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寺野 隆 院長の独自取材記事

大崎医院

(品川区/大崎駅)

最終更新日:2023/10/31

寺野隆院長 大崎医院 main

JR山手線大崎駅西口から徒歩6分の場所にある「大崎医院」。現院長を務める寺野隆先生の父が1950年に開業して以来、長きにわたり地域の患者の健康を守り続けてきた歴史あるクリニックだ。寺野院長は、日本内科学会総合内科・日本糖尿病学会・日本内分泌学会の専門医であり、甲状腺の専門家でもある医師だ。遠方からも患者が多く訪れているという同院。寺野院長が地域の開業医として心がけているのは「ゼネラリストでありスペシャリスト」であること。専門領域の治療を意識しつつも、患者の体全体を診て診断・治療することを大切にしているという。そんな寺野院長に、地域に根差した開業医としての思い、診療方針などについて話を聞いた。

(取材日2023年5月19日)

歴史あるクリニックを受け継ぎ、患者に寄り添う診療を

大崎医院は、たいへん歴史あるクリニックだと伺いました。

寺野隆院長 大崎医院1

当院は1950年に開業してから70年以上の歴史を持つクリニックです。開いたのは私の父。外科・産婦人科の医師だったのですが、当時は医療施設も少なかったことから、さまざまな疾病の患者を診察していました。夜も往診に出向くなど休みなく働いていた姿を今も思い出します。45年以上地域医療に身を捧げてきた父でしたが1996年、急に亡くなりました。ただその時の私は千葉市立青葉病院の内科部長の職を任された直後でしたのでどうにも継げなかったんです。閉院しようかという話もあったのですが、父を慕って来ていた患者さんも少なからずいらっしゃいましたから、千葉大学時代の医師仲間に応援を要請し、何人かの先生方に大崎医院を継いでもらえることになりました。2000年頃からは私のいとこの石松隆子先生に院長職を後継してもらい、2016年3月、千葉市立青葉病院の定年退職を待って、正式に私が院長として就任しました。

大崎医院は昔からこの街を見つめてきたのですね。

そうですね。現在も、数は少ないですが父の代からの患者さんが引き続き来院してくださっていまして、私がここの院長として帰ってきたときは「うれしい」という声もいただきました。開業する前、病院に勤めていた時代は多くの外来患者さんを診ていましたから、時間をかけて「人を診る」ことが十分にできていなかったと思います。でもこちらではいわば相談相手というような向き合い方で、ゆっくりと話を聞いてあげられます。今も、人によっては20分くらい話をしていますね。また診療面でも、患者さんの負担を減らすためによく処方する薬の院内処方にも対応しています。

患者さんとのコミュニケーションで、意識していることはありますか?

寺野隆院長 大崎医院2

患者さんお一人お一人の事情をよく考えながら、医師として必要なことを伝える、という点です。例えば、糖尿病の患者さんは、日常生活からいろいろと気をつけていただく必要があります。しかし、60年、70年と続けてきた生活習慣を急に変えるというのは、簡単なことではありません。あれも駄目、これも駄目と正しいことだけを伝えることは、医師としては楽ですが、実際に効果を出すのは難しいやり方です。そのため、例えば毎日一升お酒を飲んでいる患者さんだったら、まずは3合にしてみましょうか、という具合に、その人が現実にできることから少しずつお願いするようにしています。大切なのは、その人の事情も考慮しながら、信頼関係を築くこと。時間をかけて関係を作ることで、最初は聞く耳を持ってくれなかった患者さんも、だんだんとこちらの言うことを受け入れてくれるようになると思うんです。

モットーは「ゼネラリストかつスペシャリスト」

先生が、特にご専門としているのはどのような分野になるでしょうか。

寺野隆院長 大崎医院3

私の専門は内分泌代謝、甲状腺、糖尿病で、これまで多くの患者さんを診てきました。それから、感染症に関しても基幹病院で診療に携わったほか、千葉市の感染症に関する審議会に携わった経験もあります。甲状腺については専門とする医師が少ないからか、インターネットなどで調べて遠くから当院に来てくださる患者さんもいらっしゃいます。甲状腺というのは、基本的に甲状腺の機能が高いか低いか、それから腫瘤が悪性か良性かの2点が重要なんです。当院では検査から診断、手術が必要な場合の手配まで、だいたいのケースが1日で対応できる体制を整えているというのも特徴ですね。甲状腺に限らず、専門領域でご相談に来ていただく患者さんは多いですね。

