山川 良治 院長の独自取材記事
渡辺通山川眼科
(福岡市中央区/渡辺通駅)
最終更新日:2026/10/23
薬院駅から徒歩7分、福岡市中央区高砂に2026年9月「渡辺通山川眼科」が開院した。院長の山川良治先生は京都大学医学部卒業後、アメリカ留学を経て琉球大学病院眼科准教授や久留米大学病院眼科主任教授を歴任した眼科手術のスペシャリスト。3Dデジタル手術システムをはじめ大学病院レベルの先端機器を導入し、緑内障から白内障、網膜硝子体まで幅広い手術に対応できる体制を整えた。「患者さんに現時点での最新で最高の医療を届けられるように」という言葉には恩師から受け継いだ信念がにじむ。前線で研鑽を重ねてきたエキスパートだが、終始やわらかな笑顔で語る温かい人柄を感じた。開業の経緯と、めざす医療の形について聞いた。
(取材日2025年9月30日)
恩師の教えを胸に歩み続けた眼科手術の道のり
眼科を志されたきっかけを教えてください。

家族に医療関係者はいませんでしたが、もともと理系人間でした。高校時代に医師の仕事に興味を持ち、医学部へ進学。当初は心臓外科を考えていたほどで、正直眼科の講義にはあまり出ていなかったんです。ところが6回生の学生実習で眼科に行った時、イメージが一変しました。外科系で、顕微鏡を使った繊細な手術が治療の中心と気づき、一気に心惹かれました。手先が器用だと言われていましたし、顕微鏡手術の技術革新が進んでいた時期とも重なって、これだと感じました。若い頃に歌劇を観て「こんな美しいものがあるのか」と感動した時、ふと「目が不自由な方は見られないのだな」とよぎったことも、眼科を選んだ理由の一つとなりました。
ご経歴の中で、大きな影響を受けた出会いはありましたか?
京都大学卒業後、USC(南カリフォルニア大学)への留学をはじめ、小倉記念病院や琉球大学病院、久留米大学病院など各地で研鑽を重ねました。中でも大きかったのが天理よろづ相談所病院の永田誠先生との出会いです。永田先生は未熟児網膜症に対する光凝固治療の専門家で、緑内障手術や顕微鏡手術で知られる存在でもありました。その姿を間近で見て、追いつきたい一心で歩んできたように思います。多くの先輩方に共通して教わったのは「医療は日々変わっていく。今日正しいことが明日には違っているかもしれない。だから常に自分自身を更新し続けなさい」ということでした。「患者さんにとって、現時点での最新で最高の医療を届けられるように努めなさい」と。この教えは今も私の根幹にあります。
このたびクリニックを開業された経緯をお聞かせください。

一番大きな理由は緑内障という病気の特性にあります。白内障や網膜剥離は手術である程度決着が望めますが、緑内障は慢性疾患ですから決着がつかないんですね。薬で眼圧を管理し、管理が難しくなれば手術をして、それでも5年、10年するとまた対処が必要になる。だからこそ一人の医師が診続けることに意味があるのですが、大学病院では医師が異動で変わっていきます。異動する度に患者さんが追いかけてきてくださり、申し訳ない思いを抱えていました。加えて福岡では緑内障を専門的に診る医師が少ないという課題もありました。ケアし続けられる場を自分でつくろうと思ったのが開業の動機です。手術まで対応できる特色ある施設をめざして準備を進めました。
先端設備を整え、緑内障から白内障まで手術に対応
設備へのこだわりについて教えてください。

