山崎 明香 副院長の独自取材記事
さくら小児科・内科クリニック
(世田谷区/経堂駅)
最終更新日:2025/06/19

経堂駅南口から徒歩6分、商店街の先の烏山川緑道沿いに「さくら小児科・内科クリニック」はある。その名のとおり春には満開の桜が楽しめるロケーションだ。2012年に川崎市にある中島医院の分院として開院して以来、一般小児科の他、乳児健診、予防接種やアレルギーの相談、親世代の受診にも幅広く応じ、地域の親子を支えている。平日と土曜日は山崎明香副院長、日曜日は中島夏樹院長がメインで診察を行う。2024年からはAI搭載のインフルエンザ検査機器を導入。検査時の痛みが少なく、従来よりも早い診断をめざせるようになったという。「赤ちゃん連れでも手ぶらで受診できる環境を整えて、来院しやすいクリニックをめざしています」と語る山崎明香副院長に話を聞いた。
(取材日2025年4月4日)
先進の機器を備え、親子で受診しやすいクリニックへ
クリニックの診療内容と先生方について教えてください。

小児科を基本として大人の方の内科診療、アレルギーの診療も行っています。私自身、赴任後に子育てが始まり、育児と看病の大変さは深く実感することばかり。親御さんとは子育ての情報交換などもさせていただきながら、日々の診療にあたっています。今のところ月曜日から土曜日を私が、木曜日は大学病院から非常勤の先生をお招きし、日曜日を中島院長という分担で診療しています。中島院長は感染症を専門に研究しながら、武蔵新城の中島医院で50年以上診療をなさってきた先生です。非常勤の先生も含め全員が小児科に精通しており、近隣の大規模病院とも連携しているので安心して受診していただけたらと思います。
赤ちゃん連れでも受診しやすい工夫をされていると聞きました。
乳幼児を連れて外に出かけるのは、それだけでも大変なことですよね。当院では、授乳スペースやおむつ替えスペースを用意して、赤ちゃんと一緒に安心して過ごせる環境を整えています。おむつやミルクも無料で用意していますので、必要なときは遠慮なくお申し出ください。例えば保育園から呼び出しの連絡を受けて急いでお子さんを迎えに行き、そのままクリニックへ立ち寄りたいなんていう場合もあると思うんですよね。家から通院する場合でも、お子さんの対応に一生懸命で必要な物を忘れてしまうことも「あるある」です。そんなときも心配せずにお越しください。手ぶらで来院しても不便のないようにできる限りのフォローをさせていただきたいと思っています。駐車場も完備していますので、雨の日や寒い時期でもお子さんを連れて車でお越しいただけます。
最近導入された、AIが搭載されたインフルエンザ検査機器とはどういうものですか?

AI搭載のインフルエンザ検査機器とは、インフルエンザの診断・治療をより早く行うために開発された先進の医療機器です。AIを搭載したカメラが内蔵されていて、喉の奥の写真を撮るだけでインフルエンザ特有の所見を高精度で識別することができます。従来のインフルエンザ検査は、発熱から5、6時間~12時間経過してからでないと適切な判定ができませんでしたが、先進の検査機器を用いた場合は発熱後2~3時間の早い段階で診断し治療を開始することができます。家族間での感染が心配なときにも、家で長い時間待つことなく検査を受けられるのは大きなメリットでしょう。また鼻の奥に綿棒を入れる検査とは違って痛みはほとんどありません。ただし、5歳以下のお子さんは撮影時に大きく口を開けることが難しいので、その場合は通常の検査をお勧めしていますね。保険適応ですので、大人の方も今までと同じ費用で検査ができます。
アレルギーの悩みに寄り添い、適切なケアを指導
山崎先生が得意とされているのはアレルギーの分野なのですね。

