佐原 真澄 院長の独自取材記事
たんぽぽこどもクリニック上石神井駅前
(練馬区/上石神井駅)
最終更新日:2026/11/02
上石神井駅から徒歩2分のビル1階にタンポポのロゴが目印の「たんぽぽこどもクリニック上石神井駅前」がある。院長の佐原真澄先生は、東京衛生アドベンチスト病院で長く研鑽を積んだ日本小児科学会小児科専門医・日本アレルギー学会アレルギー専門医だ。黄色と緑を基調に温かな間接照明で包まれた院内は、子どもも保護者も自然とくつろげる空間になっている。院名は、佐原院長が尊敬する詩人の作品に描かれた「見えないところで根を張り冬を越えて咲くタンポポ」のような強さを子どもたちに持ってほしいとの願いから名づけられた。4人の子育てに奮闘する母親でもある佐原院長は、穏やかな語り口で保護者の不安に耳を傾け、専門知識と子育ての実感を重ねながら診療にあたる。生まれ育った街で地域のかかりつけ医として歩み始めた佐原院長に話を聞いた。
(取材日2026年10月8日)
幼い日の原体験を胸に、生まれ育った街で開業
まずは開業までの経緯をお聞かせください。

私はこの上石神井の近くで生まれ育ちました。東京女子医科大学を卒業後、自分自身が生まれた病院でもある東京衛生アドベンチスト病院の小児科で長く勤務し、経験を積みました。開業のきっかけは、法人理事を務める大学医局の先輩から「分院をやりませんか」と声をかけていただいたことです。正直、自分からこの時期に開業しようとは考えていませんでした。ただ、先輩や友人が開業していく姿を見ているうちに、地域に住む子どもたちの成長をご家族とともに見守りながら診療を続けていくことに憧れを抱くようになりました。子どもがまだ小さく踏みきれずにいたところを周囲から背中を押してもらい、開業するなら生まれ育った地域に恩返しがしたいという思いで上石神井を選びました。設計段階から関わり、私を含めスタッフ全員で愛着を持てるクリニックをつくり上げてきました。
温かな雰囲気の院内が印象的ですが、クリニックづくりへのこだわりを教えてください。
院名の「たんぽぽ」は、私が尊敬する詩人の詩からいただきました。見えないところで地中に根を張り、冬を越えて花を咲かせるタンポポのように、子どもたちにも強さを持ってほしい。そして、タンポポのように誰にとっても身近な存在でありたいという願いを込めています。院内はタンポポカラーの黄色と緑を基調にし、照明はあえて暖色系にしました。来た時にちょっとホッとできる場所をめざしています。待合室にはオルゴールの音色を流しており、お子さんにも保護者の方にもくつろいでいただけたらと思います。診察室は3つあり、順番が近づいたら各診察室で待機していただくことで、待合室での感染リスクを減らす工夫もしています。
先生が小児科医を志されたきっかけを教えてください。

子どもの頃に通っていた病院に、とても好きな先生がいたんです。病気のことだけでなく、「この本面白いよ」「最近どうしてる?」と、一人の人間として接してくれる先生でした。病院は嫌いだけど、その先生に会いに行きたい。そんな存在でしたね。私自身、喘息やアトピー性皮膚炎があり、入院を繰り返したこともありましたが、そうした経験が医療への関心につながりました。子どもが好きだったことや、理科や人体への興味もあって、医学の道を志し東京女子医科大学に進みました。卒業後にその先生と同じ病院で働く機会に恵まれたのですが、間近で診察を見て感じたのは、あの先生の人間的な魅力は簡単にはまねできないということでした。だからこそ、私は私なりの診療スタイルをしっかり築いていきたいと思っています。
あいまいにしない診断と、不安に寄り添う診療を
アレルギー診療において、特に力を入れていることは?