恩師の教えを実践するため、設備には妥協しないと決めていました。3Dデジタル手術システムをはじめ、白内障・網膜硝子体手術装置、光干渉断層計、広角眼底カメラ、緑内障レーザーなど先進の機器をそろえています。3Dデジタル手術システムは高性能カメラの立体映像をモニターに映して手術を行う仕組みで、緑内障手術での見にくい角度の操作にも力を発揮します。チーム全員が術者と同じ画面を共有でき第三者のチェックも可能です。新しい技術の導入には思わぬことも起こり得ますが、患者さんにご迷惑をかけずに運用するのが医師の技量だと考えています。進歩に取り残されないよう、現時点で最善の機器をと考えて厳選しました。
先生が特に力を入れている緑内障について教えてください。
緑内障は、眼圧つまり目の硬さが必要以上に高くなることで視神経が傷つき、見える範囲がだんだん狭くなる神経の病気です。白内障と名前は似ていますがまったく異なり、厄介なのは慢性疾患で根本的に治せない点です。治療は目薬で眼圧のコントロールを図り、抑えきれなくなったら手術を行います。初期にはほとんど自覚症状がなく、症状が出た時にはかなり進行しているケースも多く、検診で早めに見つけることが大切です。ところが治療を始めても「目薬をさしても何も変わらない」と感じて中断してしまう方が多くいらっしゃいます。眼科の医師たちも40歳を過ぎたら一度は検査をと呼びかけていますし、特にご家族に緑内障の方がいる場合は遺伝的な要素もありますので、ぜひ定期的に眼科を受診していただきたいですね。
白内障や網膜の手術についても伺えますか?

白内障は、カメラでいうレンズにあたる水晶体が濁る病気です。手術では水晶体の中身を超音波で細かく砕いて吸い取り、代わりに人工の眼内レンズをはめ込みます。傷口はわずか2.4ミリほどで、日帰りで行えるまでに進歩しました。遠くも近くも見えるようめざす多焦点眼内レンズの選択肢もあり、眼鏡なしでの生活も見込めます。網膜剥離に対しては硝子体手術といって、目の中からアプローチして剥がれた網膜を元に戻すための方法が主流になり、治療技術は大きく進歩しています。加齢黄斑変性など薬物療法が進歩した疾患にも対応しています。当院では合併症のある難しい白内障も含め幅広く診られる体制を整え、日帰り手術を基本としています。入院が必要な場合は、提携先の病院と連携いたします。
見えて楽しく過ごせるように、目の健康を生涯守る
患者さんと向き合う上で大切にされていることは?

基本的に誰も手術なんて受けたくないと思うんですよね。怖いし、できれば避けたい。いつもそれを前提に患者さんと向き合っています。白内障手術のように術後はっきりとした改善が見込めるものもありますが、緑内障は進行を食い止めるための手術ですから、患者さんからすれば「何も良くならなかった」と感じることもあるだろうなと思っています。だからこそ病気がどういうものか、治療の選択肢、放っておくとどうなるかを必ず丁寧にご説明しています。どの方法を選ぶかは患者さんご自身ですが、私としては現時点で最善と考える治療をお勧めしたいと思っています。一方的に決めるのではなく、ご納得いただいた上で治療を進めることにこだわりたいですね。
クリニックの今後の展望をお聞かせください。
100歳まで生きられる時代になっても、見えていることはやはり重要だと思います。本が読める、テレビも見えることは、やはり日々の暮らしの大きな彩りとなるでしょう。外界からの情報の9割以上は目から入ってくるといわれますから、目の健康は生活の質に直結します。その中で特に注意が必要な病気が緑内障です。年齢とともに罹患率が上がり、70代、80代では1割から2割の方がなり得るとも考えられています。地域にはご高齢の方も多くいらっしゃいますので、いつまでも見えて楽しく過ごせるよう目の健康を守っていくことが当院の使命です。緑内障の患者さんについてはこの地域だけでなく福岡市内やその周辺からも広く受け入れ、困っている方のお力になりたいと思っています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

目の病気は目の奥に原因があることが多く、表面を見ただけではわからないものがたくさんあります。眼底検査など専門的な検査をして初めて見つかる病気も少なくありませんから、何かおかしいなと感じたら、まずは来ていただいて診させてください。人間ドックではわからないこともありますので、特に40代を過ぎたら一度は眼科で検査を受けていただけたらと思います。日本の眼科医療は、保険制度のおかげで先進的な治療をしっかりと受けられる恵まれた環境です。眼科の治療は日々進歩しており、以前は難しかったことができるようになってきています。その恩恵をしっかり届けられるよう努めてまいりますので、目のことで気になることがあれば遠慮なくご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは白内障手術に用いる多焦点眼内レンズ(片目)/30万円~

