藤本 祥太 院長の独自取材記事
大森内科・呼吸器クリニック
(大田区/大森駅)
最終更新日:2026/10/09
大森駅から徒歩3分、にぎわう商店街に面した医療モール2階に「大森内科・呼吸器クリニック」はある。2026年9月に開院した同院の院長、藤本祥太先生は、東京慈恵会医科大学卒業後、約10年にわたり呼吸器内科で臨床経験を重ねてきた医師だ。木目調デザインを採用した明るい院内に、CTをはじめとする検査機器を備え、長引く咳や喘息、アレルギーの専門的な診療から一般内科まで幅広く対応。「患者さんの苦しさをわかってあげたい」と穏やかに語る藤本院長。その飾らない言葉からは、治りにくい病気と向き合い、不安を和らげようと努める思いがにじむ。呼吸器内科を選んだ理由や開業の経緯、診療への思いを聞いた。
(取材日2026年9月17日)
「いつ来ても自分が診る」呼吸器内科医が開業した理由
先生の医師としての歩みを教えてください。

子どもの頃から通っていた小児科の先生が、私にとっての「お医者さん」の原点です。ドラマに出てくるような手術や救急の世界に憧れたわけではなく、いつも穏やかに話を聞いて診てくれる町の先生に刺激を受けて、自然と内科医の道に導かれたのかもしれません。東京慈恵会医科大学を卒業後、呼吸器内科に入局し、約10年にわたって臨床能力を高めようと努めました。複数の病院で経験を積みながら、日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、日本内科学会総合内科専門医の資格を取得しています。呼吸器の病気は一度の治療で終わることが少なく、程度は違ってもみんな苦しい思いをしています。その苦しさをわかってくれる人がそばにいる、それが大切だと考えています。長く症状と付き合っていくケースも多く、私はそういう患者さんを支えていきたいので、呼吸器領域は自分の性に合っていると感じています。
病院での勤務を経て開業を決められた背景には、どのような思いがあったのでしょうか。
病院で勤務していると、症状が落ち着いた患者さんを地域のクリニックへお戻しする場面があります。ところが呼吸器疾患を地域で継続的に診てくれるクリニックが見つからず、困ることが何度もありました。呼吸器の病気は完全には治りにくく、一生付き合っていくケースもよくあります。それなのに長くサポートできるクリニックが足りていない現実があるのです。もう一つ、大学病院では外来の担当日が決まっているため、患者さんが別の日に来ると私以外の医師が対応することになってしまいます。よりきめ細かな病状把握と対応という意味で、いつ受診したとしても一貫して主治医が診る体制のほうが良いだろうと思い、開業を決めました。
院内にCTを備えていらっしゃいますが、その理由を教えてください。

病院の診療レベルと同等にしたいという思いがありました。大学病院での呼吸器内科の診療は、血液検査・呼吸機能検査・エックス線検査・CT検査でほぼ成り立っています。同じ検査ができるように検査機器を導入しました。入院が必要な場合を除けば、呼吸器内科の診療としては病院と同じ水準で対応できる体制です。あと、私自身の経験として、過去に健康診断のエックス線検査で異常を指摘され、CT検査を受けたことがあるのですが、結果がわかるまでの時間はとても不安で、その時間が長いというのは実はつらいものなんだと気づかされました。当院では来院したその日のうちにCTを撮影し、結果をお伝えできます。結果を待つ不安な時間をできるだけ短くし、患者さんの気持ちを軽くしてあげられたらと思っています。
長引く咳の不安を和らげ、病気との向き合い方を探る
長引く咳で受診される方には、どのように向き合われていますか。

