曽根 健元 院長の独自取材記事
イーズクリニック荻窪
(杉並区/荻窪駅)
最終更新日:2026/08/10
荻窪駅から徒歩4分。閑静な住宅街の一角に、2026年7月「イーズクリニック荻窪」が開院した。クリニックのロゴが描かれた白い看板を目印に院内へ足を踏み入れると、絵やオブジェがさりげなく飾られた、医療機関らしさを感じさせない優しい雰囲気の空間が広がる。院長の曽根健元先生は、帝京大学医学部附属病院をはじめ数々の総合病院で麻酔科医として研鑽を積み、急性期から回復期まで幅広い痛みの診療に携わってきた。同院では、内科・整形外科・リハビリテーション科を中心に、幅広い症状や悩みに対応。加えて、ペインクリニック科では、薬や注射に加え、運動療法や漢方も取り入れた多角的なアプローチで痛みに向き合っている。穏やかな語り口に、人知れず痛みを抱える患者への深い共感がにじむ曽根院長に、開院の経緯や診療への思いを聞いた。
(取材日2026年7月21日)
痛みと不安の軽減をめざし、地域医療に取り組む
先生が医師をめざされたきっかけを教えてください。

私の父が歯科医師をしており、患者さんを治療して感謝されている姿を幼い頃から間近で見てきました。その中で自然と「医療の仕事は人のためになるのだな」と感じたことがこの道に興味を持ったことがきっかけです。大学に入ってからは手術室の独特な雰囲気に惹かれたこともあり、手術を行う先生を支える立場で力を発揮しようと考え、麻酔科を選びました。麻酔科を選ぶにあたって、もう一つの大きな決め手になったのが、「痛みを取るための治療」に対して専門的に向き合うペインクリニック科という分野への関心ですね。体のさまざまな痛みに苦しむ方の力になりたいという思いは、医師をめざした頃から変わらない自分の原点になっています。
勤務医時代のご経験についてもお聞かせください。
帝京大学医学部附属病院をはじめ、複数の総合病院で麻酔科の医師として研鑽を積みました。当初は急性期の現場に立ち、経験を重ねてきました。急性期の患者さんは1週間ほどで退院になるケースが多かったこともあり、もっと長期的に患者さんをケアしていきたいと考えて回復期の病院に移りました。治療の中で、薬だけで痛みを取りきることが見込めないことも多く、リハビリへの関心が広がっていきました。診療を続けていて実感したのは、痛みは体の問題だけではなく、心理的な要因や生活の背景などさまざまな要素が絡み合って生じるものだということです。患者さんのお話を聞くことも痛みを和らげるための助けになりますから、患者さん自身に向き合うことの大切さを学びました。
このたび荻窪に開業された理由と、クリニックに込めた思いをお聞かせください。

私は荻窪で育ったこともあり、この街がとても好きです。いつかはこの地に戻って皆さんの力になりたいと考えていました。クリニック名の「イーズ」には、当院の治療の目的の一つである「痛みを取る」という意味に加えて「不安を取り除く」という意味もあります。以前から温めてきた名前で、その思いを形にした場所です。白を基調とした医療機関のイメージから離れ、院内は患者さんにリラックスしていただける空間をめざしました。特にこだわったのが、待合室を「憩いの場」にすることです。以前の勤務先で、頼れる人が身近にいない方ほど痛みを抱えている傾向を感じていました。痛みを一人で抱え込むと症状が増してしまうことがあるのですね。そのため、同じ悩みを持つ方同士が安心して話せる場にしたいと思ったんです。
リハビリなど多様な提案で、痛みや不調に総合的に対応
どのような患者さんの相談に対応されているのでしょうか。

