小野崎 彰 院長の独自取材記事
おのざきクリニック
(宇都宮市/宇都宮駅)
最終更新日:2026/10/26
宇都宮駅から車で約10分、フレスポうつのみや市場2階の「おのざきクリニック」。やわらかな色合いの院内は明るく清潔感があり、幅広い世代が安心して過ごせる温かな雰囲気が広がる。院長の小野崎彰先生は、基幹病院や中核病院で腎臓内科を中心に糖尿病や生活習慣病、透析治療に長年携わってきた経験豊富なドクターだ。「自分の家族だったらどうするか、それを常に考えるんです」と穏やかに話す言葉の通り、患者一人ひとりの背景を丁寧に聞き取りながら、選択肢を示していく姿勢が印象的だ。疾患の早期発見・早期治療に注力し、専門性を生かしながら内科全般の幅広い相談にも応じる小野崎院長に、診療のプロセスや地域医療への思いを聞いた。
(取材日2026年9月29日)
「一人の患者を全体的に診たい」と腎臓内科医が開業
先生が医師の道を志し、腎臓内科に進まれたきっかけについてお伺いします。

開業医だった父の背中を見て、人の命を預かるという尊い仕事に就きたい、そう考えるようになったのが医師をめざした原点です。東京医科大学を卒業した後、私の地元である福島県立医科大学に入局しました。そのタイミングで新しく腎臓内科が立ち上がり、自分も挑戦してみようと飛び込んだのが始まりです。腎臓という臓器は体液の恒常性を保つ重要な役割を担っていますし、心臓や脳など全身の臓器の疾患にも大きく関わってきます。尿の成分を詳しく調べるだけで、その方の体全体がどんな状況にあるのか、さまざまなことが読み取れるので、腎臓内科の診療は本当に奥が深く、学ぶほどにやりがいを感じる分野だと実感しました。
開業に至った経緯を教えてください。
大学院修了後は複数の病院に勤務し、一般内科や高血圧・脂質異常症・糖尿病といった生活習慣病の診療に加え、慢性腎臓病から透析治療まで長年にわたって携わってきました。一生懸命に治療に関わる中で「先生に診てもらいたい」という患者さんの存在は一番の喜びでしたが、大きな病院はどうしても科ごとに細分化されていて、一人の患者さんを全体的に診ることが難しいと感じる場面もありました。総合的な内科診療を通して患者さん一人ひとりに向き合いたい、その思いが開業の大きな動機です。また、10年以上糖尿病専門外来を担当する中で、腎臓内科医として早期から介入することで、透析に至らなかったケースを多く経験しました。そこで、腎臓内科医の目線で糖尿病診療に携わることの重要性を強く実感したことも、開業理由の一つです。
院内の環境や検査体制へのこだわりについて教えてください。

院内は、患者さんがゆったりと過ごせる空間づくりを心がけました。車いすの方でもご利用しやすい多目的トイレにはおむつ交換台を設置し、小さなお子さん連れの方を含む幅広い世代の方に配慮しています。また、当院は検査体制も充実させています。例えば、複数の検体を同時に測定できる生化学検査機器を導入し、血液検査の結果をその日にお伝えできるようにしました。患者さんが後日改めて結果を聞きに来るのは負担になってしまいますからね。エックス線検査装置にはAI機能を活用した画像解析システムを導入し、医師の目とのダブルチェックで細かな病変の見逃し防止につなげています。また、発熱症状がある方と一般の患者さんの動線を分け、感染症対策も行っています。
合併症の芽を見逃さない、早期発見に注力した診療を
糖尿病の診療で、特に重視されていることは何ですか?