咳の症状が長期間続いていても、検査を行った結果、原因がはっきりしないケースはよくあります。そうした中で患者さんが最も不安に感じるのは「咳がこの先も続いて大丈夫なのか」ということだと思うんです。原因がはっきりして診断がつけば治療の方針が立ちますから対処しやすい。でも、わからないからこそ不安だし、怖いんですよね。検査で原因が特定できなくても、肺がんなどの重い病気でないことが確認できれば、不安を少し減らしてあげられると考えています。症状を和らげるための対応は続けますし、治りきらない症状とどう付き合っていくか、その道筋を一緒に探ることこそ私の仕事だと思って、日々の診療にあたっています。
診察の際、患者さんとのやりとりで意識されていることはありますか。
診察中はパソコンの画面に目が向きがちなので、患者さんの顔を見ることを意識しています。呼吸器内科ですから、聴診も大切にしています。痛みもなくその場でできる検査ですし、胸の音からわかることは多いんです。お話を伺う際には、喫煙の有無、住環境、仕事内容といった生活背景も確認します。喘息は台風や気圧の変化で悪化することがありますが、ご存じない患者さんも多い。そうした情報をお伝えすることも心がけていて、病気への理解が深まれば、症状との付き合い方がわかって生活しやすくなります。吸入薬は飲み薬と使い方が違うので、実物をお見せしながら説明し、薬局での説明と合わせて理解を深めていただいています。診察の最後には「もしこういうことが起きたら受診してください」「もしこういう症状が出てもこの薬で対処できます」とお伝えします。患者さん自身でできる対処法や先々の見通しがわかれば、心配がいくらか減るでしょうから。
どのような患者さんの来院を想定されていますか。

総合内科専門医の資格も持っていますので、風邪、発熱、腹痛などの急な症状や、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病まで、一般内科の症状に幅広く対応します。CTは胸部だけでなく頭部や腹部にも活用できます。その上で、やはり呼吸器とアレルギーが専門ですので、喘息の方には吸入治療などこまやかに対応できます。喫煙の習慣がある方は肺の病気につながりやすいため、咳が気になる方や検査を受けたい方にもお役に立てると思います。健診で胸部エックス線の異常を指摘された方の精密検査や、複数の通院先をまとめたいというご要望にも対応できます。
「苦しいことをわかってあげたい」が診療の土台
患者さんが通いやすいよう、院内で工夫された点を教えてください。

このビルは道路側が一面ガラス張りなので、自然光で院内が明るくなるように待合室を配置しました。また、通りから見上げたとき人の気配を感じられるようにしたかったんです。私自身、初めてのお店には入りづらいと感じるタイプなので、外から見て雰囲気がわかれば受診のしやすさにつながるだろうと。2階にあるクリニックですから、今診療時間中かどうか伝わりやすいという利点もあります。入り口すぐの場所には個室の待合スペースを設け、発熱症状のある方と一般の方の動線を分けています。呼吸器内科は感染症を扱う場面も多く、この備えは必要と判断しました。予約はウェブと電話の両方に対応し、電子決済での後払いも可能です。病気でつらいときに来る場所ですから、診療以外のストレスは少しでも減らしたいと思っています。
先生が診療において最も大切にされていることをお聞かせください。
大前提として、治療できるものはしっかり治療します。医学の知見に基づいた治療を適切に行うことが私の役割です。その上で最も大切にしているのは、まず患者さんの苦しさをわかってあげることです。呼吸器の病気は長く付き合うものが多く、治療を尽くしても良くならないことがあります。医学生の頃は病気と治療法を学びますが、臨床の現場では治せない病気にも出合います。そこで自分に何ができるのかと考えたとき、苦しさをわかってあげること、できることを全部すること、それが私の医療の土台になっています。
最後に、地域の方へメッセージをお願いします。

「とりあえず聞きに行ける場所」でありたいと思っています。体に不調を感じても、何科を受診すればいいかわからないこと、ありますよね。当院で対応できる症状であれば治療しますし、専門外の疾患や入院が必要な状態であれば、適切な医療機関をご紹介します。ここですべてが解決できなくても、次にどこへ行けばいいかという方向づけができるだけでも意味があると思うんです。呼吸器やアレルギーはもちろん一般内科の相談も含めて、気になることがあればまず足を運んでみよう、そう思っていただける場所でありたいです。咳症状が長く続いているけれど、原因がはっきりしなくて不安を感じている方も、気軽に相談していただけたらと思います。

