佐川 孝臣 院長の独自取材記事
佐川医院
(品川区/立会川駅)
最終更新日:2025/12/26
立会川駅から徒歩6分の「佐川医院」は、1989年の移転前から68年にわたり地域医療を支えてきた。2025年10月に3代目院長に就任した佐川孝臣(たかおみ)先生は、順天堂大学卒業後、肝臓の専門家として東京女子医科大学病院で肝移植などの難症例を経験。その後3年間、総合診療の現場で幅広い診療スキルも身につけた。「まずは近い人たちをしっかり丁寧に診ていきたいです」と語る佐川院長。自身も3歳の子を持つ父親として、子育て世代の相談にも親身に応じ、診察では趣味の話もするという話し好きな一面を持つ。「次の世代まで来てくれるとうれしいです」と、世代を超えた地域医療への思いを語り、肝臓の専門性と総合診療の経験を生かして全世代に対応している。気軽な相談窓口として地域の健康を支える佐川院長に、診療への思いを聞いた。
(取材日2025年12月4日)
68年の歴史を継承し、地域の健康を支える
御院は1957年開業という長い歴史をお持ちですが、院長就任の経緯を教えてください。

1957年に祖父がこの地域で開業しました。その後、1989年に現在の立会川の地に移転し、2001年からは父が2代目として診療を引き継いで、地域の皆さまの健康を支えてきました。そして2025年10月、父が高齢になってきたこともあり、まだ現役で診療を続けているうちにスムーズに引き継ぎたいという思いから、私が3代目として院長に就任しました。私自身もこの街で育ち、大学卒業までずっとここで暮らしていたので、地域への愛着は人一倍強いんです。68年という長い歴史の中で培われた地域との信頼関係を大切にしながら、これからも変わらぬ医療を提供していきたいと考えています。
肝臓の専門家として大学病院で研鑽を積まれたそうですね。
はい。順天堂大学を卒業後、東京女子医科大学の消化器内科に入局し、日本肝臓学会肝臓専門医として研鑽を積みました。東京女子医科大学病院では肝移植の症例や、先天性心疾患術後に起こる肝硬変など、難しい症例も数多く経験しました。特に急性肝不全の患者さんがヘリコプターで搬送されてきて、1日や2日で家族への説明や移植の準備を進めるような緊迫した場面も経験してきました。医局を離れてからの3年間は別の法人で総合診療に携わり、整形外科や皮膚科まで幅広く診療してきました。大学病院では狭く深く専門性を追求してきましたが、総合診療ではより広く、断らずに診るという姿勢を学びました。また、2018年からは週1回当院で診療し、地域医療の実態を肌で感じながら準備を進めてきました。
どのような患者さんが多く、どんな診療をされていますか?

当院には健康診断で異常を指摘された方や、生活習慣病の管理で通院される方が多くいらっしゃいます。「血圧が高いと言われた」というような相談が一番多いですね。内科・小児科・胃腸科を診療していますが、「どの科に行けばいいのかわからないからとりあえず診てほしい」という相談窓口としての役割も大きいんです。腹部エコーや心電図、エックス線検査などの検査設備を活用して、必要に応じて専門病院への紹介も行い、手術後はまたこちらでフォローアップするという、地域のクリニックとしての役割を果たしています。また、長年通院されていた患者さんが通院困難になった場合は往診も行っています。現在は父がメインで診ていた患者さんの自宅に私も同行し、あいさつ回りを始めているところです。
肝臓専門医の経験と総合診療の幅広さで全世代に対応
肝臓専門医として、特に力を入れている診療について教えてください。