糖尿病の患者さんは血糖値そのものではなく、合併症で命を落とすことが多いです。しかも合併症は一度起こると治すことが難しくなります。発症した時点で膵臓の機能はすでに4割程度まで落ちているといわれ、その前段階から対処することが重要です。三大合併症は神経・目・腎臓の順に現れますが、最初に出る神経障害は自覚症状がなく見過ごされがちです。当院では神経伝導検査装置を導入し、この段階で合併症の兆しを捉えるようにしています。また、三大合併症の腎症は透析に至る一番の原因となりますが、尿検査から早期に診断が可能で、早く治療を開始すれば進行抑制につながります。私が透析治療の患者さんを長年診てきた中で、もっと早く介入できていればと悔やむ場面が多々ありました。だからこそ、糖尿病診療では合併症に目を配りながら診ることの大切さを強く実感し、その経験が今の診療を支えています。
腎臓の専門家から見た、尿検査の役割についてお聞かせください。
尿検査は本当に多くのことを教えてくれます。尿糖やタンパク尿から腎臓の異常を見つけるのはもちろん、尿中の細胞成分から腎臓がどのように傷んでいるかを推測できますし、塩分摂取量や食事の傾向、脱水の有無まで読み取ることもできます。私が中でも力を入れているのが、尿中微量アルブミンの測定です。糖尿病性腎症では健診で引っかかる前の段階から微量のアルブミンが尿に現れますが、この検査は健診では行われず、専門施設でも実施が少ないです。当院では必ず行い、早い段階で腎臓への影響を把握するようにしています。腎臓病は今や5人に1人ともいわれる国民病で、放置すると心不全や脳卒中のリスクにもつながります。症状がないため見過ごされがちですが、早めに検査を受けることが大切です。
クリニックでは内科の総合的な診療を行っているそうですが、気をつけていることなどありますか?

診療で大切にしているのは、まず患者さんのお話をよく聞き、その方にとって何が一番の困り事なのかを見極めることです。より専門的な診療が必要と判断した場合は、適切な医療機関にご紹介しています。1つの症状の裏に別の病気が隠れていることもあり、例えば高血圧といっても朝と夜の血圧差が大きい方の場合、背景に睡眠時無呼吸が潜んでいる恐れもあります。そうした見えにくいサインを丁寧に拾い上げていくことも、私の役割だと思っています。実際の診療では、風邪や生活習慣病だけでなく、更年期の悩みや心の不調を相談しに来られる方もいます。また、慢性的な疲れなど「未病」の状態には、漢方を活用しながら体の不調を整え、将来の病気の発症を防ぐ取り組みも行っています。
「自分の家族だったら」を基準に寄り添う診療
患者さんとの接し方で大切にしていることを教えてください。

私は患者さんに無理なことは言わないようにしています。生活習慣病は食事や運動など日常的に気をつけなくてはならないことがありますが、患者さんが毎日続けることが難しいのに「必ずやってください」と伝えるのでは一方通行になってしまいます。患者さんの生活背景や性格を丁寧に聞き取って、その方ができることから一緒に探していきます。例えば定期的な運動が難しい方には「歩いて買い物に行くことを習慣にしましょうか」と提案しますし、つい間食をしてしまう方であれば「食事のタイミングにずらして一緒に食べてしまいましょう」とお話しします。お薬についてもできるだけ選択肢をお伝えし、患者さんの考えを聞いた上で一緒に決めていくようにしています。
今後、地域にとってどのようなクリニックをめざしていますか?
体の不調など何か気になることがあったら、地域の方々が「まずは相談してみよう」と頼っていただけるようなクリニックでありたいですね。私の診療のモットーは「自分の家族だったらどうするか」を常に考えることです。普段使っている市販のお薬やサプリメントについて疑問が出てくることもあるかと思いますので、気兼ねなく質問してください。時には診察の際に市販薬に含まれている成分を調べたりすることもありますよ。もし家族に同じ質問をされたら心配ですぐ調べるでしょうし、それは患者さんであっても変わらないです。また、日本腎臓学会腎臓専門医である以上、周囲のクリニックの先生方から「腎臓のことならここに」と紹介していただけるような存在をめざしています。
最後に読者へメッセージをお願いします。

当院は腎臓内科や糖尿病内科を専門ではありますが、内科全般のお悩みに幅広く対応しています。原因がわからずどこに相談すればよいか迷われるような悩みも受け止めていますので、一人で抱え込まずにご来院ください。健診で少しでも気になる結果が出た方、なんとなく体がだるいと感じている方も、早めに詳しい検査を受けることが将来の安心につながります。専門的な検査や治療が必要な疾患が見つかった場合も、「別の科に行ってください」と伝えて終わりにはしません。次の専門的な医療機関に責任を持って情報をつなぎ、患者さんが一人で取り残されて不安な思いをしないよう、切れ目のないシームレスな医療をこれからも大切にしていきます。

