山口 剛 理事長の独自取材記事
医療法人社団友生会 友生歯科医院
(横浜市磯子区/磯子駅)
最終更新日:2021/10/12

子どもの頃体が弱く、よく病院にかかっていたことから、医療に親しみを覚え、医学の道を志したという「山口歯科医院/友生歯科医院」山口剛院長/理事長。まだインプラントが一般的でなかった頃から治療を手がけニューヨーク大学での研修を経て、今では毎年200件以上の手術を行うインプラント治療の第一人者でもある。歯科医師としての長年の経験と、口腔外科領域の知識や技術を生かした顎変形症治療や審美歯科診療にも定評がある。海外での研修を積極的に重ね、第一線のドクターたちと交流し、最先端の診療を提供する一方、休診日には基幹病院の口腔外科に非常勤医師として勤務し、地域医療に貢献しながら基本的な手技の研鑽を続ける姿勢も興味深い。世の中に先駆けた治療や診療スタイルに挑戦していく逞しさに加え、ざっくばらんで飾らない人柄も魅力的。どんな先進的な診療も「基本は患者さん第一」と語り、多くの患者から慕われることが納得できる頼もしいドクターだ。
(取材日2013年9月6日)
インプラントの第一人者として、実績と信頼を積み重ねる熱血ドクター
まず、歯科医師を志されたきっかけを教えてください。

子どもの頃、実は小児喘息で体が弱く、学校も休みがちで入院することもありました。小学校3年生の時には発作を起こして「もう助からない」と言われたこともあったそうですが、両親が新しい理学療法を受けさせてくれ、体質が変わり、だんだん丈夫になってきました。ちゃんと学校に行けるようになり成績も上がってくると、今度は「勉強しなさい」とうるさく言われるようになりましたが(笑)。そして病院となじみが深かったこともあり、いつの間にか医療系に進みたいと考えるようになったのです。医科か歯科、どちらに進もうかと迷いましたが、恩師や先輩に「努力した成果がはっきりと分かりやすいのは歯科」と言われたこと、また、工作や物作りが好きだったので結局歯科を選びました。
その後、磯子に開業されるまでの経緯は?
外科的な分野に興味があったので、開業医のもとで勤務医として修行することにしました。そこは複数の歯科医師が勤務するクリニックで、しばらくすると私を指名してくれる患者さんが増えてきました。率先して勉強会に参加しスキルや知識を向上させていたことや、患者さんに「先生は話しやすい」と言われるのが自信になって開業を考えるようになりました。横浜市立大学医学部附属病院と連携しやすいようにアクセスのよい磯子区で物件を探していたところ、父が見つけてくれたのが「山口歯科医院」の場所です。調べてみると、私が歯科医師になった年からずっと空いていて、まるで私を待っていてくれたような“縁”を感じたので開業を決めました。最初は近隣のマンションの人たちが来てくれ、次第に磯子区だけでなく中区や南区、金沢区や港南区からも患者さんが来てくれるようになりました。開業して10年ほど経ち、山口歯科医院だけでは少し手狭になり、また、もっと幅広い治療を手がけていきたいと考えていたところに、ちょうど磯子プリンスハイツの話が持ち込まれたので、分院という形で友生歯科医院を開業しました。
山口歯科医院と友生歯科医院はどのような位置づけですか。

山口歯科医院は従来の一般歯科や小児歯科を中心に、友生歯科医院はインプラントと審美的な治療を中心に行っています。とても近いですし、どちらに来ていただいても、患者さんの症状やご要望に応じて、より適した方で治療を受けていただけるようにしています。2つの医院を合わせて、虫歯治療からインプラント、顎変形症治療、審美歯科、矯正歯科まで、総合的な歯科治療を受けられるようにと考えているのです。私も山口歯科の院長、また友生歯科医院の理事長として、毎日、両方の医院を飛び回っています(笑)。
年間200症例以上の実績。チーム医療でインプラント手術を実施
こちらで行うインプラント治療について教えてください。

