大塚 仁 院長の独自取材記事
大塚歯科医院
(港区/外苑前駅)
最終更新日:2026/08/31
外苑前駅・表参道駅からともに徒歩7分ほど、街中の喧噪から少し離れた場所に位置する「大塚歯科医院」。大正12年に大塚仁院長の祖父がこの地で開業して以来、院長で3代目となる歴史あるクリニックだ。アットホームな雰囲気の歯科医院には、取材中にも「予約を取りたい」と患者が2人ふらりと来ていた。院長の気さくな雰囲気からも、地域の患者に愛されている一面が垣間見えてくる。多忙なスケジュールの中、診療に対する思いや趣味などまで院長に話を聞いた。
(取材日2013年6月10日/情報更新日2026年8月7日)
工作少年から、クラブに明け暮れた大学時代
こちらのクリニックは100年以上もの歴史があるのですね。

祖父が大正12年にこの地で開業したのが始まりで、私で3代目になります。医療が身近にある環境で育ったので、将来は後を継ぐのかな……と子どもの頃から意識はしていました。父が院長だった時代は青山にも数軒しか歯科がなく、そのぶん患者さんはあふれていて、毎日朝食を取ってすぐに診察に向かい、夜中まで休まずに診察をして帰ってくる父の姿を見ていると、意義のある仕事だなと思う一方、生半可な気持ちでは務まらないことも理解していました。また医者への興味もあり、大学は医学部・歯学部ともに受験しました。どちらも現役で合格できたのですが、医学部は地方の大学だったんです。両親から「自宅から通える医科に行くなら浪人しても良い」という条件がつき、浪人して医学部をめざすか、合格した歯科大学に行くかで悩みましたね。最終的には歯科大学を選択しましたが、実際に勉強を始めてみると非常に自分に向いていると感じるようになったんです。
どのような部分でそれを感じられたのですか?
技工物を作ったり、細かい作業がとても得意でした。もう時効ですから申し上げますが、実習で友人の技工物をこっそり作ってあげたりもしましたね(笑)。思い返してみると、私は小さい頃から時計やラジオを解体したり、工作や絵を描いて遊ぶのが好きな子どもでした。歯科医師は手先がある程度動かないとできませんし、また審美的なセンスも欠かせませんから、そういった部分も持ち合わせていたのだと思います。大学の医局にいた頃も、教授が論文や学会発表の時に使う、シェーマという医学的なイラストのようなものを頼まれて描いたりもしていました。
現在もご趣味で絵を描かれるのですか?

最近は自分で描く時間がないので、もっぱら鑑賞です。子どもが小さい頃はよく旅行にも出かけていて、パリに行った時は、朝ホテルを出たら妻子とは別行動で、私は1日中いろんな美術館を巡るという、家族旅行だか何だかわからない旅もしました(笑)。今も散歩がてら都内の美術館に行ったり、観たい展覧会があれば名古屋あたりまでなら日帰りで出かけることもあります。また大学時代は美術部のほか、馬術部にも入っていました。もともと動物好きでしたし、馬術部がある大学も少なかったので、せっかくだからと入部したら、いつのまにか主将や全国の医科歯科薬科リーグの幹事長になっていて、部活動に明け暮れる毎日でした。馬術部は、馬のお世話が8割くらい。朝は夜明けとともに馬小屋を掃除し、馬の手入れをしてとずっと馬と一緒に過ごした6年間でしたね。馬術部時代に出会った全国各地の仲間たちとは、良き友として今でも交流がありとても良い思い出です。
たくさん診るより一人ひとりにじっくりと向き合いたい
患者さんはどのような方が多いのですか?