当院では発熱や風邪などの内科症状から、体の痛みなど整形外科領域の症状まで幅広く対応しています。原因がはっきりしない不調や、治療を終えても症状が続いていることで悩んでいる方も少なくありません。患者さんの中には、4〜5年にわたって症状を我慢されてきた方もいらっしゃいます。また、痛みの感じ方は人によって異なり、症状の現れ方や続く期間もさまざまです。そのため、症状の背景にも目を向けながら、一つの症状だけにとらわれず、患者さんの状態を総合的に捉えて診療にあたっています。一般的な内科症状から、体の部位や期間に関わらないさまざまな痛みまで幅広く対応していますので、何か気になることがあればご相談いただきたいですね。
診療ではどのようなことを大切にされていますか。
現代の医療はクリニックが分野ごとに細かく分かれていて、患者さんがいくつもの医療機関を回らなければならないことが少なくありません。当院では、なるべく1つの場所で済むように、患者さんを総合的に診ることを大切にしています。治療についても、西洋薬による薬物療法だけではなく、漢方薬や運動療法によるリハビリなどを患者さんの状態に応じて組み合わせながら対応しています。薬だけで十分な改善が見込めないこともありますので、さまざまな選択肢を提案できるよう心がけています。2階にはリハビリフロアも併設しており、薬以外の選択肢も提示できることは当院の強みの一つです。また、当院は特定の診療だけに特化しているわけではありません。内科・整形外科・リハビリテーション科・ペインクリニック科それぞれの視点を生かしながら、患者さんの状態を総合的に捉え、幅広い症状や悩みに対応していきたいと考えています。
患者さんの痛みに向き合う際に心がけていることを教えてください。

患者さんの痛みに共感し、つらさに寄り添うことが治療の第一歩だと考えています。そのために、話しやすい雰囲気をつくることは常に意識しています。もう一つ欠かせないのが、医師の方で痛みを決めつけないこと。「こういう痛みですよね」と先にこちらが言ってしまうと、患者さんはそこで話をやめてしまうかもしれません。どんな言葉でも構わないので、患者さんご自身の表現で伝えていただけるよう、言葉を引き出すことを大事にしています。患者さんの中には、検査をしても痛みの原因がわからないことで「気のせいだよ」と言われた経験をお持ちの方もいますが、否定されると、かえって痛みが強まってしまうこともあります。そうした経験をされた方が、安心して「痛いんです」と言える場でありたいと思っています。
痛みや困り事を安心して口に出せる場所でありたい
一緒に働く医師やスタッフの皆さんについてお聞かせください。

出口亮先生は麻酔科に勤務していた時の先輩で、その後の回復期病院でも一緒に働いてきた間柄です。お互いのことをよく理解しているので、日々の診療でも連携がスムーズですね。痛みを専門とする医師が2人いることで、それぞれの視点から意見を出し合い、良い治療をめざせるのは大きな利点です。スタッフについても、患者さんが気軽に話しかけやすいような温厚な方がそろっています。私からスタッフに伝えているのは、「頭ごなしに否定することなく、まずは患者さんの気持ちを受け入れてください」ということです。痛みの背景には生活の不安や介護の悩みなど、医療以外の問題が隠れていることもあります。そうしたご相談にも対応しますので、気軽に声をかけていただければと思います。
今後、地域でどのような役割を果たしていきたいですか?
当院は内科、整形外科、リハビリ科、ペインクリニック科と幅広い領域に対応し、分野を細かく絞らずに診療していますので、ちょっとした体の不調から長く続く痛みのことまで、どんなことでもお力になれればと思います。地域のかかりつけとして、痛みの治療に限らず健診などでも気軽に足を運んでいただける存在になれたらうれしいですね。当院のすぐ近くには商店街がありますので、地域のイベントにも積極的に関わっていきたいですね。リハビリフロアでは、地域の方に体操や運動方法をお伝えする機会もつくっていけたらと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院の診療は特に年齢制限は設けていないので、どの年代の患者さんも受診していただくことができますし、体調が優れない時や軽いケガでも、困ったときにはまず相談していただける場でありたいと思っています。そして特に力になりたいのは、過去に治療を受けても改善が見られず、痛みを諦めてしまっている方です。「もう治らないかもしれない」と一人で抱え込んでいる方にこそ、頼っていただきたいですね。痛みを抱え込んでしまうと、孤独感から症状がさらに強まってしまうこともあります。当院が安心して「痛くて困っています」と声に出せる場所であり続けること、そして一人でも多くの方の不安を和らげられる存在であること。それが私の変わらない思いです。

