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安藤 文彦 院長の独自取材記事

町田そけいヘルニア日帰り手術クリニック

(町田市/町田駅)

最終更新日:2026/09/29

安藤文彦院長 町田そけいヘルニア日帰り手術クリニック main

町田駅から徒歩2分、原町田大通り沿いのビル4階に「町田そけいヘルニア日帰り手術クリニック」はある。木目調の内装に観葉植物が配された院内は、手術前後の緊張を和らげたいという院長・安藤文彦先生の配慮が感じられる空間だ。安藤院長は日本医科大学卒業後、大学病院で腹腔鏡手術やロボット手術を手がけてきた日本消化器外科学会消化器外科専門医。開業の原点には、忘れられない患者との経験がある。飼い猫の世話を理由に入院を見送り、症状が悪化して緊急手術に至った患者を前に、日帰りの選択肢を示せなかった後悔が胸に刻まれた。「その人にとって大事なものを守りながら治療したい」と語る安藤院長に、日帰り手術への思いと診療の姿勢を聞いた。

(取材日2026年9月2日)

ある患者との経験を胸に、日帰り手術の道へ

クリニックを開業された経緯をお聞かせください。

安藤文彦院長 町田そけいヘルニア日帰り手術クリニック1

大学病院で外科医として働く中で、自分の得意分野をもっと生かせる道はないかと考えていました。その原点になったのが、ある患者さんとの出来事です。鼠径ヘルニアの手術が必要な方でしたが、飼い猫の世話があるから入院はできないと手術を見送られたんです。当時勤務していた病院では、鼠径ヘルニアの手術をするには数日間の入院が必要だったためです。しかし、しばらくしてその方は症状が悪化し、緊急で運ばれて手術せざるを得なくなってしまいました。あの時、日帰り手術という選択肢を示せていたら、緊急手術は避けられたかもしれません。近年は体への負担が少ない手術や麻酔の技術が進歩し、日帰り手術が広がりつつあります。まだ取り組む医師が少ない分野だからこそ、自分がやる意義があると感じ、開業を決意しました。

大学病院では、どのような手術に携わってこられたのですか。

日本医科大学を卒業後、消化器外科医として大学病院でキャリアを重ねてきました。専門は腹腔鏡やロボットを用いた低侵襲手術です。中でも鼠径ヘルニアの手術にはもともと関心が強く、特に力を入れてきた分野です。外科医を志したのは、限られた時間に集中して、結果をめざすスタイルが自分の性格に合っていたからですね。手術は患者さんにとって大きな出来事ですから、そこで治療のお手伝いができるのは外科医の醍醐味です。もし医師でなかったら、建築のようにものを作り上げる仕事をしていたかもしれません。

開業地やクリニックづくりでこだわった点を教えてください。

安藤文彦院長 町田そけいヘルニア日帰り手術クリニック2

町田を選んだのは、このエリアに鼠径ヘルニアの日帰り手術ができるクリニックがごく限られていたからです。都心部にはすでに多くありますが、町田や相模原は人口が多いのに、こうした医療が届いていませんでした。母校の日本医科大学多摩永山病院が近くにあり、連携が組めることも大きな理由です。日帰り手術ですから、術後スムーズに帰れることが大切で、駅から近くわかりやすい場所にこだわりました。院内は木目調の素材と観葉植物を取り入れ、落ち着いた雰囲気になるよう心がけています。豪華さよりも、手術前後の緊張や不安を少しでも和らげられる空間にしています。鼠径ヘルニアの日帰り手術に特化していますので、必要なものだけをそろえてシンプルに整えているのも当院の特徴です。

その人の大切なものを守りながら、手術に臨む

こちらではどのような手術が受けられるのですか。

安藤文彦院長 町田そけいヘルニア日帰り手術クリニック3

中心となるのは鼠径ヘルニアの日帰り手術です。その他、痔や虫垂炎、胆石・胆嚢ポリープなどの手術、臍ヘルニアにも対応しています。ただし、日帰り手術の適応判断は容易ではありません。そうした判断にも大学病院での経験が生かせると自負しています。当院の強みは、すべての手術を消化器外科専門医である私が行うことです。問診から術後のフォローまで一貫して行います。手術専門のクリニックですので、1日に何十人もの患者さんを診ることはありません。お1人につき1時間ほどかけて診察と検査を行いますので、気になることをじっくりご相談いただける環境です。