小児科専門医とアレルギー専門医の資格を持っていますが、勤務医時代に感じていた課題があります。「喘息と言われたことはないけれど、気管支が弱いと言われています」というお子さんが、入院するほどの発作を起こしているのに、定期的な予防管理につながっていないケースを何度も見てきました。喘息は、発作が起きた時だけ治療するのではなく、吸入コントローラーという予防薬を続けることがとても大切です。肌荒れについても「肌が弱いだけ」と言われてアトピー性皮膚炎の適切な治療を受けていないお子さんがいました。当院では、喘息やアトピー性皮膚炎だと判断した方にはきちんとお伝えし、継続的に通院いただける体制を整えています。途中で通院が途切れないよう、一緒に歩んでいくサポートを大事にしています。
具体的にはどのような診療体制を整えていますか?
アレルギーのお子さんには、まずスキンケア指導を丁寧に行っています。薬を塗る量やタイミングなど、ご家庭で無理なく続けられる方法を一緒に考えます。毎週水曜日には、小児皮膚科専門の先生による予約制の外来も設けています。赤ちゃんの湿疹など肌のケアをじっくり相談したい方や、私の診察だけでは対応が難しいと感じた方に、院内で皮膚科の意見を聞けるのは心強いことです。そのほか、アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法やアドレナリン自己注射薬の処方にも対応しています。食物アレルギーについては、前職で卵・乳・小麦の負荷試験を行ってきた経験があり、体制が整い次第、リスクの低いお子さんを対象に外来での負荷試験も始めたいと考えています。
日々の診療で大切にされていることをお聞かせください。

病院に来られる方は、皆さん何かしらの不安や心配を抱えていらっしゃると思います。ですから、なぜいらっしゃったのか、何が一番不安なのかを見落とさないよう、しっかりくみ取りたいと思っています。一つでも心配事を解決してお帰りいただけたら、それが私にとっての喜びです。一方で、保護者の方のお気持ちに共感しつつも、医学的に正しくないと思ったことはきちんとお伝えしています。例えばステロイドへの不安を持つ方には、お子さんのために一生懸命考えた末の判断であることを認めた上で、適切に使えば大切な味方になるお薬だということをお話しします。もちろん、当院での対応が難しいと判断した場合には、東京衛生アドベンチスト病院や杏林大学医学部付属病院など連携先に責任を持ってご紹介しています。
子育ての実体験を糧に、地域のかかりつけ医へ
保護者の方と接する中で、共感を覚える場面はありますか?

私には4人の息子がおりまして、中学3年生から2歳まで年齢も幅広いので、出産前から現在まで、小児科に関わるほぼすべての場面を自分自身で経験してきた実感があります。保育園に入った頃は体調を崩すことも多く、この子は免疫が弱いんじゃないかと心配になったり、仕事中に保育園から呼び出されて慌てたり。そういった保護者の方々の苦労には、心から共感できます。診察の中でも「うちの息子もこうだったよ」と自分の体験を交えてお話しすることはよくありますね。医師としての知識だけでなく、同じ親としての目線でもお伝えできることがあれば、少しでも安心していただけるのではないかと思っています。ちなみに、忙しい日々の気分転換は、子どもたちと歌を歌うことです。
クリニックの診療体制や、今後の展望をお聞かせください。
当院のスタッフは、子育て真っ最中だったり子育てを経験してきた方ばかりですので、保護者の方の気持ちに自然と寄り添えるチームだと感じています。東京女子医科大学の医局をはじめ信頼する先生方にもご協力いただき、安心して受診いただけるような体制を整えています。受診はウェブ予約制で、一般診療は当日の朝6時半から、午後分は12時半から予約が取れますので、利用しやすい仕組みです。今後は、外来でのアレルギー負荷試験の導入や斜頭に対してのヘルメット治療もより力を入れていきたいと思っています。困った時に「まずたんぽぽに行ってみよう」と思っていただけるクリニックをめざし、成長を続けていきたいですね。
読者へのメッセージをお願いします。

お子さんのちょっとした体調の変化やアレルギーのこと、子育ての中で気になることがあれば、気軽にご相談ください。私自身も4人の子育てに奮闘する毎日ですので、医師としてだけでなく同じ親の目線でもお話を伺うことができます。タンポポの花のように、子どもたちには目に見えないところでしっかりと根を張り、やがて強く咲いてほしい。院名にはそんな願いを込めました。当院もまた、この地域にしっかり根を下ろし、困った時にふと頼りたくなるような身近な存在であり続けたいと思っています。お子さんが安心して成長していけるよう、保護者の方と一緒に歩んでいくお手伝いを続けていきますので、よろしくお願いいたします。