友生歯科医院では、現在では毎年200件以上のインプラント手術を行っています。インプラント手術ができる一般的な歯科の年間症例数の平均は20件前後と言いますから、かなり多いことになります。実は勤務医時代にインプラントは経験していたのですが、当時まだ素材や術式に満足できなかったので、開業当初は行いませんでした。数年後、知り合いの口腔外科の先生から「インプラントも進歩してきた」と聞き、患者さんからのニーズも増えてきたので手がけるようになりました。2003年にはニューヨーク大学の研修プログラムに参加し、インプラントの権威と言える指導者に直接学ぶことができ、私自身の考え方や治療方法も劇的に変わりました。アメリカ人は歯科治療に対する理想とニーズが高く、歯を大切にする習慣も違います。こうした研修で将来的に日本でも要求されるであろう高いスキルが学べましたし、完成度も高くなり、先進的な治療を行えるようになったと自負しています。
具体的にどのような特徴があるのですか。
当院の特徴は、大きく分けて2つあります。歯科医師が十分な研鑽を積み、かつ最善の治療のために設備投資を惜しまないこと。そして、歯科医師、耳鼻咽喉科医、麻酔科医、歯科技工士、歯科衛生士が連携医療を行うことです。どちらも、手術の安全性とインプラントの長期的な持続のために実践していることです。まず一つ目の歯科医師の技量と設備投資ですが、これは本当に日進月歩で、良い治療法・治療設備というのは常に変遷していきます。ですから私自身学会などで、最新の治療知識をインプット・アウトプットしておりますし、インプラント治療に欠かせない術前診断用のCTも導入しております。なぜレントゲンではなくCTが必要かというと、レントゲンでは、どこに血管や神経が走行しているか一部わからないところがあり、そのような状態で手術することは、手術の安全性と成功率を下げてしまうからです。その点を網羅できるのがCTの強みであり、それがないとインプラントの治療はしてはいけないと私は思っています。
もう一つの各科のドクターとの連携医療についてお聞かせください。
インプラント治療は、上の奥歯の治療が一番難しいのですが、上の奥歯の骨の付近にある「上顎洞」と呼ばれる部分は耳鼻咽喉科領域で、ここの部分を回避してインプラントを打つ手術法が多いのが現状です。しかし本来なら、この「上顎洞」に真っ直ぐに入れた方が、術後の炎症もなく、また長持ちするので、当院では耳鼻咽喉科医の方にも手術やカンファレンスに参加してもらい、より良い治療を実現しているのです。この手術法ですと、歯科医師が入れたインプラントを目視で確認できるので、失敗しにくいというメリットがあります。実際、私がこの手術法でこの部位にインプラントを入れた患者さんは、20年以上持っています。また、年配の人の場合、有病の方も多いですから麻酔科医と連携して血圧や心電図、不整脈などを常にチェックしながら進める必要があるのです。耳鼻咽喉科医と麻酔科医とカンファレンスを行い、そして手術に臨む。当院のインプラント手術の安全性はまさにそういったチーム医療体制によるところが大きいのです。実は最近になって大学病院のインプラント科もチーム医療に取り組みだしたようですが、うちの方がずっと早かったんですよ!(笑)チーム医療を進めるためにスタッフ教育にも力を入れ、高い意識と知識、診療技術を身に付けてもらうようにしています。学会発表にも積極的に参加し、歯科衛生士が歯科医師対象の勉強会に参加することもあります。手術を行いますのでスタッフも点滴などに慣れていますし、緊急時にも速やかに対応でき、血圧や心電図、緊急薬などの知識も豊富です。各科のドクターと歯科衛生士やスタッフが、それぞれの人間性とスキルをリスペクトし、お互い信頼して患者さんのために良い治療を実現していくことが大事なのです。
歯科衛生士さんも高い意識と技術力を持っているのですね。

これは当院がインプラント手術を多く担っており、その後の歯科衛生士によるメインテナンスがインプラントの長持ちに不可欠であることと大きく関連しています。インプラント手術の終了は、インプラントと付き合っていく「スタート」でもあります。長期間機能させるためには、患者さんご自身のセルフケアと、プロフェッショナルケアが大変重要です。プロフェッショナルケアの利点は、インプラントの周囲組織である粘膜や骨の劣化を食い止めるべく、定期的な検査とクリーニングを行うこと、また有病の方の服薬状況のチェックができることです。先ほどお話ししたとおり、インプラントに関する知識や経験を積んだスタッフが、定期的に患者さんのインプラントをチェックするので、異常があれば早期に発見し、歯科医師に伝達し、リカバー(回復)できるのです。
先進的な治療も、一番大切にしているのは“患者さん第一”の診療方針
審美歯科にはどのような特徴がありますか。