ご専門の分野で、経験を生かし診療にあたっているんですね。

とはいっても、他は診ない、ということではありません。モットーは「ゼネラリストであり、スペシャリストであること」。幅広く診るけれども特定の専門分野も診られることが大事だと思っています。そもそも私の分野は免疫や代謝、内分泌といった、臓器が特定できない領域。つまりどこが痛いとか悪いとかではなく、体全体がどうなっているのか、ということから診断をつけていく必要があるのです。また、頻度は少ないですが「関連痛」といって心臓が悪くてもおなかが痛むということもあり得ます。ですから痛みを訴えた場合、果たしてそこだけの問題なのか、ほかの部分は大丈夫なのかを診ていきたい。ひいては、風邪などよくある症状などでもすぐ家に帰してしまっていいのか、そこに重篤な病気を見落としていないかなど、これまで研鑽を積んできた糖尿病や甲状腺疾患への目も持ちつつ、体全体への配慮も忘れない、そんな総合的に診られる医師でありたいですね。

来院するにあたり、患者さんにお伝えしたい点はありますか。

寺野隆院長 大崎医院4

できれば、症状が出て悪くなる前に、専門の医師に相談することが大切かなと思います。例えば内分泌代謝に関連する疾患は、ある程度病状が進んでしまってから初めて症状が出てきます。それから糖尿病も、早い段階から治療をして、合併症をいかに予防するかが大事になる病気です。今、透析治療になる原因として多いのが糖尿病なのですが、糖尿病でもすべての患者さんが透析になるというわけではありません。早いうちからしっかりと治療をしてコントロールを図ることで、悪化を防げることが望める場合もあるんです。早い段階で何かが見つかれば、大変な治療をせずとも、日常生活を気をつけて定期的にチェックするだけで済むこともあり得ます。健診で何か指摘された方や、何か心配な点がある方は、気軽にまず相談に来ていただきたいですね。

病気を治すだけではなく、病気を防ぐ診療を

これまでのキャリアの中で、思い出に残るエピソードはありますか?

寺野隆院長 大崎医院5

千葉大学を卒業後、同大学医学部附属病院の内科に入局したのですが、その時に受け持った患者さんが今でも思い出に残っています。その方は当時30代だったでしょうか。大声で叫ぶなど錯乱状態が続き、原因がわからないまま転院してきたのですが、診断の結果、甲状腺機能の低下があることがわかりました。ただ私自身診察経験も少なかったので驚くとともに、不安を感じながら、ホルモン補充療法を行いました。その後、その女性の娘さん、さらにはそのお孫さんまで来て、「ありがとう」と謝意を述べられたことがあります。こうして、世代をまたいで感謝される仕事はやはり医師の醍醐味だと思いましたね。

そうしたご経験が、今につながっているんですね。

そうですね。加えて、開業する前に勤務医として仕事をしてきた経験によって、たくさんの優秀な先生方と知り合うことができたことも、大きな財産となっています。私は大学病院で20年、地域基幹病院で20年働き、保健所との付き合いも深かったので、それぞれの立場の先生方とどのように連携するのか知っているつもりです。現在でも、クリニックで検査をして手術が必要と判断したケースがあれば、信頼できる病院を紹介することができます。地域のクリニック単独でできることは限られていますので、周囲の医療機関とも連携を密にして、患者さんにとって最適な選択肢をご案内するのも、開業医の大切な役割の一つですね。

最後に、地域の皆さんへのメッセージをお願いいたします。

寺野隆院長 大崎医院6

病気を治すことももちろん重要ですが、そもそも病気を防ぐことが大事だと思っています。生活の質を上げたり、予防接種をしたり、そういう環境を整備することによって、できる限り病気を防いでいけるように、患者さんと関わっていきたいですね。地域に根差したクリニックとして、皆さんの不安を取り除ければと考えていますので、何か心配なことがあれば、いつでも気楽にご相談ください。

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