先代から親子3代にわたって来ていただいたり、今は引っ越されたのに隣県から来てくださる方もいらっしゃって、ありがたいなと思います。また会社やお店も多いエリアなので、周辺に勤務される方も多いですね。私が院長に就任したのは1996年ですが、大学院を卒業した頃は父も現役でしたから、大学の医局に残り17年間勤務しました。専門は保存修復学で、3年目からは講師として授業もしていました。保存修復学は簡単にいうと、歯を抜かずに悪い部分を削って詰め物をしたりかぶせ物をする、医科でいうと内科的なイメージの分野です。しかし私は外科的な部分にも興味がありましたので、大学病院では専門だけではなくさまざまな分野を勉強させていただき、臨床にも携わりました。
それでこちらの診療科目も幅広いのですね。
インプラント治療は大学病院時代から50年近く手がけています。初期の頃こそレントゲンでしたが、症例数を重ねるにつれて歯科用CTの必要性を感じ、当院でも導入しました。歯科用CTでは骨の厚み、高さ、形態までわかるので的確な治療計画が立てられますし、それゆえ安全性も高まります。現在はインプラント治療ができる歯科医院も珍しくありませんし、ホームページで丁寧に説明されているところも多いと思います。当院もホームページはありますが、大々的な宣伝はしたくないのが本音なんです。設備が立派だとかいうより、患者さんと歯科医師との信頼関係を大事にしたい。専門性の高い矯正治療と、がんなどの重篤な場合以外は、一通りの診察ができるよう日々努めています。古くからの患者さんはもちろん、私を信頼して来てくださる方、またそのご紹介の方も多いので、一人ひとりにしっかりと向き合うことが地域医療に携わる私の役目であると思っています。
お隣に「南青山おおつかクリニック」という医院がありますが、こちらは関連院ですか?

弟が開業している内科医院です。関連院ではありませんが、近年は高齢化が進み、歩いて来られなくなったという患者さんも増えてきました。当院は昼休みを長めに取っていますが、それは往診に行くためなんです。弟は内科ですからよりご高齢の患者さんも多いので、往診の場面で連携することはありますね。また歯周病は糖尿病などの疾患を悪化させることも近年明らかになってきましたので、医療面で連携を取り合うこともあります。医科の意見を聞きたい場合も兄弟ですから気軽ですし、こういった環境があることはお互いメリットになっていると思います。
これからも地域住民のお口の健康を守り続ける
口腔がんの無料検診を行っているのですね。

口腔がん検診は、港区の歯科医師会で始めたものです。口腔がんそのものの発症率は低いのですが、圧倒的に歯科医院での発見が多く、痛みもあまりないので重症化してから見つかることが多いんです。また外科切除をすると審美的にも影響を及ぼす場所ですし、咀嚼や摂食、発音といった機能面にも影響が大きい。ですからなるべく早期に発見を、という歯科医師会の願いで始められました。検診には舌にできものができた、口内炎が治らないと心配されて来られる方が多い印象です。われわれ開業医も皆が口腔がん専門というわけではありませんので、しょっちゅう勉強会を開き、歯科医師会でも年4回講習会を行っています。的確な診断を下すためには、われわれがしっかりとした知識や能力を持っていないといけませんから、これからも地域の先生方と協力し合い、邁進して参りたいと思います。
先生が患者さんを診察する時に、最も大切にされていることは何でしょう。
当院のポリシーでもあり、若い先生方にもよくお伝えしていますが、目先のことだけにとらわれず、患者さんの10年後20年後を考えた治療をしていくことが最も大切だと考えています。先ほども申し上げたように最近は歯科の数が増え、経営も厳しいとは思います。しかし何より患者さんを第一に、そして患者さんの未来を見据えた治療を提供することが、必ず信頼として帰ってくると私は信じています。父の代からの患者さんは、きっと父が良い治療をしたから今でも来てくださるのだと思いますから。
今後についてお聞かせください。

そろそろ年齢も上がってきましたが、元気なうちは患者さんに愛される歯科医院をめざし続けていきたいです。私には娘が2人おりますが、次の代まで世襲にする必要はないかなと思っています。もちろんやりたいと言ってくれればうれしいですが、こればかりはわかりません。また本当に好きでないと務まらない仕事ですし、好きな仕事じゃないと人生も楽しくないですから、彼女たちにも天職だと思える仕事を見つけて輝いてほしいと思っています。ですから今後も変わらず、今まで培ってきた経験をいかしながら地域の方々のお役に立っていきたいと思います。港区では、在住している対象の年齢の方は誰でも歯科検診を受けられます。歯科医師会に入っている歯科医院であればどこでも可能ですので、お口の健康が気になる場合は気軽に受診してほしいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/27万5000円~、ホワイトニング/ホームホワイトニング(上下):2万2000円、オフィスホワイトニング(上下):4万4000円