友生歯科医院開設時から、顎の前突症や後退症など、骨格的にずれのある人の美容外科的な手術を手がけていました。そうした経験を生かし、友生歯科医院での審美歯科は、単に色調や形態の回復、改善といったレベルではなく、顔貌や口腔の健康的な美しさを回復するために顎矯正手術を行い、噛み合わせや顔貌の改善後に歯科的、審美的な治療を実施する、いわば“一歩進んだ審美歯科治療”を行っています。そういった本質的で包括的な医療を提供するには、そこまでするメリットの高さを患者さんに理解してもらうことが大切です。来院当初は前歯部の治療だけのつもりだった方にも、奥歯の噛み合わせが悪い方や、他の歯が欠けている方には、そちらの治療も合わせてする重要性についてお話しします。そうでないと、せっかく前歯部の治療をしても長持ちしないのです。患者さんのご要望と、医学的根拠との間で着地点を模索して治療をすることを基本方針としています。それだけの治療を実践するわけですから、質の面で妥協はしません。優秀な歯科技工士と連携しておりますので、被せ物では安心してもらえると思います。仮歯を入れて調子を見てもらってから被せるようにするなど、患者さんにフィットさせて長持ちさせる自信はありますので、歯並びや骨格のことでお悩みの方には、ぜひご相談くださいね。
先進的な考え方や高い技術力はどのように育まれたのでしょうか。
私は、休診日の木曜日は、地域の中核病院の口腔外科に非常勤で勤め、手術室で骨を削ったり移植したりする仕事を続けてきました。そのおかげで診療技術も高まり幅広くなりましたし、自分自身の蓄積になったと思っています。また海外のライセンスは更新制ですから、ずっと勉強をし続ける必要があります。大変ですが、自分自身が向上でき、情報も得られ、権威あるドクターとの交流やネットワークもできますから意義は高いですね。私は、innovate(革新)というか、常に進歩しようという気持ちが大切だと思っています。そうでないとスタッフもついて来てくれないし、組織を成長させていくこともできないので、まず自分がその背中を見せたいと思っています。そして、スタッフには、常に自ら向上し続けようという意欲を持つこと、患者さんのことを第一に考え、私のことを信頼し、健康でいてくれること、そして、同僚から好かれる人間でいてほしいと伝えています。
とてもお忙しい毎日ですが、プライベートな時間はどう過ごされていますか。
趣味はゴルフなんです。妻は子どもの頃からゴルフの経験があり、結婚当初は私より上手くて悔しかったので頑張って腕を上げました(笑)。学会などがありますから、毎週行くわけにはいきませんが、月に1回か2回は行くようにしています。健康法としてもいいと思いますし、ゴルフ場で知り合った方が患者さんとして遠方から来てくださることもあるんですよ。歯科大学4年の息子は、多趣味でピアノやテニスも得意でしたが、今はゴルフを一緒に楽しんでいます。歯科医師として私の跡を継いでくれるようなので心強く思っています。ちなみに友生歯科医院の名前は彼の名前から“友”の字をとり、また、友だちがたくさんできて人が生きることに貢献できるように、という願いを込めて“友生”としたんです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

患者さんにとって話しやすく、悩みを打ち明けることのできるドクターを探していただきたいですね。そして、治療ができるかできないかを判断し、きちんと情報提供してくれる信頼できる歯科医院で治療を受けていただきたいと思います。当院は、地元の患者さんだけでなく、全国の仲間からの紹介で遠方からの患者さんが来てくださいます。患者さんのご家族が「私も治療してほしい」とアメリカから来院されたケースもあります。そうした皆さんの期待に応えられるようにこれからも歯科医院として向上し、成長していきたいと思っています。私は患者さんの健康に役立ち、「先生と知り合えてよかった」と思っていただけるのがいちばん嬉しいのです。そんな患者さんのために私も長生きして頑張っていきたいと思います。