はい。小児科医として一般診療や救急診療、新生児医療、病棟業務と、子どもが元気になって笑顔が増える過程に関わった経験から、成長していく姿を見られることをとてもうれしく思うようになりました。そうした中でアレルギー性疾患に興味を持ち、少し前に自身をアップデートするために近隣にある国立成育医療研究センターにてアレルギーについての学びを深めました。アトピー性皮膚炎の薬の塗り方や、肌に触れる物の選び方など、患者さんに還元できる情報を多く得られたのは有意義なことでしたね。また食物アレルギーについては患者さんによってそれぞれ症状も重症度も変わるので、難しい分野だと改めて感じました。得た知識や情報を生かして今後も積極的にアレルギーの治療を行っていきたいです。
子どものアレルギーに関して、家庭でできることはありますか?
赤ちゃんの時にお肌をケアすることが、とても重要です。お母さんのおなかの中は羊水で満たされているから湿度は100%ですが、外の世界に出れば一転、薄く繊細な赤ちゃんのお肌は大人よりも乾燥しやすい状態です。乾燥を放置しておくと次第に肌が荒れてきて、アレルギーの抗原となる食べ物が荒れた皮膚の隙間から吸収され、アレルギー反応を起こす抗体をつくってしまう場合があります。これを経皮感作といいますが、まだ食べ物を食べていないのにお肌が荒れていることによってアレルギーの原因をつくってしまう。そんな事態を避けるために、離乳食を始める前は特に気をつけて適切な保湿ケアを行い、赤ちゃんのお肌の調子を良くしておきましょう。気になることがあれば早めに受診していただくことも大切です。
アレルギーは長期間の治療が必要なイメージがあります。

そうですね。元気なお子さんのお世話だけでも毎日が飛ぶ矢のように早く過ぎていくのに、長期間の治療が必要となると親御さんの負担は確かにあります。通院するのは大変だと思いますが、アレルギーは途中の変化を確認することも大切なので、できれば定期的に受診していただきたいと思います。もし受診が途切れたとしても行きづらいとは思わず、受診できるタイミングで来てくださって大丈夫ですよ。当院では、湿疹から食物アレルギー、そして喘息へと続いてしまうアレルギーマーチの状態にならないよう、早い段階で治療を行うよう心がけています。アレルギーの治療は長期的かつ慎重に進めていく必要がありますから、親御さんとしっかり向き合って取り組んでいきたいですね。
一人ひとりの健康と成長の過程にじっくり向き合う
診療で大切にしていることを教えてください。

初めていらした患者さんの場合は、普段の様子やこれまでの治療の経緯などをじっくりお聞きします。当院に来ていただいた時点でのお子さんの状態をしっかり把握した上で、その後の対応を適切に行えるようにしたいのです。中には薬だけ欲しいという方もいらっしゃいますが、私はパッと診てパッと終わるような診療はしていません。いずれにしても、お子さんの症状を改善させたいという気持ちは親御さんも私たちも同じですので、気持ちを共有することを大切にしています。不安をゼロにするのは難しいかもしれませんが、少しでも安心してもらえるように情報をお伝えし、お子さんと親御さんに寄り添った診療を心がけています。
子どもだけでなく大人も受診できるのですね。
はい。当院は内科も掲げていますので、喉が痛い、熱が出たといった症状で成人の方にも気軽に来ていただけます。お子さんの風邪で来られた際に、親御さんが一緒に受診されることもよくあります。花粉症の薬をお出しするなどもしていますので、普段忙しくてご自身のケアができない親御さんこそ、ぜひ受診してほしいですね。ただ、高血圧や痛風などの生活習慣病の継続的な治療が必要な方、不眠症などについてはその分野に精通した先生に診てもらうほうが良いとお話しさせていただいています。何科を受診したら良いかわからない、という時にもご相談ください。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

私たちは「このクリニックに行って良かった」と思っていただける診療をめざしています。鼻水がひどければしっかり眠れるように取り除いてあげたり、おなかの調子が悪いのであれば食事内容のアドバイスをしたり、登園や登校をどうしたらいいか、旅行に行っても大丈夫かといった相談に応じたり、ご家庭ごとの生活に合わせたオーダーメイドの診療・判断を心がけています。対応も治療手段もお一人お一人の状況に合わせていますので、どんなことでもまずはお話いただきたいです。一般小児科をはじめ乳幼児健診や予防接種、アレルギーについてもどんどんご相談ください。いずれはアレルギーを専門とした外来を設け、よりアレルギー治療に注力したいと考えています。お子さんの健康と成長を一緒に見守っていきましょう。