橋田 節子 院長の独自取材記事
はしだ眼科クリニック
(品川区/目黒駅)
最終更新日:2021/10/12
目黒駅に直結した駅ビル、アトレ目黒1の4階にある「はしだ眼科クリニック」には、朝から患者が途切れることなく訪れ、お昼休みも取れないことも多いという。そんな忙しい毎日を送る橋田節子院長のモットーは、「来院される方の立場で、思いやりのある診察をすること」。どんなに疲れていても笑顔を絶やさず、丁寧に患者を診ることを心がけている。スタッフとともに日々研鑽を続ける橋田院長に、診療のポリシーや将来の展望など、幅広く話を聞いた。
(取材日2019年10月11日/更新日2020年9月8日)
熟練の執刀医による日帰り白内障手術を実施
2019年10月より白内障手術を開始されたそうですね。
患者さんからのご要望がとても多く、当院で手術がしたいと希望される方がたくさんいらっしゃったのです。以前は私が他の病院にお連れして手術をしていたのですが、時間的に無理が生じ、最近は信頼できる先生にご紹介していました。ですが、その先生のスケジュールも詰まり、すぐに手術できない状態になってきたのです。いずれ当院で手術をできるようにしたいと考えていたこともあり、少しでも患者さんの要望に応えられたらという思いから、院内を改装してオペ室をつくり、手術ができる体制を整えました。白内障手術のスペシャリストである徳田芳浩医師、専任の看護師、麻酔科医師によるチーム医療を実践しており、幅広い症例に対応しています。
目の手術となると、恐怖心を抱く患者さんも多いのでは?
当院では、長く通われている方や、その方のご紹介で手術を受けられる方が多いです。私と患者さんとの信頼関係、手術を行う先生と私との信頼関係、すべてが日頃からの信頼関係の上に成り立っていますので、「この先生が言うなら大丈夫」という安心感、信頼感を持って手術を受けていただけるように努力しています。白内障の手術においては、手術時間の短さや、件数の多さなどの数字に目が行く方もいらっしゃると思いますが、そこだけを重視すると、手術後に疑問や不安を抱えることが多いです。当院では手術結果はもちろん、術前の丁寧なカウンセリングと説明により、患者さんが満足できること、安心できることを含めたトータルでのクオリティーを大切にしています。件数や時間を競いがちな風潮を打破したいです。
他にも、新たな取り組みをされているとお聞きしました。
診療を予約制にして、自動精算機を導入し、患者さんの待ち時間短縮に努めています。そのほか、緑内障や黄斑、網膜疾患の早期発見や、より正確な診断、経過観察ができるよう性能にこだわった機器を導入したり、感染症を防ぐためクラスBの滅菌機を導入したりもしています。網膜硝子体の治療を得意とする医師もいますので、網膜硝子体の外来も設けています。
クリニック一丸となった、患者に寄り添う診療が信条
橋田先生の診療ポリシーを教えてください。
患者さんに寄り添った診療をすることです。病院に行くときは、先生やスタッフの対応、医師の実力、検査機器は充実しているか、無駄な検査をされないか、待ち時間は……と、いろんな不安を抱えて受診される方が多いと思います。そんな思いにできる限り応えられるように、その方が抱える不安や真の希望を極力くみ取り、それぞれのご希望に添いながら検査や診療を行います。さらにご希望や自覚症状がなくても、必要と判断した検査は、ご説明の上で実施。また専門的な診断や治療が必要な場合は、大学病院や連携する井上眼科病院などへの紹介も積極的に行っています。待ち時間に関しては、なるべく効率良く検査や診察が進むよう配慮するのに加え、患者さんの順番にこだわってしまうと、かえってお待たせしてしまうこともあるので、事前に、お呼びする順番が前後する旨をお伝えしてご理解いただくようにしています。
こまやかな配慮をなさっているのですね。
混雑していると、どうしても流れ作業のようになってしまいがちですが、そうならないように、お一人お一人心を込めて診療します。皆さんに「居心地の良いクリニックだな」と思っていただくために、笑顔、思いやり、誠実、正確さ、迅速さ、清潔をモットーに、全スタッフが一丸となって取り組んでいます。
そのために、スタッフの皆さんにはどのような指導をされているのでしょう。
「患者さんを自分の身内だと思って接してください」と常に言っています。自分がこうされたらどう思うのか患者さんの身になって、患者さんに寄り添うことを第一に考えてほしいからです。また院内も身だしなみも清潔にするように気をつけてもらっています。もちろん実務に欠かせない教育体制も整えています。当院では受付から検査の補助まで、スタッフの業務は多岐にわたりますので、すべてに対応できるように定期的にマナー講習や製薬会社さんとの勉強会などを行いますし、講習会などにも積極的に参加してもらっています。もちろん講習会などの費用はすべてクリニックが負担。医療事務や診療報酬明細書についても勉強してもらっていますよ。眼科勤務未経験者でも、数ヵ月で一通りのことを学べるようにしています。
新しいものを取り入れつつ、人間らしさを失わずに
緑内障の治療に力を入れているとお聞きしました。
緑内障にはこれといった予防法がありません。しかもほとんど自覚症状がないまま、視神経がじわじわと傷んで視野が欠け、最終的には視力が失われる可能性もある危険な病気です。日本人は40歳以上の20人に1人が緑内障患者であるとも推定されていますが、早期では自覚症状がほとんどないため、多くの方が気づいてないのが現状です。進行してしまうと、元に戻すことはできません。ですから早期発見・治療により進行を抑えていくことが重要です。40歳を過ぎたら、自覚症状がなくても年1回は定期検診を受けてください。また、当院では緑内障の新薬の開発のための治験も数多く行うほか、ドライアイなどの各種新薬の治験も行っています。
診療の際に、心がけていることを教えてください。
患者さんの思いを、できるだけくみ取るようにしています。患者さんは、それぞれの悩みや事情を抱えていて、中には本当に思い悩んだ末に当院を受診される方もいます。患者さんの状況や思いなど、さまざまな情報を知るために、お話ししやすい環境づくりに努めています。もちろん、スタッフの対応もその一つ。治療はもちろんですが、すべてに対して患者さんに即した対応をすることを、クリニック全体で心がけています。勤務医時代、接した患者さんから「診察をしてもらって心が軽くなった」という感謝のお手紙を頂くことがありました。未熟な部分もあったのにと恐縮すると同時に、技術や接し方をもっと磨かなければと強く思ったものです。その思いを忘れないように、また自分への戒めとして、今でも読み返すことがあります。
お忙しい毎日ですが、ご自身の健康管理やリフレッシュ方法について教えてください。
医師は体が資本ですから、バランスの良い食事、質の良い睡眠、適度な運動を心がけるようにしています。運動は子どもの頃から好きで、今は筋力トレーニングやゴルフをしています。ゴルフはプレーも楽しいですが、緑の中を歩くだけでも気分転換になりますし、いろんな方と交流もできるのが良いですね。自宅にいる2匹の猫も、本当にかわいくて毎日の癒やしになっています。猫と筋トレとゴルフ、プライベートタイムは、この3本が柱ですね。
今後の展望をお聞かせください。
患者さんにより良い医療を提供するために、今後も新しい治療や技術を積極的に導入していきたいと考えています。地域の小学校の学校医をしたり、区内のろう学校に寄付をしたりしていますが、医師として地域にもっと貢献できればと考えています。そうした地域貢献の一環として、困っている方のお役に立てたらという思いから、将来的には訪問診療を考えています。新しいものを取り入れつつ、患者さんとのコミュニケーションをしっかり取って、人間らしさを失わないようにしたいです。