日帰り手術を受けられないケースもあるのでしょうか。

重い持病をお持ちの方は手術に伴うリスクが高くなるため、入院が可能な施設での手術をお勧めすることがあります。ここで大事なのは、同じ鼠径ヘルニアであっても日帰りで対応できる方とそうでない方がいるということです。病気の状態だけでなく全身の状態を総合的に判断して、この方なら日帰りで手術ができると見極めていきます。全員を日帰り手術で対応すればいいわけではなく、入院が望ましい方にはきちんと入院で受けていただく。その判断を適切に行うことが、日帰り手術を専門とする医師の責任だと考えています。日帰りが難しい場合は、連携する近隣の病院や日本医科大学多摩永山病院をご紹介する体制を整えています。

患者さんと接する上で大切にされていることを教えてください。

安藤文彦院長 町田そけいヘルニア日帰り手術クリニック4

先ほどの猫を飼っていた患者さんとの経験を通じて、大切なことに気づきました。当時の僕は病気を治療することが最優先だと思っていたんです。正直なところ、猫は誰かに預ければと思っていました。でもよく話を聞くと、その方にとって猫は本当に大切な存在だったんです。猫に限らず、育児や介護、お仕事など、入院が難しい事情は人それぞれ。何のために治療するかといえば、その方が幸せに暮らし続けるためです。大切にしているものを奪ってしまったら、治療の意味がなくなってしまう。その経験から、今は医療者の常識を押しつけるのではなく、患者さんの話をしっかり聞いて歩み寄ることが大事だと思っています。病気だけを見るのではなく、その方の暮らしや価値観をなるべく守りながら治療する。それが「日常を止めない日帰り手術」の根底にある考え方です。

不安を一つずつほどき、町田の外科医療を支えたい

手術に不安を感じている方には、どのように対応されていますか。

安藤文彦院長 町田そけいヘルニア日帰り手術クリニック5

手術の経験がない方にとっては、わからないことだらけだと思います。ですので、初めて手術を受ける方には、その日の流れや治療にかかるご費用についてなどを具体的にご説明するようにしています。手術室もご案内し、「ここで手術をします」「大体これくらいで終わります」「術後はこちらで休んでいただきます」と、一つ一つお伝えします。漠然とした不安も、具体的な情報に置き換えることで少しずつほどけていくと思っています。ご家族にも一緒に説明を聞いていただき、送迎の段取りや注意点を共有するようにしています。身近にご家族がいない方には、介護タクシーもご案内しています。手術のことをよく知るスタッフが帰宅までサポートしますので、お一人でも安心して手術を受けていただけます。

この地域で、今後どのような役割を果たしていきたいとお考えですか。

町田市には大学病院がなく、外科の手術を受けられる場所も限られています。外科医が全国的に少ない中、このエリアでは特に手術を必要とする方に十分な医療が届いていないと感じていました。だからこそ町田で開業したので、困ったときには遠慮なく頼っていただければと思います。開業したばかりの今は、私自身も一つ一つ経験を積み重ねているところです。趣味が登山なのですが、登山では、ルートを考え、その時々の状況を見ながら自分で判断して、一歩ずつ進んでいきます。振り返ってみると、今回の開業にも通じるところがあるのかもしれません。もちろん不安や緊張はありますが、少しずつ患者さんも来てくださっています。まずは目の前の患者さんを一人ひとり丁寧に診ること。その積み重ねによって、この地域で必要とされるクリニックをめざします。

最後に、手術を考えている方へメッセージをお願いします。

安藤文彦院長 町田そけいヘルニア日帰り手術クリニック6

手術を、しかも日帰りで受けるとなると、不安はとても大きいだろうと思います。わからないことが多いのは当然ですし、そこは丁寧にご説明しますのでご安心ください。同じ病名でも一人ひとり体の状態が異なりますから、その方に合ったやり方を毎回考えながら臨んでいます。患者さんの状況に合わせて、アプローチを少しずつ調整しています。いわばオーダーメイドのような感覚ですね。気になる症状がある方は、まず診察を受けていただければと思います。お話を伺い検査をした上で、日帰り手術が適切かどうかも含めてご説明します。手術を受けて病気の改善がめざせれば、それはとても良いことだと思うんです。その方の暮らしを止めることなく治療を終えて、日常に戻っていただけるよう、一人ひとりに丁寧に向き合っていきたいと思っています。