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上田 修也 院長の独自取材記事

うえだ在宅ケアクリニック

(川崎市麻生区/柿生駅)

最終更新日:2026/09/14

上田修也院長 うえだ在宅ケアクリニック main

小田急線・柿生駅から徒歩3分の「うえだ在宅ケアクリニック」は、2026年に開業した訪問診療専門のクリニックだ。院長の上田修也先生は東海大学医学部卒業後、地元・長野での初期研修中に訪問診療と出合い、暮らしの場で一人ひとりに向き合う医療にやりがいを見い出した。新百合ヶ丘総合病院の総合内科部門で研鑽を積んだ後、8年間訪問診療に従事。前のクリニックを離れる際には患者から「一緒に引っ越そうかな」と言われるほど信頼関係を築いていた。自宅でのエックス線撮影や褥瘡ケア、整形外科的な処置まで幅広く対応し、24時間365日の緊急体制で患者の暮らしを支える。「病気ではなく、病人を診る」をモットーに、人にしかできない医療を追い求める上田院長に、訪問診療への思いを聞いた。

(取材日2026年8月5日)

暮らしの場で、「人にしかできない医療」を

開業までの歩みを教えてください。

上田修也院長 うえだ在宅ケアクリニック1

親の勧めで東海大学医学部へ進学しましたが、振り返ってみると、とてもやりがいのある仕事に出合えたと感じています。卒業後は地元の長野で2年間の初期研修を受け、そこで初めて訪問診療にふれました。患者さんのご自宅に伺い、暮らしの場に寄り添いながら医療を届けるスタイルに魅力を感じ、「自分のめざしたい医療はこれだ」と思ったんです。その後、新百合ヶ丘総合病院で呼吸器内科や消化器内科など、内科を中心に複数の診療科をローテーションし、内科医として幅広い経験を積みました。そして訪問診療の道に進むことを決め、医療法人社団アークウエルに入職。8年間にわたり訪問診療に携わり、そのうち6年間は世田谷区の分院長を務めました。開業地として柿生を選んだのは、大学時代からなじみのある小田急線沿線であり、この地域に親しみとご縁を感じたからです。

訪問診療のどのようなところに魅力を感じたのですか。

原点となったのは、初期研修中に経験した地域医療研修です。それまで訪問診療について詳しく知る機会はなかったのですが、実際に患者さんのご自宅を訪ねてみると、お一人お一人とじっくり向き合える診療スタイルに魅力を感じました。訪問診療では、患者さんが普段どのような生活を送り、どのような環境の中で病気と向き合っているのかを実際に見ることができます。一方、病院では1日に多くの患者さんを診療するため、どうしても病気そのものに目が向きがちです。入院中に体調が安定していても、ご自宅に戻ると生活習慣の影響で悪化してしまう方も少なくありません。ロボット支援手術やAIが発達した今だからこそ、機械では代替できない、人にしかできない医療を追い求めたいと思いこの道を選びました。

どのような患者さんが対象ですか?

上田修也院長 うえだ在宅ケアクリニック2

通院が難しい方を対象としており、ご高齢の患者さんが中心です。私自身の専門は内科ですが、整形外科的なお悩みや認知症のケアなども含め、幅広い疾患に対応しています。病院で抗がん剤治療を受けながら訪問診療を併用される方も多く、副作用で体調を崩されたときや、病院の休診日などにもご自宅へ伺い、必要な医療を提供しています。さらに、がんの終末期の方や難病を抱える方など、医療的なサポートが多く必要な患者さんにも対応しています。ご本人やご家族が最期までご自宅で過ごしたいと希望される場合には、在宅での看取りまで含めて支援しています。訪問エリアは麻生区を中心に町田市、稲城市、横浜市青葉区、川崎市の宮前区、多摩区、多摩市など広範囲にわたります。歩行が困難な方や痛みなどで外出が難しい方が住み慣れたご自宅で安心して過ごせるよう、その方が本当に必要としている医療を届けたいと考えています。

自宅でエックス線も注射も。その人の人生に寄り添う

どのような検査や処置に対応されていますか?