特に注目しているのは、生活習慣に伴う肝疾患です。B型・C型肝炎は薬の進歩でかなり減ってきましたが、脂肪肝は増加傾向にあります。「お酒は飲んでないけれど脂肪肝と言われ、肝臓の数値も高い」という方が本当に多いんです。こうした生活習慣による肝疾患は薬だけでは治療できません。肝炎から肝硬変、その先の状態まで長い目で見てきた経験があるからこそ、放っておくとどうなるか、具体的に説明できるんです。エコー検査で早期発見し、患者さんの性格に合わせて指導方法を変えています。すぐに受け入れてくれる方には詳しく説明し、抵抗がある方には時間をかけて少しずつ。「毎回体重を聞いたり、運動を始めましたか? って聞くのはうるさいでしょうけど」というふうに笑いながら、でも肝硬変になったら治らないことをきちんと伝えるようにしています。
総合診療の経験を生かした幅広い診療にも対応されているとお聞きしました。
はい、3年間の総合診療の経験が今とても役立っています。例えば、「皮膚科の予約が取れなくて」と言う方が来院されることがあります。先日も帯状疱疹や蜂窩織炎などの皮膚感染症の患者さんがいらっしゃいました。処置まではその道の専門家に及びませんが、初期対応や内服薬の処方はできます。花粉症などのアレルギー疾患も、内科でかかっている方には処方していますし、睡眠時無呼吸症候群の検査導入も計画中です。「本当に内科でいいのかなと思うことも、ぜひ相談してください。意外と対応できたり、大きい病院まで行かなくても済むことがあります」と、お伝えしています。間口を広くしておくことで、そこから生活習慣病の相談につながることもありますからね。
小児科診療にも注力されているそうですね。

私自身も3歳の子どもがいるので、子育ての大変さはよくわかりますし、親御さんの相談にも共感を持って対応できるのではないかと思っています。特にワクチン接種では柔軟な対応を心がけています。当院は基本的に時間帯の制限がないので、「来れる時に来てください」という方針です。事前に電話をいただければ、時間を決めずに対応しています。また、若いパパママ世代のために予約システムの導入も進めています。「ギリギリに家を出たい」という気持ちもよくわかるんですよ。小児科診療を通じて若い世代にも認知してもらい、家族ぐるみで通っていただけるクリニックをめざしています。
患者との信頼関係を大切に、次世代まで続く医療を
診療で大切にされていることは何ですか?

患者さん一人ひとりの性格を見極めて、その方に合った対応をすることを最も大切にしています。こちらが一方的に話を進めることなく、注意が必要な時もいきなり受け入れるのは抵抗がある方なのか、素直に受け入れてくれる方なのかを判断し、押し引きを考えながら話します。また、診察では患者さんと趣味などプライベートな話もよくします。時間をかけて信頼関係を築いた患者さんを大事にしたいという思いが強いんです。「まずは近い人たちをしっかり丁寧に診ていく」これが私の診療理念です。祖父の代から通っている90歳の患者さんもいらっしゃいます。そういう長年の関係を大切にし、地域に根差した医療を続けていきたいと考えています。
今後の展望について教えてください。
父から受け継いだ「淡々ときっちり、やることをやる」という精神を大切にしながら、現代のニーズに合わせた変化も取り入れていきます。SNSでの情報発信や予約システム、キャッシュレス決済など、若い世代が利用しやすい環境を整えていく予定です。医療面では、先ほどもお話ししたように睡眠時無呼吸症候群の検査導入を計画中です。ただ、あれこれ手を広げすぎることはしません。身の丈に合った診療を続けることが大切だと思っています。始めたけれど人手不足でやめるとなれば、患者さんが一番困りますから。10年後、20年後も同じように診療を続け、「次の世代まで来てくれるとうれしい」と、心から願っています。赤ちゃんが大人になり、その子どもを連れて来てくれる。そんな世代を超えた関係を築けるクリニックでありたいですね。
最後に、地域の方々へメッセージをお願いします。

当院は全世代に対応できる、気軽に相談できるクリニックです。内科以外の相談でもかまいません。適切な診療科への紹介も含めて対応します。特に肝臓の異常を指摘されたことのある方はぜひ相談してください。エコー検査と採血で専門的な診療が可能です。「ちょっと肝臓の数値が悪いね」で、様子を見るのではなく、何が原因で、どうすれば良いか、将来どうなる可能性があるか、きちんと説明します。話が長くなることもありますが、それは皆さんの健康を本気で考えているからです。祖父から父へ、そして私へと受け継がれてきた「地域の健康を支える」という使命を、これからも果たしていきます。どんな小さなことでも、遠慮なく相談していただければたいへんうれしいです。

