、不安症の最後に出てくることが多く、症状も一番重いものです。そして、これはパニック症だけでなく恐怖症や強迫性障害などにも当てはまることですが、しっかりと治療に取り組むだけでなく、一生をかけてコントロールしていかないといけないものでもあります。例えば、もうパニック発作が起きなくなり本人は健康になったと思っていても、その人の人生を通して見てみると、まだ治療に取り組むべき部分があったりするものなのです。処方された薬を飲んで発作をコントロールすればパニック症が治ると考える方もいらっしゃるかと思いますが、そんなに簡単なものではないのです。うつ症状がある人でも、以前にパニック症だった人とそうでない人では、治療へのアプローチはまったく違います。

院長が力を入れていることは何ですか?

貝谷久宣理事長、坂元薫院長 心療内科・神経科赤坂クリニック2

【坂元院長】私は、特にうつの治療を専門としています。うつと言ってもうつ病だけではなく、非定型うつ病や双極性障害(躁うつ病)のこともあれば、適応障害やパニック症、社交不安症などの不安症に伴ううつ、発達障害に伴ううつ、誰でも経験するような精神的な落ち込みのうつなど、さまざまなものがあります。それぞれで治療方法は異なり、これは不安症やパニック症、社交不安症などでも変わりませんが、まずは何に一番困っているのか。何が生活の支障になっているのか。何で対人関係のトラブルになっているのかなど、患者さんの話をじっくりと聞いて正確な診断につなげていくこと。その上で、科学的なエビデンスに基づいた合理的な薬物療法や臨床心理士による認知行動療法など、多方面から多角的にしっかりと治療を行うことが重要です。

薬の処方だけでなく、さまざまなアプローチを用いる

薬を飲むだけではなく、他にもアプローチしていけるものがあるとか。

貝谷久宣理事長、坂元薫院長 心療内科・神経科赤坂クリニック3

【貝谷理事長】私は臨床精神薬理学者で、いかに患者さんの現在の症状に合った薬を処方するかということも得意としていますが、それに加えて認知行動療法も大切です。当院には、認知行動療法を専門とする臨床心理士がいて、一人ひとりの患者さんに合わせた個別のカウンセリングや精神的なトレーニング、集団で行う認知行動療法などを行っています。認知行動療法については、国内の臨床現場で活用されるようになった初期の頃から行っています。当院の開院と同時に不安・抑うつ臨床研究会というNPO法人を複数の大学教授などと一緒に立ち上げ、認知行動療法ができる人を育てるためのセミナーや研究会、講演会なども行いながら、全国に広げていきました。

うつ症状があったらどうすれば良いのでしょうか?

【坂元院長】うつ症状は、適応障害レベルの、例えば上司とうまくいかないなどのストレスから来る心理的な反応でもなります。その時点で来てくだされば環境調整などこちらが手助けをすることで済む場合もあります。しかし、対処が遅れると本格的なうつ病になり、場合によっては自殺行動につながることにもなりますので、早期受診と早期治療は他の病気と同じように大切です。目安としては、食欲ががくっと落ちたとか体がだるい、夜眠れない、仕事の能率が落ちた、家でもパートナーと些細なことで以前なかったような言い合いが増え、関係がギクシャクしているというような状態が1ヵ月とか続くのであれば、病気か病気ではないかは別にしたとしても、受診を考えたほうが良いでしょう。体のだるさや眠れないというのがあったら内科にかかっても良いと思いますが、そこでいろいろ調べて何もないと言われたら、ためらわずに精神科や心療内科の受診を考えましょう。

マインドフルネスの考え方も活用しているとか。

貝谷久宣理事長、坂元薫院長 心療内科・神経科赤坂クリニック4

【貝谷理事長】マインドフルネスとは、日本の座禅をアメリカの研究者が取り入れ、わかりやすく体系化して、宗教色を抜いて応用したものです。当院では、治療が進んで症状が安定してきた方で、自分の人生をもっと充実したものにしたいと考えている人に対して、どちらかというと病気の治療そのものではなく、ウエルビーイング“Well-being”を高めることを目的として導入しています。

患者の悩みを早く取り除き、笑顔を取り戻していきたい

診療の際に心がけていることはありますか?

貝谷久宣理事長、坂元薫院長 心療内科・神経科赤坂クリニック5

【貝谷理事長】患者さんの悩みと苦悩を一刻も早く取り除くことです。私が医師になった頃の50年以上前の精神科の医療は、特に統合失調症に対しては、「もう少し様子を見ましょう」ということがすごく多かったのです。ですが、今の医療の考え方では違います。患者さんは、つらいから診察を受けに来ているのですから、そのつらさを一刻も早く取り除けるようにしていくのが医療なんだと思います。眠れないことや、不安感や抑うつ感、それぞれの悩みに対して、つらさを少しでも早く取っていくこと。それが医療の根本だと私は思います。

院長はいかがですか?

【坂元院長】めざすのは、一人でも多くの患者さんの笑顔を取り戻すこと。うつ病や双極性障害になると希望が持てなくなってくる方が多いんです。そういう患者さんに、いかに希望を与えていくことができるか。もちろん薬も処方しますが、私の本当の目的は、いわば患者さんに「希望を処方」することなんです。これは、口で言うのは簡単ですが、実際にするのは難しい。患者さん一人ひとりで違いますから、私はああでもなければこうでもないと考えを巡らす。そして、笑顔になるまでの希望への道筋をどう立てていくのかを絶えず考える。そのためには薬物療法も使うし、臨床心理士にお願いして認知行動療法もする。それに運動です。私も好きでジョギングなどをしますが、運動を患者さんに勧めることもします。その人のうつ状態が良くなるためにできることは何か、あらゆる手段を考える。それをモットーにしています。

最後にメッセージをお願いします。

貝谷久宣理事長、坂元薫院長 心療内科・神経科赤坂クリニック6

【坂元院長】心の診療の領域については、まだまだ偏見が多いと思います。体の調子が何かおかしい、ひょっとしたらうつかもしれないと思っても、診療をためらう人がいまだにすごく多いと感じます。それに、真面目な人ほど自分の性格が弱いからで、そういうのは病気じゃないと思うことも。しかし、すごく苦しい状態やつらい状態というのは、ちゃんとした医学的にフォローしていければ希望へとつなげていくことも可能なんだということを皆さんに、ぜひ知っていただきたいですね。気分が毎日沈んでつらい、対人関係や仕事もうまくいかないなどで1ヵ月以上も悩んでいるような方はためらわずに受診してほしいですし、そういう人こそに来ていただきたいと思っています。

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