上田修也院長 うえだ在宅ケアクリニック3

ポータブルのエックス線検査機器を持参して、ご自宅でレントゲン検査を受けていただくことができます。通院が難しい方にとって、検査のためだけにクリニックへ足を運ぶのは大きな負担になりますので、そうした負担を減らしながら必要な検査を行えるのも、在宅医療のメリットの一つだと思っています。エコー検査や輸血にも対応していますし、整形外科的な処置として、膝の痛みなどに対するヒアルロン酸注射を行うことも可能です。さらに、褥瘡、いわゆる床ずれの専門的な研鑽も積んできましたので、褥瘡の処置も可能です。ご高齢の方は複数のクリニックを受診されていることが多いのですが、訪問診療ならそうした診療をできる限り一つにまとめることもできます。私が以前勤めていたクリニックでは、複数の診療科の先生方と連携しながら診療にあたっていました。その経験を生かし、現在も幅広く対応できるようにしています。

患者さんと向き合う中で、大切にされていることを教えてください。

病気の知識や技術も大切ですが、訪問診療で一番大事なのは、その方がどのような人生を歩み、何を大切にして生きてこられたかを知ることだと思っています。そのため、日々の診療では、ご本人の暮らしや価値観を丁寧に拾い上げることを意識しています。訪問診療の患者さんの中には、なるべくお薬を飲みたくない方や、積極的な治療を望まない方もいらっしゃいます。それでも痛みはしっかり取ってほしい、そういった多様なご希望に寄り添いながら、その方にとって何が最善なのかを一緒に考えていくことが大切です。こうした医療は、機械やAIでは担えません。だからこそ私は、「病気ではなく、病人を診る」という姿勢を常に心がけ、その方にとって本当に必要な医療を一緒に考えていきたいと思っています。

患者さんやご家族が安心できるよう、工夫されていることはありますか?

上田修也院長 うえだ在宅ケアクリニック4

緊急時には24時間365日私自身が電話対応し、必要があれば夜間でもご自宅へ伺える体制を整えています。普段から「何かあればいつでも連絡してください」とお伝えしています。救急車を呼ぶべきか、朝まで様子を見てよいのか判断に迷ったときは、遠慮なくご連絡いただきたいですね。そのために24時間365日の対応体制を整え、患者さんやご家族が安心して過ごせるようサポートしています。また、離れて暮らすご家族には診察内容を電話でご報告し、ケアマネジャーさんや訪問看護師さんとも情報共有を行いながらチームで患者さんの暮らしを支えています。

「一緒に引っ越そうかな」。その信頼をこの町でも

これまでの訪問診療で、印象に残っているエピソードはありますか?

上田修也院長 うえだ在宅ケアクリニック5

前のクリニックで6年間院長を務め、退職する際に「先生がいなくなるなら一緒に引っ越そうかな」「辞めても来てください」と患者さんから声をかけていただいたことは今でも心に残っています。日々の診療を通じて信頼していただけていたのだと思うとうれしいです。訪問診療は患者さんのご自宅に伺う医療ですから、この人なら安心して家に入れてもいいと思っていただける関係づくりが大事だと思います。現在は私と、訪問診療経験が豊富なベテランスタッフの2人体制で診療を行っており、医療事務から看護助手まで幅広くこなせる上に、診療にも同行してくれる心強い存在です。

今後の展望をお聞かせください。

患者さんの数や地域のニーズに応じて常勤医師やさまざまな診療科の医師を迎え入れて、より総合的に診られるクリニックにしていきたいです。同時に、訪問診療そのものの裾野を社会的に広げていきたいという思いもあります。最近は在宅でもエックス線検査や輸血などができるようになり、ご自宅で受けられる医療の幅は着実に広がっています。一方で、ご自宅で最期まで過ごしたいという方は多いにもかかわらず、その思いを実現できているケースはまだ十分とはいえません。訪問診療がより身近で利用しやすいものになれば、ご自宅での看取りを必要としている方に届けられるようになる。そうした可能性を信じて、この地域で丁寧に診療を重ねていきたいと思っています。

訪問診療を検討されている方へメッセージをお願いします。

上田修也院長 うえだ在宅ケアクリニック6

幅広い病気や検査、処置に対応できることは当院の強みですが、何より大切にしているのは、住み慣れたご自宅で安心して医療を受けていただける環境づくりです。ご自宅に医師が伺いますので、病院では話しづらかったことも気軽にご相談いただけます。診療に関することはもちろん、日常の出来事や趣味のお話など、何げないやりとりから、体調やお気持ちの変化に気づけることもあります。訪問診療をまだよく知らない方もいらっしゃると思いますので、まずは気軽にご相談いただければうれしいです。お一人お一人の暮らしに寄り添いながら、その方にとっての「安心」を一緒につくっていけたらと思っています。